「島根の乱」丸山知事の豹変に「結局カネ欲しさのパフォーマンス」と怒り 何があった?(1)

「島根の乱」丸山知事の豹変に「結局カネ欲しさのパフォーマンス」と怒り 何があった?(1)

  • J-CASTニュース
  • 更新日:2021/04/08

「聖火リレーを中止する」東京五輪・パラリンピックの開催に公然と反旗を翻した島根県の丸山達也知事(51)。「島根の乱」という言葉まで生まれ、全国に共感のエールが広がっていたが、2021年4月6日、その丸山知事が突然、豹変した。

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東京五輪組織委員会に「詫び」を入れて、聖火リレーをやると発表した。いちおう条件らしきものも要望したが、受け入れられなくもやるという。全面屈服の屈辱だ。

いったい何があったのか――。

公式キャラ「まるやまくん」が泣く手のひら返し

地元メディアにとっても、丸山達也・島根県知事(51)の豹変は寝耳に水だったようだ。

丸山知事が突然上京して、東京五輪組織委員会に「詫びを入れた」のは2021年4月6日だが、山陰中央新報の翌日の紙面(4月7日付電子版)は、「『本人』は全国区になったのに... 島根県公式キャラ『まるやまくん』の今」という見出しのまことにタイミングの悪い特集記事を掲載した。

中身は、東京五輪開催に異議を唱えた「島根の乱」で丸山知事本人が「全国区の大人気者になったのに、丸山知事をモデルにした島根県公式キャラ『まるやまくん』は未だに活躍の場がない」という話なのだ。

山陰中央新報が、冒頭からこう報じている。

「東京五輪の聖火リレー中止の検討を表明したことが国内の各主要メディアに取り上げられ、今や全国区の知名度となった島根県の丸山達也知事。じつは、この丸山知事をモチーフにしたキャラクターが存在する。県が有名クリエイターに依頼して制作した『まるやまくん』という公式キャラがいるのだが、県外在住者はもちろん、県民でも見たことがある人は少ない。知事本人が注目を浴びる一方で、なぜ公式キャラがまったく日の目を浴びないのか。探ってみた」

2019年4月の県知事選で、歴代最年少の49歳で初当選した丸山知事だが、地味な存在のため、発信力で隣の鳥取県の平井伸治知事に大きく後れをとっていた。鳥取県の平井知事は「スタバはないけどスナバはある」「カネはないけどカニはいる」といった駄ジャレでたびたびメディア出演している。一方、島根県の露出といえば、バラエティー番組で「どっちが島根でどっちが鳥取か」といった食傷ぎみな話のタネにされる程度で、発信力の差は歴然だった。

山陰中央新報が続ける。

「そこで、丸山知事の厳命を受けた県広報広聴課が考えて生まれたのが『まるやまくん』だった=下図参照。紺色のスーツに青いネクタイを身につけ、温和な表情を浮かべた3頭身ほどのキャラ。2019年11月、2種類のポーズ絵が発表された。モデルとなった丸山知事は『可愛くはないが、活用していきたい』と自嘲気味に話した。デザインを担当したのは、人気アニメ『秘密結社 鷹(たか)の爪』の生みの親のFROGMAN(フロッグマン)こと小野亮さん。県に住んでいた縁で、島根のPRに貢献してきた。島根にはもったいないほどのビッグネームなうえに、制作費は小野さんの厚意で無償だったというから驚きだ」

しかし、お披露目から1か月ほどのあいだに広報誌や新聞広告に登場した程度で、ずっと「休務」が続いている。「政治的な売名行為ではないか」という批判の声が県民の一部から上がったからだという。さらに、県外での観光PRや移住促進イベントなどでの使用を想定していたが、新型コロナの感染拡大でそうした機会がなくなった。

山陰中央新報がこう結んでいる。

「丸山知事本人の知名度は格段に上がっている。『まるやまくん』の使用の再開や関連グッズの制作など、運用方法を再考する考えはないのだろうか。グッズに関しては、丸山知事は『厳しい財政状況で自分のキャラにお金を掛けることはしない』と話している。ただ、今の『まるやまくん』なら間違いなく県のPRに絶大な効果を発揮するだろう。制作者の小野さんの善意に応えられていない現状もとてももったいない。再起を誓う『まるやまくん』が掲げた右手の行き場、いつ見つかるのか...」

