ルックス、装備、走りのすべてが独創的なシトロエン「C4」が「SUVを名乗らない」理由とは?

ルックス、装備、走りのすべてが独創的なシトロエン「C4」が「SUVを名乗らない」理由とは?

  • VAGUE
  • 更新日:2022/05/14

モットーはどこよりも独創的であること

2021年、日本で5800台のセールスを記録したシトロエン。そんな同ブランドにとって久しぶりとなるCセグメントのハッチバック「C4」が日本の街を走りはじめた。

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「人の移動を快適にするため」というクルマの大前提をおろそかにすることなく、独創的なアイデアや技術が盛り込むことで独創性を身につけたシトロエンの新型「C4」

プジョー、シトロエン、DSオートモビルズ、オペル、ボクソールを束ねていたグループPSAと、フィアット、アバルト、アルファ ロメオ、マセラティ、ランチア、クライスラー、ジープ、ダッジ、ラム・トラックスを展開していたFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)が2021年に合併。全14の自動車ブランドを束ねる多国籍メーカー・ステランティスが誕生した。

【画像】シトロエンの真骨頂を感じさせる新型「C4」の詳細を見る(25枚)

そんなステランティスにおいて、Cセグメントのベンチマークとして君臨するフォルクスワーゲン「ゴルフ」に真っ向勝負を挑むのは、先ごろ日本に上陸したプジョー「308」だ。同じフランス車ブランドでも「どこよりも独創的であること」をモットーとするシトロエンは真正面から勝負を挑まず、“人目をひく大胆なデザイン”と“快適な乗り心地”、“先進技術の追求”によって斜めから仕掛ける戦法をとる。

そんな彼らが同セグメントに送り込むのが、新しい「C4」だ。ゴルフや308、もっといえばメルセデス・ベンツ「Aクラス」やBMW「1シリーズ」、アウディ「A3」などとは異なり、背が高いのが特徴である(といっても全高は1530mmで、一般的な機械式立体駐車場であれば問題なく使用できる)。

加えてC4は、ルーフが車体の後半で急傾斜する、いわゆるクーペのようなたたずまいとなる。競合各車と同じハッチバック車であることに変わりはないが、見るからに他とは一線を画すフォルムである。

その上C4のロードクリアランスは、弟分であるSUVの「C3エアクロスSUV」(160mm)よりも大きい170mmが確保されている。ちなみに308のそれは130mmなので、C4はCセグメントハッチバックの王道モデルと比べ、路面とフロアとの間に40mmもの余裕があることになる。

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ロードクリアランスは「C3エアクロスSUV」よりも大きい170mmを確保。Cセグメントハッチバックの王道モデルと比べて路面とフロアとの間に余裕がある

そのルックスから、C4は“クーペSUV”に類別されそうだが、シトロエンはC4をそのような位置づけにはしていない。それは、シトロエンが展開する「C5エアクロスSUV」やC3エアクロスSUVとは異なり、車名に“SUV”の3文字を掲げていないことからも明らかだ。

C3エアクロスSUVよりもロードクリアランスが大きいのに、C4がSUVを名乗らない理由は、シトロエンがこのモデルを、SUVといういまやありふれたカテゴリーに埋没させたくないからだろう。SUVライクという流行りのデザインエレメントを盛り込みながら、あくまでクーペのようにスタイリッシュな存在にしたいのだ。

それは、C4のタイヤサイズからも見て取れる。195/60R18というそれは、ひとまわりコンパクトなC3エアクロスSUV(205/60R16または215/50R17)よりも細い。転がり抵抗や空気抵抗を軽減して燃費を向上させるねらいもあるだろうが、細身のパンツを身につけるのと同様、足元を軽快かつスタイリッシュに見せるためのデザイン上のアクセントになっている。

ちなみにシトロエンは、今後上陸すると目される新フラッグシップ「C5 X」においても、サルーンとステーションワゴンを融合したシルエットにSUVのデザインエレメントを盛り込み、独創的なルックスに仕立てている。今後しばらく、シトロエンはこうしたデザイン手法を採用していくようだ。

キャビンの独創性で乗る人の快適性を追求

紹介が後回しになってしまったが、C4を見ての第一印象は「さすがはシトロエン、やはり独創的だな」というものだった。インパクトの強い新世代フェイスはシトロエンだからこそ許されるアクの強さで、わかりやすい独創性を生み出している。

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インパクトの強い新世代フェイスはシトロエンだからこそ許されるアクの強さ。わかりやすい独創性を生み出している

