あなたと一緒の冬。ガサガサになったあなたの指先を、優しく労ってあげられる季節

あなたと一緒の冬。ガサガサになったあなたの指先を、優しく労ってあげられる季節

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/01/13
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今朝、一足先に仕事納めを迎えた私は、あなたが仕事に出かけていく後ろ姿を見送りながら、ふと、冬が好きだと思った。日が沈むのは早いし、寒さと乾燥が気になるこの季節は、今までずっと、何だか寂しいものだと思ってた。

けれど、結婚してから初めて迎えたあなたとの冬は、今までと全く別の景色に見える。

あなたと一緒の冬は、同じポケットに手を入れる季節になった。

朝、通勤で駅まで一緒に歩く途中、手袋を忘れたと言って当然のように差し出す私の手を、ちゃんと拳一つ分の隙間を開けて自分のポケットに迎え入れてくれる。困ったような表情をしながらも、朝日が眩しそうに柔らかく笑うあなたの横顔が愛おしくなる。

きっと、気づいているんでしょう?手袋をわざと家に置いていくのを。一つのポケットの中で、二人の手が繋がった。

冷たい風に当たって鼻先がピンク色に染まる冬の朝、どこよりも温かい場所を見つけたの。

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「おかえり」が聞こえる特別な明かりめがけて真っ直ぐ帰る

帰宅する時間には、すっかり日が沈んでしまっているけれど、帰り道に外から見上げた部屋に明かりが灯っているのを見つけて、頬が勝手に緩んでしまう。道行く人たちにはきっと、気にも留まらないただの明かり。無機質に並ぶたくさんの窓の中の一つにしか見えないでしょう。

だけど、私にとっては、こんなに遠くからでもあなたの存在を感じる特別な明かり。寄り道して帰った独りの夜も尊いけれど、好きな人が待つ家に、真っ直ぐ帰る喜びを知ったよ。

私が「ただいま」と言うより先に「おかえり」が聞こえてくる玄関先で、冷え切った両耳を温かい手で覆ってもらうんだ。

荒れかけた心さえしっとり整う寝る前のふたりの儀式

乾燥するのは辛いけど、ガサガサになったあなたの指先を、優しく労ってあげられる季節でもある。見かねた私が前に一度、寝る前にベッドの上でクリームを塗ってあげたら、あなたはそれがよほど気に入ったらしい。次の日も、また次の日も、続けるうちに日課になって、あなたの指先にクリームを塗るのは私の役割になった。

翌朝が早い日も、出張から帰った日も、忙しくて晩ご飯が別々のすれ違いの日さえも欠かさない、寝る前の、おそらく5分足らずの時間。たっぷりクリームを手に取って、一本一本あなたの指先に伸ばしていく。自分の手に塗るよりも、もっとずっと丁寧に。カサカサだったあなたの肌が、少しづつ滑らかさを取り戻す。

仕上げに両手をぎゅっと握り、手の中でじんわりと油分が馴染んでいくのを感じながら、互いの体温を交換する。そうやってると、荒れかけていた心さえも、しっとりと整っていく気がするの。

「はい、できたよ」

「ありがとう」

これで安心して眠りにつける。

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たまに喧嘩だってする。互いに口数が少なくなった日だって「クリームする?」の一言に、あなたは無言で両手を差し出す。そして私はぶっきらぼうにそれを手に取り、いつもより、わざと時間をかけながらクリームを塗ってあげるんだ。

意固地になって素直になれない代わりに、そうやって1秒でも長くあなたに触れていようとするんだ。

塗り終えるのを待つより少し先に、不意にあなたの腕が伸びてきて、いつの間にかあなたの腕の中に居場所を見つける。

私たちは、少し不器用なときだって、冬を言い訳にしてちゃんと互いを温める。

あなたと出会って、この季節が好きになった。また来年、冬が来るのが楽しみになった。

多分この先もこうやって、一人だと見つけられなかった幸せが、二人だから感じられる愛おしさが、もっともっとあるんだろうな。そんなことを想像して、また幸せが循環する。

今日もまっすぐ寄り道せずに帰るよ、スキップなんてしながらさ。

Tanako

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