
(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 /(C)2013 石塚真一/小学館
2月17日よりアニメ映画が公開されている石塚真一氏による漫画『BLUE GIANT』(小学館)。上原ひろみ、馬場智章、石若駿といったジャズミュージシャンによる音源を使用しての圧巻の演奏シーンや、主人公らメインキャラの声優を俳優の山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音が務めたことで、大きな話題を集めている。
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今回の映画では主人公の宮本大が上京してからの、東京を舞台として仲間たちと演奏を行う第1部の内容を2時間に凝縮して描かれている。雑誌『ビッグコミック』でこの第1部が連載されたのは2013年から2016年の間。現在は第3部となる『BLUE GIANT EXPLORER』が連載されており、それまでにマンガ大賞2016で第3位、2017年の「小学館漫画賞」、同年の第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞など漫画賞を軒並み受賞。第1部の完結から7年後となる今年、待望の映像化を果たした。
映画『BLUE GIANT』は観客動員数35万人を突破。長らくアニメ化を待っていたファンはもちろんのこと、それまで同作を知らなかったという人も映画館に通い、主人公・大たちによるジャズが再び旋風を巻き起こしている。
■連載完結後から数年たってアニメ化された作品たち
『BLUE GIANT』以外にも、連載完結後から初のアニメ化までにかなりの年月を経ている漫画は多く存在する。今回は「満を持して」という言葉がぴったりな、連載が終わってかなり経ってからアニメ化された名作を紹介したい。
まずは、荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)。第1部「ファントムブラッド」が『週刊少年ジャンプ』で連載されていたのは1986年から1987年。第3部「スターダストクルセイダース」のOVA化が1993年と2000年に、第1部「ファントムブラッド」が2007年に劇場アニメ化されているものの、同作のテレビアニメ企画が本格的にスタートしたのは2012年のことだった。
2023年1月より第6部「ストーンオーシャン」の最終クールである第3クールがテレビ放送中であり、アニメも無事10周年を迎えた『ジョジョ』シリーズ。どのシリーズもOPの特殊演出の盛り上がりや声優の演技力、高いクオリティでのアニメ化で大人気となっている。
なお、原作漫画も9部「The JOJOLands」が2023年2月17日発売の『ウルトラジャンプ』で連載開始したばかり。展開が気になるとともに「ストーンオーシャン」に続く第7部のアニメ化も期待される今も大人気のコンテンツだ。
1990年から1996年まで『週刊少年サンデー』(小学館)で連載されていた藤田和日郎氏による『うしおととら』も一度OVAが制作されているものの、テレビアニメがスタートしたのは2015年。連載終了から実に20年経った後のアニメ化である。
20年以上も経つと、主にデジタルの面において世の中の様子もだいぶ違っているもの。同アニメでは時代設定が当時よりは現代よりとなっており、連載当時にはなかった薄型テレビやスマートフォンが作中に登場する。
■ゴールデンタイムで人気を集めた『ブラック・ジャック』
1973年から1978年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載され、以降もたびたび不定期連載された手塚治虫氏の名作『ブラック・ジャック』も、テレビアニメ化までにかなりの時間がかかっている。
90年代から何度かOVA化や劇場アニメ化されていたものの、同作が初めてテレビアニメ化されたのは2003年だった。このときはスペシャル番組で『ブラック・ジャック2時間スペシャル 〜命をめぐる4つの奇跡〜』というタイトルで、原作の中から4つのエピソードが放映された。
このアニメが好評だったことで、2004年から2006年にかけてゴールデンタイムでレギュラー放送が開始。実力派人気声優の大塚明夫がブラック・ジャックを演じ、主題歌も人気曲ばかり。Janne Da Arcの「月光花」や大塚愛の「黒毛和牛上塩タン焼680円」が印象に残っているという人も多いだろう。
続いて紹介する冨樫義博氏の『レベルE』は、地球にやって来た異星人のバカ王子が悪ふざけで周囲を困らせるというブラックコメディとシュールさが魅力のSF漫画。同作は『週刊少年ジャンプ』で1995年から1997年まで、異例の月1連載された。
ヒット作『幽☆遊☆白書』と『HUNTER×HUNTER』の間に連載された作品で、『HUNTER×HUNTER』の2度目のテレビアニメがスタートする9か月前となる2011年1月に初のアニメ化。『うしおととら』同様、アニメでは薄型テレビや携帯電話が登場し、話の筋は変わらないものの現代を意識した時代設定に変更されていた。
連載終了からテレビアニメ化されるまでにかなりの時間が経っている作品は少なくない。それは作品の持つ魅力やメッセージ性に、世の中がようやく追いついたと判断されたためであろうか。
連載とアニメをリアルタイムで同時に楽しむことはできなくても、アニメをきっかけに原作を読んでみたいと思う人も増えるだろう。元々の原作ファンにとっても、後になってのアニメ化はとても嬉しいことに違いない。
・『鬼滅の刃』鋼鐵塚だけじゃない!…名刀に魂を与える常軌を逸した「刀鍛冶」たち
折田マカダミア