
【写真:Getty Images】
アジア国籍の選手でベストイレブンを選出するとしたら、サッカー日本代表からは何人が選ばれるだろうか。今回は、データサイト『transfermarkt』が算出した市場価値をもとに、各ポジションに最高額選手を選出したベストイレブンを紹介する。※市場価値・データは15日時点、[4-3-3]で選出
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●GK
GK:マシュー・ライアン(オーストラリア代表)
所属クラブ:AZ(オランダ)
生年月日:1992年4月8日
最新市場価値:400万ユーロ(約5億6000万円)
23/24リーグ戦成績:11試合6失点
オーストラリア代表のマシュー・ライアンは、2012年にオーストリア代表デビューを飾り、翌2013年からベルギーのクラブ・ブルッヘに移籍。その後、バレンシアやブライトン、アーセナル、レアル・ソシエダなど、ヨーロッパ各地でゴールを守った。
ブライトン時代の2019年に、自身最高額の1000万ユーロ(約14億円)に到達。その後は出場機会の減少や年齢の影響もあって、市場価値は400万ユーロ(約5億6000万円)まで下がった。
それでも、依然としてアジアのGKとしては群を抜いて高い市場価値だ。ライアンに次ぐ市場価値となっているアジア人GKは、バンクーバー・ホワイトキャップスの高丘陽平(日本)とマリティモのアミル・アベドザデ(イラン)の150万ユーロ(約2億1000万円)。貴重な外国人選手枠をアジアのGKに投じるクラブは多くないこともあり、なかなかヨーロッパのトップリーグで市場価値を高めるような選手がいない状況だ。
日本代表ズラリ!? アジア最高額ベストイレブン 全選手紹介
日本代表ズラリ!? アジア最高額ベストイレブン【FW】
日本代表ズラリ!? アジア最高額ベストイレブン【MF】
●CB
CB:板倉滉(日本代表)
所属クラブ:ボルシア・メンヒェングラッドバッハ(ドイツ)
生年月日:1997年1月27日
最新市場価値:1500万ユーロ(約21億円)
23/24リーグ戦成績:7試合2得点0アシスト
板倉滉は2019年1月にマンチェスター・シティへ移籍した。すぐにオランダのフローニンゲンへレンタル移籍して経験を積み、2021/22シーズンはドイツのシャルケでプレー。2022年夏に完全移籍でボルシア・メンヒェングラッドバッハに加入すると、そこでも定位置をつかみ、成長を続けている。
サッカー日本代表では、9月のドイツ代表戦でその成長ぶりを存分に発揮。ピンチを未然に防ぐインターセプトで相手に先手を取らせず、カイ・ハフェルツらを完全に封じ、4-1の勝利に貢献した。
最新の市場価値は、1500万ユーロ(約21億円)。2019年1月に70万ユーロ(約9800万)だった市場価値は、ヨーロッパで経験を積む中で急激に上昇を続けている。
CB:キム・ミンジェ(韓国代表)
所属クラブ:バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
生年月日:1996年11月15日
最新市場価値:6000万ユーロ(約84億円)
23/24リーグ戦成績:11試合0得点0アシスト
韓国代表のキム・ミンジェは、いまや世界でも有数のセンターバックとして認識されている。
キム・ミンジェは、2022/23シーズンにナポリで活躍して市場価値が急上昇。ナポリ加入時の市場価値は1400万ユーロ(約19億6000万円)だったが、クラブのセリエA独走優勝に貢献したことで、今年夏に5000万ユーロ(約70億円)の移籍金でバイエルン・ミュンヘンに引き抜かれている。
2023年のバロンドール・ランキングは22位だった。アジア人DFがバロンドールの候補に入るのは史上初めての快挙であり、歴史を塗り替えた選手とも言える。
最新の市場価値は6000万ユーロ(約84億円)。キム・ミンジェの市場価値は、ポジション別ではなくアジア全選手で最高額であり、ベストイレブン入りに異論を唱えることはできない。
●SB
SB:冨安健洋(日本代表)
所属クラブ:アーセナル(イングランド)
生年月日:1998年11月5日
最新市場価値:2500万ユーロ(約35億円)
23/24リーグ戦成績:10試合1得点0アシスト
冨安健洋は、ヨーロッパのキャリアではサイドバックとしての経験も豊富だ。今季もアーセナルで左右のサイドバックに入り、安定感のあるパフォーマンスを続けている。守備力の高さはもちろん、正確な技術と機を見た攻撃参加で、オフェンスでも貢献している。