対するインテリアで独創的なのが、助手席正面のダッシュボードにタブレット端末を固定できる格納式のスタンド“シトロエンスマートパッドサポート”が用意される点。これをありがたがる人がどれほどいるかはわからないが、シトロエンが乗り心地だけでなく装備面においても、乗る人の快適性を追求しようという意思が伝わってくる。

そうした彼らの思いは“アドバンストコンフォートシート”の採用からもうかがえる。これはシート生地裏のフォームを従来の2mm厚から15mm厚としたもので、シートに腰を下ろした瞬間「ほかとは違う」のがわかる。それは、羽毛布団のようなフカフカしたものではなく、硬質ウレタンのような反発力のある感触で、適度に硬く、適度にやわらかい不思議な感じ。このシートの座り心地も、シトロエンのウリである独創性のひとつに挙げられる。

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独自のアドバンストコンフォートシートは、表面にはパッド構造を採用した15mm厚さの特別なフォームを採用。体をやわらかく包み込む

ちなみに、C4はルーフ後半が傾斜していることもあり、リアシートの居住性が心配だったが、身長184cmの筆者が座っても、膝まわり、頭上空間ともに、なんの問題もなかったことを報告しておきたい。

●仏の高速道路を意識した安心感と快適性

キャビンの居心地と並んで、C4の快適性向上にひと役買っているのが“PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)”と呼ばれる独特のダンパーだ。

ダンパーは一般的に、バンプ側(縮み側)にフルストロークした際、最後はゴムやウレタン製のバンプラバーが入力を受け止める。そのため、バンプラバーが入力を減衰する際はダンパーのストローク時ほどソフトではなく、どうしても硬い乗り味を乗員に伝えてしまうことがある。

その点、バンプラバーの役割を果たすセカンダリーピストンをダンパー本体に組み込んだPHCは、サスペンションが大きくストロークする状況でもセカンダリーピストンが衝撃を効果的に吸収。底づき感のないやんわりとした乗り心地を提供する。これぞ独創性をモットーとする、シトロエンらしさを象徴する技術だ。

実際の効果は、市街地を低速で走るときよりも、高速道路を走っているときの方が感じられる。サスペンションの減衰と車体の動きの調和がとれていて、フラットで快適な乗り心地を味わえる。

そんなC4に用意されるパワートレインは3種類。ガソリンの1.2リッター直列3気筒ターボと、ディーゼルの1.5リッター直列4気筒ターボ、そして電気自動車バージョンが設定される。エンジン車はともに、8速ATとの組み合わせとなる。

今回試乗したのは、最高出力130ps、最大トルク300Nmを発生するディーゼルターボを搭載した「C4 シャイン BlueHDi」。

エンジンは低回転域から厚いトルクを発生するのが特徴で、市街地走行ではストレスなく、ドライバーの意図どおりに加速してくれる。また印象的だったのは高速クルージング時で、ディーゼルエンジン特有のガラガラした燃焼音もロードノイズや風切り音にかき消されてまったく気にならず、爽快の極みといった印象だ。

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フランスの高速道路は制限速度が130km/hという区間が多いが、そうしたシーンで安心かつ快適にクルージングできるよう仕立てたと思われる乗り味だ

そもそも、100km/h走行時のエンジン回転数は1600rpmほどで、回転が低い分、ノイズ面でも有利に働く。シトロエンの母国であるフランスの高速道路は制限速度が130km/hに設定されている区間が多いのだが、そうしたシーンで安心かつ快適にクルージングできるよう仕立てたのだろうと感じさせる走り味だ。

* * *

独創的な製品というと、他と違う点ばかりが強調され、中身がおろそかになったものも少なくない。しかしシトロエンにおいては、そんな心配など無用だ。「人の移動を快適にするため」という大前提をおろそかにすることなく、独創的なアイデアや技術がふんだんに盛り込まれている。今回のC4はその最新事例というわけだ。

●CITROËN C4 SHINE BlueHDi
シトロエン C4 シャイン BlueHDi
・車両価格(消費税込):345万円
・全長:4375mm
・全幅:1800mm
・全高:1530mm
・ホイールベース:2665mm
・車両重量:1380kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ
・排気量:1498cc
・駆動方式:FF
・変速機:8速AT
・最高出力:130ps/3750rpm
・最大トルク:300Nm/1750rpm
・燃料消費率(WLTC):22.6km/L
・ラゲッジ容量:380〜1250L
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)トーションビーム式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)195/60R18、(後)195/60R18

世良耕太

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