ワクチン接種は公序のため!?ロンドンのコロナ禍最前線

ワクチン接種は公序のため!?ロンドンのコロナ禍最前線

  • CREA WEB
  • 更新日:2021/02/24

スーパーのスタッフはウェアラブルカメラを装着

2021年2月21日(日)現在、英国でコロナウィルスを理由とする死者の数は、12万人を超えました。感染者数はのべ410万人超。単純に人口比で計算するなら、16人にひとりという割合になるでしょうか。

その前、1月5日(火)から、イングランドはナショナル・ロックダウンに入っています。昨年3月、そして11月に続く、3回目のイングランド全域にわたるロックダウンです。とはいえ、ロックダウンとロックダウンの間も、常に地域ごとに異なる制約があり、ロンドンの場合は、生活が大きく変わったというわけではありませんでした。

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いつもは観光客でごった返すピカデリー・サーカスのエロスの像周辺。ラッシュアワーにして、この閑散ぶりです。(c)KRess Europe

当初2月中旬に見直しということになっていましたが、延期となり2月下旬に今後の計画に関する発表がなされることに。現在の一般的な見通しでは、ロックダウンの一部が解除されるのが、3月8日(月)ではないかといわれています。

今回のロックダウンで許される外出は、以下に限定されています。
(1) 食料など生活必需品の買い出しのための最低頻度の外出
(2) 1日1度の運動のための近隣への外出(ひとり、または同居している人と。または1対1ならそれ以外の人ひとりと一緒でもOKだが2メートルの距離を保つこと)
(3) 自らの医療のため、また隔離している人を助けるための外出
(4) 在宅ワークできない場合の通勤やボランティアのための外出
(5) 教育のための外出(基本的に小学校以上はすべてリモート授業)

公共交通機関、スーパーマーケットなどの屋内では、マスクの着用は引き続き義務付けされています。

これまでは決まりこそあれ、守っていない人がいても、積極的な取り締りが行われることはありませんでしたが、3回目のロックダウンにきてはじめて、警察官が駅などでマスクをしていない人を見つけては注意、または罰金(初回200ポンド、2回目以降は最大6,400ポンドまで。前回の倍に増えていく)の取り立てを行うように。

いささか遅すぎる感は否めませんが、変異株の猛威を前にようやく英国も本気を出し始めたのかもしれません。

私の住む町を見る限り、ほとんどの人が、きちんとマスクを着用して、距離を保って暮らしていますが、それでもなお、地下鉄やスーパーで鼻出しマスクやマスク不着用の人もまれにいると聞きます。

大手チェーンのスーパーなどでは、マスクの不着用をめぐって客とスタッフの間でのトラブルが急増しているという現実を踏まえ、スタッフにウェアラブルのカメラを常に装着させると決定したとのこと。

詳細はまだわかりませんが、ドライビングレコーダーのような抑止力を期待してのことかと思います。

ということで、ここしばらく、政府のスローガンは「Hands. Face. Space.」の3単語。

手洗い、マスク、ソーシャルディスタンスの3本柱を意味しています。

MicrosoftのTeamsでリモート飲み会

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※テレワーク イメージ。

テレワークに関しては、すっかり定着した感があります。

私のクライアントである出版社でも、私のようなフリーランスも含め、全員にデスクトップ、またはノートのMacが支給され、ほぼ全員が在宅で仕事をしています。

私は参加していませんが、MicrosoftのTeamsを使って、毎週末リモート飲み会も行われているようです。

現在、私の最寄りの地下鉄では、ひと車両に乗客がふたりとか3人といったことも珍しくないそう。

1回目のロックダウンのときと同じくらいガラガラだと聞きました。ただ、これも路線によってかなりばらつきがあるようです。

政府による休業補償は、大なり小なり引き続き行われていますが、飲食店や旅行業、エンタメ施設をはじめ、打撃を被っている業界は多いです。

近所の映画館も、最初のロックダウン以来オープンしたのは、わずか数週間。ロックダウンがいつ終わるのかもわからない今、再オープンの日もわからない状況です。

ワクチン接種は個人の選択というよりも公序のため

ニュースなどでご存じのとおり、英国はいち早くワクチン接種を開始したので、私の身の回りでも「受けたよ」という人が増えてきました。

政府の計画では、優先されるべき9つのグループのワクチン接種を、春まで完了させるとのこと。

なかでも最優先の4グループは、「介護ホームの入所者とスタッフ」、そして「80歳以上の高齢者と第一線で働く医療従事者とソーシャルケアワーカー」、次いで「75〜79歳の高齢者」、さらに「70〜74歳の高齢者」。以上の計1500万人は2月中旬までに完了。2月下順から残りの優先5グループである、「65〜69歳」、次いで「既往歴のある16〜64歳」、その後「60〜64歳」、「55歳〜59歳」、最後に「50〜54歳」を春までに完了させるという計画だそう。