サッカー日本代表では、主にセンターバックを担当。9月に行われたドイツ代表戦のパフォーマンスは衝撃的だった。抜群の守備能力に加えて、左右両足でボールを操り、正確なフィードで2つのゴールの起点となり、勝利の原動力と言えるプレーを見せている。
アーセナルでは不動のレギュラーではなく、ケガがちなところも心配な要素で、市場価値がなかなか上がっていない。それでも、2500万ユーロ(約35億円)は日本人DFとして最高額。複数のポジションをハイレベルでこなせる冨安は、代表でもクラブでも頼りにされている。
SB:伊藤洋輝(日本代表)
所属クラブ:シュトゥットガルト(ドイツ)
生年月日:1999年5月12日
最新市場価値:1700万ユーロ(約23億8000万円)
23/24リーグ戦成績:11試合0得点2アシスト
伊藤洋輝も冨安健洋と同様にセンターバックをこなせる選手だが、日本代表では左サイドバックでの起用が多い。クラブでは2022/23シーズンのほとんどは3バックの一角だったが、シーズン終盤の監督交代に伴って4バックの左サイドバックに定着している。
粘り強い守備に加えて、精度抜群の左足が武器で、シュトゥットガルトでは攻撃の起点としても期待されている伊藤。今季のブンデスリーガでは11試合で2アシストを記録している。過去2シーズンはどちらも1アシストだったことを踏まえると、攻撃面の成長もうかがえる。
伊藤の市場価値は昨年6月に450万ユーロ(約6億3000万円)だったが、今年10月のアップデートで1700万ユーロ(約23億8000万円)に急上昇した。
伊藤以外にも本企画の最終ラインには多くの日本人が名を連ねている。左サイドバックとしては、伊藤の次にくるのがUAEのエリックで250万ユーロ(約3億5000万円)となっている。
●MF
MF:遠藤航(日本代表)
所属クラブ:リバプール(イングランド)
生年月日:1993年2月9日
最新市場価値:1300万ユーロ(約18億2000万円)
23/24リーグ戦成績:7試合0得点0アシスト
遠藤航は今年6月に市場価値が650万ユーロ(約9億1000万円)だったが、夏に2000万ユーロ(約26億円)の移籍金でシュトゥットガルトからリバプールへ移籍し、最新の市場価値が1300万ユーロ(約18億2000万円)となっている。
2021年12月の1000万ユーロ(約14億円)をピークに、市場価値は減少傾向にあった。これは年齢の影響が大きいだろう。シュトゥットガルトと日本代表でのパフォーマンスは、以前と変わらず称賛に値するものだった。ほかの補強が失敗に終わった影響があるにせよ、市場価値よりもはるかに高い金額を支払って獲得した理由は遠藤自身のパフォーマンスにある。
リバプールでは、大方の予想通りベンチスタートが多くなっている。それでも11月12日のブレントフォード戦では、プレミアリーグで初めてフル出場し、存在感を強めている様子だ。
年齢とクラブでのプレー時間を考えれば、遠藤の市場価値はこれから下がっていく可能性があるが、日本代表主将はいまでもアジア屈指のMFだ。
MF:守田英正(日本代表)
所属クラブ:スポルティングCP(ポルトガル)
生年月日:1995年5月10日
最新市場価値:1200万ユーロ(約16億8000万円)
23/24リーグ戦成績:10試合1得点1アシスト
2020/21シーズンの途中にポルトガルのサンタ・クララに移籍したとき、市場価値が130万ユーロ(約1億8200万円)だった守田英正は、当時ヨーロッパでほぼ無名の選手だった。
それでもサンタ・クララでの活躍により国内で評価を高めると、昨年夏に移籍金345万ユーロ(約4億8300万円)で同国の名門であるスポルティングCPへステップアップ。そこからさらに1年で1200万ユーロ(約16億8000万円)まで市場価値を高めている。
いまではスポルティングCPでも不可欠な選手として捉えられており、守田が負傷の影響で公式戦2試合を欠場した10月には、ポルトガルメディア『Leonino』が「守田は今季のスポルティングで要の1人」と記し、スポルティングが2試合続けて2失点した理由に日本代表MFの不在を挙げていた。
守備的MFとしてのイメージが強い守田だが、昨季はリーグ戦で6ゴールを決め、攻撃面でも相手の脅威になっている。攻守両面でレベルが高く、ベストイレブン入りも納得だろう。
MF:鎌田大地(日本代表)
所属クラブ:ラツィオ(イタリア)
生年月日:1996年8月5日
最新市場価値:2700万ユーロ(約37億8000万円)
23/24リーグ戦成績:10試合1得点1アシスト
鎌田大地の市場価値2700万ユーロ(約37億8000万円)は、サッカー日本代表全体でも3位に入っており、アジア最高額ベストイレブンにも当然のように名を連ねた。
