子供がイヤイヤ&帰宅拒否...中村仁美が学んだ「“完璧育児”より大切なこと」

子供がイヤイヤ&帰宅拒否...中村仁美が学んだ「“完璧育児”より大切なこと」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/04/07
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フリーアナウンサー中村仁美さんのFRaU Web連載「騒がしくも愛おしい日々」(毎月1回・第1水曜日更新)。さまぁ~ずの大竹一樹さんとの結婚後、母として、妻として、そして一人の女性として、感じたこと、考えたことを、中村仁美さんならではの目線で綴っています。

今回は、長男くんがこぼした突然の涙とそのワケをきっかけに、仕事と育児の両立に悩んでいた時の記憶を辿ります。子どものために毎日一生懸命だったけど……子どもの謎のイヤイヤ&ギャン泣きを通して学んだ、“完璧を目指す育児”よりも必要なこととは何だったのでしょうか。

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長男の突然の涙……そのワケとは?

4月になり、我が家も子供たちが無事にそれぞれ進級を果たしました。
次男は幼稚園ラストイヤー。幼稚園の中でも一番のお兄さん“スーパーお兄さん”になったと気合が入りまくりです。

長男は小学校生活折り返し、4年生に進級しました。「え? もう半分? じゃあもうすぐ5年生になって6年生になって小学校を卒業して……人生ってあっという間だね」と、弱冠9歳が申しております。

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長男が9歳になりました。もう9年か、と感慨深いです。写真提供/中村仁美

そんな長男ですが、3年生での登校も残り1日となった3月のある日、「今日はね、先生から感動的な言葉が書いてあるよ。」と、学校から持ち帰ったノートを見せてくれました。
「えー何々? なんて書いてあるの? えっと……“1年間お疲れ様。ありがとう!”って書いてあるね!」と、私が読み終わるか終わらないうちに、長男が顔をそむけシクシクと泣き始めました。

そっかそっか、先生のこと、大好きだったもんね。
そんな長男を見て、鬼の目にも涙。
私も一緒に泣いてしまいました。
私にもまだこんな美しい涙が残っていたなんて……そんなことにビックリしながら、“やっぱり一緒にいた時間の長さじゃないんだ、どれだけ愛情が伝わっているかなんだ”、と再認識しました。

当初、“ちょっと怖い”と校内で有名な先生にビビりモードだった長男。
全国的な休校を経て、初めて新しいクラスでの登校日。朝、緊張の面持ちで家を出た長男の顔は、キラキラと輝き、溢れ出す沢山の言葉と共に帰宅しました。

クラスの絆を深め楽しい思い出となるはずだった運動会や、遠足やキャンプ、学習発表会など、ほとんどの学校行事が中止になりました。
学校への登校日は例年よりかなり減り、分散登校や休校が繰り返される日々。
だからこそ、登校日はいつも楽しみで、「学校で先生と休み時間に一緒に遊んだんだ!」「今日は途中まで先生と帰って来たんだよ!」「先生がさ、こんな風に言っていたんだよ」など、時に笑いをこらえながら帰宅と同時に話してくれました。

いつもより少ない時間だと分かっているからこそ、先生方もその時間を大切に、より積極的に子供たちと関わってくれていたのでしょう。
特別な行事がなくても、登校日数が少なくても、その思いはちゃんと息子達に伝わっていた。

いつも丸付けに使われている赤いペンで書かれたメッセージ。
きっと先生はみんなに平等に同じ言葉を贈っているはずです。
でも、同じ言葉でも、そこに込められた思いは一人一人違っていて、息子もそのメッセージを心で受け止め涙してしまったのでしょう。
同じだけど同じじゃないメッセージ。

心で思っているだけではダメなんだ、ちゃんと言葉や態度で伝えなきゃ……。

「じゃあさ、明日ちゃんと先生に言おうよ! 楽しかったです、ありがとうございました、って。そんなこと言わなくても先生はわかっているはず!なんて思わないで、大事なことはちゃんと言葉で伝えたほうがいいよ」

静かにうなずく長男の背中をさすり続けました。

仕事と育児の両立にもがく日々。 「完璧」を目指すことに必死だった

時間の長さじゃない、どれだけ息子に愛情が伝わっているかなんだ!と、思うようになったのは長男が1歳になり復職した頃です。

初めての仕事と育児に追われる日々は、どちらにおいてもミスをしないように、大惨事にならないように、何事もなく1日を終わらせることに必死でした。
息子を寝かしつけ後にそっとベッドから這い出て、翌日の夕食の準備をし、寝る寸前まで仕事の資料を読み、会社から帰る電車のなかでは、保育園のお迎えから寝かしつけまでを頭で何度もシミュレーションし、一秒でも早く迎えに行けるように心も体もいつも何かに追われていました。

保育時間外で仕事が入った時は、実母にお願いをしていたのですが、息子の面倒をみる以外は手を煩わせないように、実母の分まで食事を用意し、子供に関するできうる限りの準備をしてから仕事に向かっていました。