と、山陰中央新報はとても残念がっている。

しかし、この記事は二重の意味で皮肉だ。一つは、丸山知事の人気がまさに凋落した日に掲載したタイミングの悪さだが、もう一つは、丸山知事がこのキャラクターを使いたがらなかった理由が「売名行為」という批判だったこと。そして、今回、丸山知事が聖火リレーを行うことを表明したことで、「あの五輪批判のパフォーマンスは売名行為だったのか」という批判が今、起こっているからだ。

「スポンサー企業の車列の音量を低くして」

それにしても、丸山知事は、なぜ聖火リレーの中止を撤回したのか。

主要メディアの報道を総合すると、丸山知事は4月6日、突然上京して、東京五輪組織委員会の布村幸彦副事務総長と会談。聖火リレーの中止の検討を見送り、予定どおり聖火リレーを島根県内で行うと伝えた。その代わり、聖火リレーを実施するにあたって、次の3点を要望した。

(1)聖火リレーを先導するスポンサー企業の車列を聖火リレーに参加させない。(2)スポンサー企業の車列は大音量で音楽を流したりするが音量を下げる。(3)スポンサー企業のスタッフを削減して、沿道人々へのグッズ配布を行わない。

と、もっぱらスポンサー企業への要望に終始したのだった。

これに対して、丸山知事との会談後、記者会見に応じた布村副事務総長は、こう答えたという。

「丸山知事からは『スポンサー車両を参加しない形はできないのか』『スポンサー車両の音楽イベントのような大音量を下げることはできないのか』などの要望がありました。そういう事例をSNSなどでご覧になったようです。パートナー(スポンサー)の協力によって聖火リレーは実現できるもの。パートナー車両の帯同は不可欠という説明をさせていただいた。ただ、音量については、福島でのスタート以来、パートナーの方々にしていただいている。改めて相談して、検討していきたいと丸山知事にお伝えした」

そして布村副事務総長は自信たっぷりに、

「丸山知事にはご理解をいただいた」

と述べたのだった。

丸山知事は、布村副事務総長と会談後、東京・千代田区の都道府県会館で記者会見を行った。そして、スポンサー企業に関する要望について、

「3つの要望をしました。スポンサーの協力によって聖火リレーが行われているため、すべて実現するのは難しいが善処すると言ってもらえた。要望が達成される度合いは低いが、これをもって聖火リレーを中止すると判断することは、島根県民にプラスに働かない」

と述べたのだった。

つまり、要望が通らなくても、聖火リレーはやるというのだ。これでは、五輪組織委に「完全屈服」ではないか!

結局カネを引き出すパフォーマンスだったのか

丸山知事の豹変について、ネットでは「残念だ」という声があふれている。

「島根県知事には期待していただけにガッカリだ。このコロナの状況で五輪反対が過半数を超えているなか、強行しようとしている勢力に対抗して欲しかった。残念すぎる」

「県民の命と安全を守るために中止と言ったのかと思ったら、結局はカネを引き出すための交渉材料だったってことか...。愛知県のリレーの密集状態を見ると、今こそ丸山知事の意見が後押しされると思うのに。まあ、それも政治なのだろうけど、がっかりしたな」

「先ほど大阪府が公道を走る聖火リレーの中止を発表した。聖火リレーの是非が大きく問われます。それまで頑張るべきだったのに、なぜいま降りたのか。島根のドンの圧力があったのか」

「東京の感染対策を批判、五輪を開く資格がないと威勢のいいことを言っていたのに、東京は変わっていないどころか、もっと悪くなっている。筋が通らない。ミエミエのパフォーマンスだった。全国区になりたかっただけか」

「隣の鳥取県の平井伸治知事は、ルート縮小・経費削減、浮いた予算は県内のコロナ対策に充てると発表しています。島根は中止どころか削減もできない。車列の音量を下げるとか、その程度の条件闘争が目的だったのか?」

島根県民からもこんな声が。

「仕方のない妥協案だったとは思うが、県民の大半の意見を尊重し、中止で国に楯突いていただきたかった。そこが少なからず残念だ。小さな県でも国に物申す気概を見せていただきかった。名声に浮かれたり、利権に対して長いものに巻かれたりしない、そういう筋を通す強さを出してほしかった」

また、こんな声も。

「聖火リレー容認の陰に二階氏ありとは、島根県知事の手のひら返しの謎が解けました。二階氏が、聖火リレーとコロナ対応予算を結び付けた発言で脅したということでしょうか。政治からの独立が建前のオリンピック精神とはかけ離れています」

「聖火リレーを引き合いに出したのがそもそもの間違い。金をくれなきゃ協力しないよという脅しとしか見られない。もう島根県をすっ飛ばしていいのではないですか。嫌々やられても見ているこっちは気分が悪いわ」

(福田和郎)

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