ただ、昨年11月に記録した3000万ユーロ(約42億円)と比較すると、市場価値は減少傾向だ。この夏に加入したラツィオではベンチスタートが多い。ラツィオのマウリツィオ・サッリ監督はその理由として、左インサイドハーフで不動のレギュラーであるルイス・アルベルトとのバランスが難しいことを挙げており、この状況が続けば、さらに市場価値が下がっても不思議ではない。
アジアの攻撃的MFとして鎌田の市場価値は群を抜いていたが、現在は状況が変わりつつあり、今年夏にパリ・サンジェルマン(PSG)に加わった韓国代表のイ・ガンインが評価を高めている。こちらは昨年6月に600万ユーロ(約8億4000万円)だったところから1年で2200万ユーロ(約30億8000万円)に急上昇しており、鎌田はベストイレブンの座が安泰ではない状況だ。
●FW
FW:久保建英(日本代表)
所属クラブ:レアル・ソシエダ(スペイン)
生年月日:2001年6月4日
最新市場価値:5000万ユーロ(約70億円)
23/24リーグ戦成績:12試合5得点2アシスト
期限付き移籍を繰り返していた久保建英は、昨年夏にレアル・マドリードからレアル・ソシエダへ移籍し、2022/23シーズンにブレイクした。昨年6月に750万ユーロ(約10億5000万円)だった市場価値が、今年10月に5000万ユーロ(約70億円)まで上昇していることをみれば、その評価の高さは明らかだ。
右サイドでボールを受けて仕掛ける形を得意とする久保。ラ・リーガ第2節のセルタ戦でのアシストのように、縦への突破から右足でクロスという選択肢も見せられるようになったことで得意のカットインがさらに活きるようになった印象で、ノビノビと躍動感のあるプレーをしている。
5000万ユーロの市場価値は、レアル・ソシエダでも最高額。世界でも右ウイングとして10位タイに入る市場価値であり、誰もが認めるワールドクラスの選手と言えるはずだ。
FW:ソン・フンミン(韓国代表)
所属クラブ:トッテナム(イングランド)
生年月日:1992年7月8日
最新市場価値:5000万ユーロ(約70億円)
23/24リーグ戦成績:12試合8得点1アシスト
韓国代表のソン・フンミンは、ハンブルガーSVの育成組織で育ち、ドイツでの活躍を経て、2015年にイングランドの名門トッテナムへ移籍した。アジア人最高額(当時)の移籍金3000万ユーロ(約42億円)での移籍が注目され、ハリー・ケインとともにゴールを量産。2021/22シーズンにはプレミアリーグ得点王の個人タイトルも手にしている。
抜群の決定力を誇るソン・フンミンは、突破力も魅力。左サイドでボールを受けてスピードに乗り、果敢に仕掛けていくスタイルを得意としており、何度も相手の守備を粉砕している。今年夏の移籍市場でケインがトッテナムを離れると、ソン・フンミンはさらに点取り屋としての仕事に専念するようになり、すでにリーグ戦で8ゴールを挙げている。昨季のリーグ戦得点数10を早くも捉えそうなペースだ。
31歳という年齢で市場価値は右肩下がりが続いているものの、アジアで別格のストライカーであることに疑いの余地はない。
ちなみにセンターフォワードで日本人最高額は、古橋亨梧の1400万ユーロ(約19億6000万円)。アジアのセンターフォワード全体で4位となっている。
FW:三笘薫(日本代表)
所属クラブ:ブライトン(イングランド)
生年月日:1997年5月20日
最新市場価値:5000万ユーロ(約70億円)
23/24リーグ戦成績:12試合3得点3アシスト
川崎フロンターレ出身で、2021年夏からヨーロッパでプレーする三笘薫。まずはベルギーのユニオン・サン=ジロワーズで経験を積み、2022/23シーズンからプレミアリーグのブライトンで活躍している。プレミアリーグ1年目から33試合に出場して7得点6アシストを記録し、一気に世界的な選手となった。
もともとサッカー日本代表の切り札的存在だった三笘は、爆発的なスピードとその中でも精度を失わないドリブルを武器に、世界最高峰のリーグで相手の守備を翻弄。その持ち味がどんな強敵にも通用することを証明した。
市場価値は昨年9月時点で300万ユーロ(約4億2000万円)だったが、最新のアップデートで5000万ユーロ(約70億円)となっている。久保建英と並んで日本代表トップの数字だが、この1年での上昇幅では三笘が上だ。
三笘のほかにも、アジア人の左ウインガー市場価値は日本勢が上位を独占している。三笘に次ぐのは中村敬斗で1200万ユーロ(約16億8000万円)。さらに南野拓実(1000万ユーロ=約14億円)、前田大然(600万ユーロ=約8億4000万円)と続いている。
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