脳内の特定領域がウイルスや細菌の感染に伴う発熱、悪寒、疲労などの症状を引き起こす可能性、ハーバード大学研究報告

脳内の特定領域がウイルスや細菌の感染に伴う発熱、悪寒、疲労などの症状を引き起こす可能性、ハーバード大学研究報告

  • @DIME
  • 更新日:2022/06/23
No image

感染に伴う発熱などの症状を引き起こすニューロンを特定

脳内の特定の領域が、ウイルスや細菌の感染に伴う発熱や悪寒、疲労、食欲不振といった症状を引き起こしている可能性が、米ハーバード大学のJessica Osterhout氏らによるマウスを用いた研究で示唆された。

研究グループは、「高熱や、食べ物や飲み物を十分に摂取できないなどの症状が患者にリスクをもたらす場合に、こうした症状が生じるプロセスを逆転させる方法を解明することにもつながる研究結果」としている。研究の詳細は、「Nature」に2022年6月8日発表された。

人間が病気になったときには、脳が免疫システムから受け取った情報に反応して症状を引き起こすことは、すでに明らかにされていた。

しかし、脳内のどこで、どのようにそれを引き起こすのかについては謎のままだった。

Osterhout氏らは今回のマウスを用いた研究で、脳の血液脳関門に近接した内側視索前野と呼ばれる領域に、感染時に体温を上げたり、暖かさを求める行動を増やしたり、食欲を減衰させるなどの症状を引き起こす約1,000個のニューロン(神経細胞)の存在を特定した。

また、これらのニューロンには、免疫系からの分子シグナルを検知する受容体が発現していることも突き止めた。

このような能力を持つ受容体を備えたニューロンは、他にはほとんどないという。ただし、動物を用いた研究の結果が必ずしも人間に当てはまるわけではない。

Osterhout氏は、「われわれが重要視したのは、脳は、こうした免疫の状態を感知することができるという基本原理を確立することだった。この点については、これまでほとんど解明されていなかったからだ」と言う。

その上で、Osterhout氏は、「現状では、例えば、食欲が極度に減退している患者がいたとしても、われわれにできることはない。しかし、脳が症状を引き起こすしくみが分かれば、化学療法を受けている患者やがん患者など、このような症状が問題になる患者を助けることができるかもしれない」と話している。

なお、この研究の本来の目的は、自閉症患者の“発熱効果”について調べることだったという。発熱効果とは、発熱などの感染症の症状があるときには自閉症の症状が改善するという現象だ。

そのため、Osterhout氏らは発熱を引き起こすことに関わるニューロンを見つけ出し、社会的行動に関係するニューロンとの関連を明らかにしようとしたのだという。

Osterhout氏らは、今回の研究で特定したニューロンがもたらす他の作用について、さらなる検討を進めるとともに、自閉症患者における発熱効果についても再検討する予定としている。(HealthDay News2022年6月9日)

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41586-022-04793-z

Press Release
https://news.harvard.edu/gazette/story/2022/06/brain-controls-symptoms-of-sickness/

構成/DIME編集部

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加