聞き手をビビらせる語り方! 誰も教えてくれなかった夏の風物詩・怪談話のテクニック

聞き手をビビらせる語り方! 誰も教えてくれなかった夏の風物詩・怪談話のテクニック

  • ダ・ヴィンチWeb(マンガ)
  • 更新日:2022/08/05
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『一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門』(吉田悠軌/KADOKAWA)

夏といえば怪談。友だち同士で幽霊に会った体験談などを語り合った経験はあるだろう。しかし、どれほど震える体験を持っていたとしても、相手を怖がらせるのは難しい……。そう思って手にとったのが、怪談研究家・吉田悠軌氏の『一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門』(KADOKAWA)だ。

本書は、メディアでも活躍する吉田氏が、怖い話の作り方を教えてくれる1冊。その中から「しゃべり方」についての項目を紹介していきたい。

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怪談は適度な“説明”と登場人物の視点に入り込んでの“描写”がキモ

怪談を話すことに慣れていない人は「情報をひたすら『説明』しようとしてしまう」と著者は主張する。例えば「説明」してしまう人は、以下のような語り方をしてしまうという。

私の知り合いで、Aさん、という人がいました。Aさんは五年前、地元にあった心霊スポットの廃墟に、友だちと肝試しに行きました。で、そこはボロボロの一軒家で、壁なんかも崩れていたんですね。彼らは家の中に入ったのですが、なぜか家の中はキレイだった。そこが不気味なところでした。え~、そうしたら、テーブルの上に、そこだけ埃をかぶったお茶碗や箸がそのまま置いてあって、あの、その点が、さっきまで人がいたような状況だと感じられました

このような語り方では「誰のものかわからない視点で、メリハリなく一本調子のペースで話が進んでいく」と著者は述べる。冒頭の「Aさんの人物紹介」や「友だちと肝試しに行ったこと」などは「説明」でもよいが、廃墟へ侵入してからは「Aさんの視点に入り込んで描写するべき」だという。例えば、以下のような語り方になる。

壁はあんなにボロボロなのに、家の中はぜんぜん散らかってないよな……と怪しみながら歩いているうち、ふいにテーブルが目に入った。そこでAさん、背中がゾッとしたそうです。テーブルの上に、お茶碗と箸が置かれている。でも、ただ置いてあるだけじゃない。長年誰も出入りしていない家で、周りに埃が積もっている中で……茶碗と箸の表面だけ、さっぱりキレイになっている。……まるでこれ、さっきまで人が使っていたみたいじゃないか……そう思ったんですね

話の中で「ゾッとしたそうです」や「そう思ったんですね」と客観的な視点からの「説明」も加わっているが、登場人物の視点だけに偏ると演劇のようになり「不自然さ」も際立ってしまう。そのため、適度に「こちら側(しゃべり手視点)に、一瞬引いて戻っているポイント」も意識しながら、語るのがベストだという。

オノマトペで情景描写に“臨場感”と“緊迫感”を持たせる

誰かに怪談を語るとき、擬音語や擬態語の「オノマトペ」を効果的に使うのもより臨場感を持たせるためのテクニックだ。ハイヒールを履いた女性が「カツーンカツーン」と歩いてきた、シャッターが「ガラガラガラ」と閉まったなどの表現がオノマトペで、こうした表現を使うと、話に独特なリズムが生まれ「聞いている側を退屈させずに済む」という。

そして、オノマトペは「そこにあるものがどう動いたか」「その音が現場の空間にどう響いたか」を、同時に伝えられる効果がある。例えば、ハイヒールを履いた「怪しい女が向こうから近づいてくる」という状況を表す場合、以下のように、オノマトペの表現を変えてみると“場の緊迫感”も変わってくる。

……どうも、怪しい女が向こうから近づいてくるようだ。ハイヒールの音がそれを知らせている。その表現として「カツーン……カツーン……」なら、ゆっくりとした、なにやら意志を持った歩き方だとわかります。「カッツ、カッツ、カッツ」なら、急ぎ足で近づいてくる緊迫感が伝わります。ましてや「カッカッカッカッ」というすごいスピードで迫ってきたら、ハイヒールなのに走る不自然さもあいまって、かなり異様な状況だと感じるでしょう。

擬音語だけではなく、その場の状況を音で表現する「ぞおぉ~っと怖くなって」や「し~ん……と静まり返った」などの擬態語も怪談に臨場感を与えてくれる。ただ、使いすぎると白ける可能性もある。話の中で「各自のスタイルに合わせて、しゃべりやすい程度に調整していくのがいい」という。

話の真偽は分からずとも、みんなで語り合っている空間で「その周囲に迫りつつある気配が、なぜだかはてしなく怖(おそ)ろしい」ことこそが、怪談話の醍醐味だという著者。本稿で伝えた「しゃべり方」も参考に、“夏の風物詩”怪談を楽しんでもらいたい。

文=カネコシュウヘイ

ダ・ヴィンチWeb

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