『カムカム』安子と稔に戦争の壁が立ちはだかる それでも“るい”とともに歩む日向の道

『カムカム』安子と稔に戦争の壁が立ちはだかる それでも“るい”とともに歩む日向の道

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  • 更新日:2021/11/25
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『カムカムエヴリバディ』写真提供=NHK

紆余曲折がありながらも、ようやく結ばれた安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第3週は、2人の幸せな結婚生活が描かれた。「安子ちゃん」と呼んでいた稔が、「安子」と呼び始めた時の初々しさ。未来の子どもに思いを馳せ、授かる前から名前を考えたり。楽しそうな2人の姿は、見ているこちらまで頬が緩んでしまうほど。

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しかし、「安子と稔が一緒に暮らせたのは、ほんのひと月足らずでした。短いけれど、幸せな日々でした」というナレーションが、甘い生活の終わりを告げる。安子と稔の恋路を阻んでいた両家の親も結婚を認め、やっと“長くて甘い夢”から覚める必要がなくなったのに。今度は、“戦争”という大きな壁が、2人に現実を突きつけてくる。稔は、学徒動員に応じて出征することになったのだ。

稔が戦地に向かった後の第4週では、二代目ヒロインとなる“るい”が誕生した。いちばんに喜びを分かち合いたい稔が、そばにいてくれないことは寂しいだろう。しかし、愛する彼の血を引く新しい命が誕生したことで、安子は強くなったように見えた。戦況は悪化の一途を辿っているものの、孫を見て喜ぶ小しず(西田尚美)。夫の杵太郎(大和田伸也)を亡くして憔悴していたひさ(鷲尾真知子)も、久しぶりに笑顔を浮かべていた。るいの存在は、家族の希望であり、安子と稔を繋ぐ糸だったのだ。

苦しい状況のなかでも、ささやかな幸せを見つけて笑顔を浮かべる。安子は、そうやって精いっぱい生きてきた。戦地で戦う夫の状況が心配でも、周囲のことを気遣って。思えば、稔の父・千吉(段田安則)が2人の結婚を認めたのも、彼女のそんな“心の豊かさ”を感じたからだった。たとえ自分の分がなくなったとしても、元気のない人がいたらおしるこを分けてあげられる豊かさを。

だが、1945年6月29日の岡山空襲により、安子は作り笑顔さえもままならなくなってしまう。小しずとひさが、焼夷弾に焼かれて亡くなってしまったのだ。母と妻の名前を叫ぶ金太(甲本雅裕)。大事な存在を亡くしたショックに加えて、後悔の念に駆られていた。“あの防空壕に入れ”と言ってしまったのが、自分だったから。もちろん、2人の死は金太のせいではない。小しずとひさの命を守ろうとして、言ったことなのだから。でも当の本人からすれば、“自分のせいだ”と思ってしまうのも、無理はない。もしも、あの時ちがう防空壕に避難させていれば……。救われていた“かもしれない”可能性を考えるほど、金太の心は罪悪感に苛まれていく。

子どものように泣き喚く父を見て、何もできない安子も苦しい。幸せを手にしたばかりなのに。愛する人と結婚して、大事な娘が生まれて。いちばん、笑顔でいたい時なのに。どうして、苦しいことばかりが降りかかってくるのだろう。稔が近くにいない今、安子にとって橘の家族は心の拠り所だったはずだ。それなのに、たった一瞬で壊されてしまうというのか。大好きな母と祖母の存在、そして父の心も。

空襲から1カ月半が経ち、日本は終戦を迎えることになる。たとえ戦争が終わったとしても、一度壊れたものは二度と戻ってこない。安子自身も、祖母と母を同時に亡くした事実を受け入れることができていない。それでも、金太に「あんこの作り方、教えてくれんかな?」と声をかけたのは、“前に進まなければ”という心の表れではないだろうか。過去に戻ることができないのなら、次の幸せを見つけなければ。これから、るいとともに、日向の道を歩いていかないといけないのだから。

幸せな生活からたった数カ月で、安子を取り巻く世界は一変してしまった。夫が戦争に行き、祖母と母を亡くし、大好きな商店街は変わり果てた。兄の算太(濱田岳)の状況も分からないし、疎開した幼なじみのきぬ(小野花梨)とは離ればなれに。それでも、たくましいヒロインのことだ。強く、優しく乗り越えてくれると願いたい。(菜本かな)

菜本かな

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