
あの日のままの弟の骨 / (C)きむらかずよ/KADOKAWA
家を出ていく2人、遠ざかるエンジン音。弟と一緒に事故で亡くなった女の子
お酒を飲むと財布のヒモがゆるくなる父、よその子でも平気でしかり飛ばす母、素直になれない姉、そしてヤンチャだけど誰からも好かれた弟。
そんな家族の日常を変えたのは、深夜にかかってきた警察からの電話でした。
「息子さんが事故に遭われまして…。もしかしたら容体が危ないかもしれません…」
慌てて病院に駆けつけるも、そこには冷たくなった弟がいました。よくよく聞くと、警察が電話してきていた時には亡くなっていたという衝撃の事実が…。
大反響だった本編『16歳で帰らなくなった弟』では描かれなかったエピソードをご紹介します。

火葬場の扉は独特で / (C)きむらかずよ/KADOKAWA

誰も知らない私の秘密 / (C)きむらかずよ/KADOKAWA

お墓の中はあの日のまま / (C)きむらかずよ/KADOKAWA

大きな骨はそのままの形で残っていた / (C)きむらかずよ/KADOKAWA

隣の住宅から女性の大きな声がした / (C)きむらかずよ/KADOKAWA

生きていくって大変だなと改めて思った / (C)きむらかずよ/KADOKAWA
かけがえのない存在だった弟さんをある日突然亡くしたきむらさん。
当時の心境や今改めて思うことをうかがいました。
――当時、高校生だったきむらさん。当時、そのような状況に巻き込まれた時の心境、そして受け止めるまでの思いを教えてください。
きむらかずよさん「最初警察から連絡があった時は、弟はいろんな機器に繋がれて、生きてると思っていました。全く疑わず生きてると思っていました。病院に向かっている時、父とは、一言も会話をしませんでしたね…。
死がわかったとき、ただ周りの大人たちの動きを見ていました。
その時の様子はとても鮮明に覚えています。
弟が本当に『死んだんだ…』と感じたのは、納棺の時です。
家でまだ寝ている状態の時って本当に寝ているみたいだったんです。
でも、納棺師の方達が弟の体を持ち上げた時、それはもう『ご遺体』だったんですね。
生きてる人間はあんな真っ直ぐに持ち上がらないですから。
それで、ああ、もうここに命はないんだ、と実感しました」
――交通事故の報道は日々あります。そういったニュースを目にして思うことなどありましたら教えてください。
「新聞の片隅に乗用車とバイクの事故の記事を見つけると、胸がギュッとなります。
バイクを運転されていた方が10代だったりすると、その家族を思います…。
書籍を出版していただいてからは、事故で亡くなった方だけでなく、命をとりとめても障害が残り、事故の後遺症で苦しんでいる方からのお話を聞かせていただくこともあります。
そしてその事故によって苦しむ家族も…。
事故は当事者だけでなく、まわりも本当に辛いんだということを実感します」
私たちが毎日当たり前と感じていることは、実は当たり前じゃないのかもしれません。
家族との毎日は、ある日突然なくなることもあるかもしれない…という可能性について考えさせられます。
著=きむらかずよ/『16歳で帰らなくなった弟 外伝』
【著者プロフィール】
きむらかずよ
イラストレーター。小学1年生の時にプレゼントされた漫画『うわさの姫子』に衝撃を受け、漫画やイラストを描くように。現在は3人の子育てをしながら、新米保育士としても奮闘中。交通事故で亡くなった弟のことを綴った「16歳で帰らなくなった弟」にてデビュー。