2月17日(水)の段階で1600万人以上が1回目の接種を完了しているそうなので、計画は順調に進んでいるもよう。私の知人のなかでも70歳以上の人はすでに1回ないし2回、「既往歴のある16〜64歳」のグループにあたる人々も続々と1回目の接種を受けているところなので、ワクチンの広がりを実感しています。

気になる副反応については、知人のなかでひとりかふたり、接種翌日のだるさや微熱を訴えた人もいましたが、いずれも大事ではなく、ほとんどのケースで皆無という印象です。

英国では、ワクチン接種について、個人の選択というよりも、公序のためと考えている人が多いようにと思います。私のまわりでも、躊躇する人よりも「早く済ませたい」という人のほうが多いです。

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国民保健サービスからの「70歳未満のワクチン接種はまだ先になるので、お待ち下さい」のメッセージ。

自治体や職場で無料のセルフ検査キットを提供

ワクチン接種は進んでいるものの、(これまた遅ればせながら)水際対策の強化を打ち出している政府は、「ホリデーの旅行を予約しないように」と呼びかけています。

現在は、国籍を問わずすべての英国への入国者は、出発前3日以内に受けた検査の陰性証明書の提示と、入国後は10日間の隔離、そして隔離2日目と8日目の検査(私費負担で2回分セットで210ポンド)が義務づけられています。

さらに、日本からの入国者は現在のところ対象ではありませんが、特にリスクが高いとされている南アフリカやポルトガル、ブラジルなどの33ヵ国からの入国者は、入国後私費負担による政府指定のホテルでの隔離が必用となります。この費用が1750ポンドと高額なことと、どの国がいつ、この指定国のリスト(レッドリストと呼ばれています)に加えられるか予想がつかないため、やはり海外旅行の計画は慎重にならざるをえません。

英国に住む人々の海外旅行も影響を受けていますが、インバウンドの観光業が復活するまでには、まだまだ道が長そうです。

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セルフ検査キットの検査板。Cの位置に1本線なので陰性です。キットは数回分がセットになっています。

海外からの入国時には、私費負担にて検体を郵送するスタイルでの検査が指定されていますが、最近は市町村などの自治体や職場で無料のセルフ検査キットも提供するようになってきました。これまでも症状のある人の検査は無料だったのですが、3人にひとりは無症状という統計を受けて、症状がなくても積極的に定期検査をすることをすすめています。

やり方は簡単で、綿棒でのどと鼻の奥をぬぐって、試験液に浸し、その液を検査板にたらすと、30分後に結果がわかる、というもの。線が1本なら陰性、2本なら陽性です。

DIY、ガーデニングなどへの関心の高まり

日常の生活に関しては、もうすぐ1年にも及ぶ自粛生活にうんざりしている人がとても多いと思います。

それでも、私も含め多くの人が、いまの生活のなかでできることを積極的に探すようになってきたんじゃないかな、という気がしています。

1度目のロックダウンの頃はまだ、「生活が普通に戻ったらこうしよう、ああしよう」と待ちの気持ちで自粛していましたが、「普通の生活」がいつ戻るのかわからないいま、いまの状況がデフォルトになりつつあるのは否めません。

物理的に会えないのなら、オンラインで。ZOOMを使って国内外の友人たちとおしゃべりするのにも、すっかり慣れた感があります。

外食ができないぶん、オンラインのお料理教室を受講して家での食生活を充実させるのも、お家時間がたっぷりあるからこそ。

かねてから気になっていた、日本の料理研究家の先生が、オンライン教室を始めたと知り、国境を越えて参加させていただけるようになったのは、嬉しい出来事でした。

物理的な距離が広がる一方で、オンラインではますますボーダーレスに、気軽に交流できるようになったように思います。

食と住環境を向上させようとする気持ちは、皆共通のようで、料理、掃除、DIY、ガーデニングなどへの関心の高まりは相変わらず。

クリスマスの時期には、例年になく多くのリースがドアを飾っていました。

暗く長く、そして人に会えない今年の英国の冬は特に、皆なにかしら心を明るくするような飾り付けが必要だったのでしょう。

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今年のクリスマスはいつになく、ポマンダーやリースをつくったり、クリスマス料理をがんばったりしました。

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レスター・スクエアの夕方5時半。まるで深夜のような静けさです。(c)KRess Europe

まだまだ先の見えない日々ですが、いままでとは違うかたちで人とつながりながら、工夫とユーモアで毎日を少しでも楽しく豊かに過ごせたら……と願ってやみません。

安田和代(KRess Europe)

日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム@gezkaz
●運営する編集プロダクションのウェブサイトhttp://www.kress-europe.com/

文・撮影=安田和代(KRess Europe)

安田和代

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