当時夫は、仕事にも会食にも忙しく、平日はほぼワンオペ状態。
1つでも歯車が狂うとドミノ倒しのように全てが崩れてしまう……。
だから、出来ることはできるうちに、そしてなるべく早く、早く、早く……。
働いてるからって親業をおろそかにしているわけじゃないんだ!と、自分自身に言い聞かせるように、多少なりとも沸き上がる“働いている事への罪悪感”を振り払うかのように、なるべく“完璧”に近い形を目指していました。

「こんな小さなうちから保育園に預けられて可哀そうね」という誰かの呟きが、私の心で出血はしないまでも、抜こうとしても抜けない小さなトゲの様に刺さり続けていたから。

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春休みの朝はのんびりと。長男の真似をして、三男も朝から読書! 写真提供/中村仁美

そんな日々がスタートして4~5ヵ月経った時でしょうか。
その日も保育園に急いでお迎えに行くと、息子がまだ帰らない、まだ保育園で遊ぶ!と駄々をこねました。

最初は笑顔で優しく帰宅を促していたのですが、まったく帰る気配がありません。
しかもなんだか不機嫌な様子。
“せっかく急いで迎えに来たのに、なんだよ”という気持ちと、“早く帰ってご飯を食べさせ寝かさないと、明日の食事の準備も仕事の準備もできないじゃん”と、だんだんイライラし始める私。

「もう帰るよ」と無理やり抱きかかえようとすると、泣き出し保育士さんのところに駆け寄る息子。虚し過ぎる光景。
イライラは頂点に達し、「じゃあいい、ママは先に帰る!」と教室を一人あとにすると、教室から息子のさらに大きな泣き声が。もう、どうすればいいのよ??

その日は先生が息子を玄関まで抱きかかえ、どうにか家に辿り着いたのですが、その翌日も帰らないと言う息子。そして、その翌日も。

なんで?なんで?こんなに毎日頑張っているのに、ママが嫌いなの? もう私の心はボロボロで、迎えに行くのが怖くなってしまうほどでした。
今日も帰らないと言われてしまうんだろうか、と浮かない気分で朝会社に行き、たまたまメイク室で会ったお子さんが2人いる芸人さんに、その話をすると……

「うーん、それは愛情が伝わっていませんね」

え?? 毎日、保育園の準備をして、連絡ノートを書いて、眠いのを我慢してご飯を作って、自分の時間を削り、こんなに毎日息子のために頑張っているのに? 息子のことがこんなに大好きなのに??

ボロボロの心にその言葉は深く突き刺さり、生放送前だと言うのに涙がポロポロと止まりませんでした。

“愛情が伝わっていない…”

確かに、そうかもしれない。
夫は私より一緒にいる時間が短い。でも、夫のことを息子は大好き。
時間の長短ではない、となると……。
保育園から帰宅し、二人で過ごす唯一の時間はどうだったろうか?
“息子のため”とは言え、少しだけでも手を止めて、きちんと向き合っていただろうか?

私が頑張るべきは、食事を作ったり、保育園の準備を完璧にこなしたり、お風呂に入れて時間通りに寝かすことよりも、今はまず、息子を見つめ、抱きしめ、一緒に笑い、「ママは君が世界一大好きなんだよ」と伝えることではないか??

愛している、ということを 思うだけじゃなく「伝えたい」

産まれてから、息子への思いは変わりません。でも、思っているだけでは伝わらない時もある。

それからは、ご飯作りはほどほどに、時には寝るのが遅くなってもいいからのんびりとベッドで過ごし、「ママのところに生まれてきてくれてありがとう!」と抱きしめながら寝る。
でも、現実問題、どうしても、帰宅後、家でやらなくてはいけないことが山積です。
ならば、“言葉”で伝えよう!

息子に話しかけられれば「なあに? ママの可愛い子ちゃん!」と返答したり、息子が不機嫌な時は「ママの宝物、可愛いお顔を見せて」と頭をなでなでしながら顔をのぞき込んだり、大きな口で一生懸命夕食を食べる姿が愛おしいから「なんでそんなに可愛いの~!」と、感嘆の声と共に見つめてみたり。今まで心で思っていたことを、思うだけでなく、スキンシップとともに“言葉”にして伝えよう!

その後、帰宅を激しく拒否されることはなくなりました。
その言葉がけが良かったのかは分かりません。
そもそも、あの数日、なんで息子が帰宅拒否をしたのか、それすら真実は分かりません。
でも「僕はお母さんの宝物、一番大事なんでしょ!」と、私の思いは息子に届いている模様。

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お兄ちゃんたちにいつもどうしても混ざりたい三男。写真提供/中村仁美

何をおいてもまずは、ちゃんと愛情が伝わっているかなんだ、とマインドチェンジをすると、心にチクっと刺さり続けていたトゲは、気づけばどこかへ。
そして、子育ては以前より、ほんの少しだけですが、シンプルに感じられるようになりました。

長男はもう少年。
だんだんと、そんなやり取も気恥ずかしさとともに減ってきてしまっている今日この頃。
また別の手段を模索しなくては……。

4月から環境が変わる方も変わらない方も、周りの雑音は気にせずに、時にはスローペースで……ご自愛くださいませ。

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