SIMフリースマホを4機種も発表!ソニーモバイルはかつての勢いを取り戻せるか?

SIMフリースマホを4機種も発表!ソニーモバイルはかつての勢いを取り戻せるか?

  • @DIME
  • 更新日:2020/09/16
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■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はソニーモバイルの最新スマホについて議論します。

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※新型コロナウイルス対策を行っております

法律改正、コロナ禍の影響でスマホが売れない

房野氏:最近のスマホの販売状況について、どう思いますか?

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房野氏

石川氏:ドコモとKDDIは端末が売れてないですね。ドコモは去年売れすぎで、その反動で落ちている部分もありますが、5Gに期待していたけれど失速したというか、大コケした。

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石川氏

石野氏:販売台数が前年同期比で約129万台減った。マイナスが大きいですよね。金額にしたら凄まじい数。

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石野氏

石川氏:一方で、端末が売れないと営業費用が減るから増益効果は出るという、いびつな構造がある。言いたいのは、すべてコロナ禍のせいにされているけど「そうじゃないだろう、総務省」ということ。先日、総務省とモバイルの検討会があって、総務省はコロナ禍で端末が売れなくなった、という体にしていたけれど、「いやいや、法律(電気通信事業法)改正のせいでしょ」というところも多分にある。

石野氏:キャリアもコロナ禍を言い訳にしている節がある。コロナ禍のせいというか、ドコモに関しては「ショップ閉めすぎ」問題もあると思う。まぁ、一応開いてはいましたが……。

石川氏:あと「Xperia売らなすぎ」(笑)

石野氏:巻き添えでLGの「V60 ThinQ 5G」も発売が遅れて、「端末売らなさすぎ」問題もある。「iPhone SE(第2世代)」ですら4月27日の発売が5月11日に延期された。そりゃ売れないよなという感じはしますね。日本全国に何千店もあるキャリアショップが、1か月半以上開店休業状態になったので。

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「V60 ThinQ 5G」

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「iPhone SE」

法林氏:予約のみの対応だった。

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法林氏

石野氏:新規契約、機種変更ができない時期がありました。それではものが売れないよなという感じではあるので、ある意味、想定の範囲内といえばそう。それでもインパクトは大きかった。ただ、コロナの影響もありつつ、端末価格が高いせいもあるのかなと。特にドコモは5G端末が全部ハイエンドモデルで、人気の高い「Xperia 1 II」も発売を遅らせたので、影響は大きかったんじゃないかと思います。

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「Xperia 1 II」

房野氏:端末が売れないことで、メーカー側の影響はどうなのでしょう?

石川氏:追加発注が見込めないことは大きい。

石野氏:最近はイニシャル(最初の発注)を少なくして、売れたら追加発注というやり方をしている。

法林氏:昔はどかんと仕入れた。「この月はこれくらい、この月はこれくらい」という感じで納品してもらっていたけれど、今は最初の数を絞る。

房野氏:メーカーは、初期ロットは少ないにしても、このへんに注文があるだろうと予想して生産の計画を立てるわけですね。今はそれも崩壊状態でしょうか。

法林氏:計画を立てられるところじゃないと、うまく生き残っていけない。これは僕の勝手な読みですが、シャープを見ていると、SIMフリーとキャリア向けモデルとMVNO向けと、似たようなモデルだけど出る時期を微妙にばらけさせている気がするんです。そういう対策かなって気がしている。

石野氏:メーカーはまず、キャリアへの納品が最初ですよね。

法林氏:その後、どうやって売って行くのかがポイント。基本的に国内メーカーおよび海外の主要メーカーは、3キャリア、2キャリアが最優先。

ソニーはキャリア優先の姿勢が強すぎる

石野氏:ただ、ソニーくらい離れてしまうと忖度感が出てくる。

石川氏:ソニーは忖度するよね。

法林氏:言うねぇ(笑)

房野氏:えーっと、ソニーモバイルはどこに忖度しているんですか?

石川氏:今回のXperia 1 IIのSIMフリー版発売予定だって、10月30日じゃないですか。出すなら、もっと早く出せよってことですよ。どう考えてもドコモとKDDIに気を遣いすぎている感じがする。また、「ラインアップを見直してわかりやすくします」と言っていて、確かに1から10まで、数字によるラインアップになったけれど、数が滅茶苦茶多いじゃないですか。

法林氏:(Xperia)「1」「1 Professional Edition」「1 II」「5」「8」「8 Lite」「10 II」「Ace」。

石野氏:1 Professional Editionはもう売っていないですけどね。

石川氏:さらに、これって微妙に販路が違う。「こんなになくても良くない?」って感じ。Xperia 1 IIと「Xperia 10 II」だけでいいじゃんって思う。

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「Xperia 10 II」

石野氏:「Xperia 8 Lite」も「Xperia 8」でいいじゃんと。

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「Xperia 8 Lite」

房野氏:あの2機種はスペックがほとんど同じですね。

石野氏:あれこそ忖度ですよ。

石川氏:バッテリー容量が違いますけどね。

法林氏:よくわからないんだけど、キャリア基準の容量の測り方と違うから数値が違うんじゃないかと。筐体のサイズは同じだから。

石野氏:Xperia 8 LiteとXperia 8の違いを質問したら、圧縮音源をハイレゾ相当に変換できる「DSEE HX」が「8 Lite」は省かれているだけということだった。あとカラーバリエも少ない。

石川氏:ソフトウエア的なことでしょ、取って付けた説明って感じがする。

石野氏:まぁ、そうですね。だから忖度なんですよ。

石川氏:自分が思ったのは、総務省の割引規制で、最終調達から1年経ったら半額まで割引していいというルールがあるので、もしかするとXperia 8は早めに調達を打ち切って安く売れるようにするとか、型番を落とすために、あえてああしたのかなと推察したんだけど、よくわからない。

石野氏:Y!mobileが最初にXperia 8を発表してから1年近く経っているので、まぁ、価格はもともとは高かったですけど……

法林氏:今、「8」の市場価格は2万円だもんね。それを「Lite」は3万円で売るわけでしょ。サウンドの機能を落としたのに3万円。

石川氏:値段を上げるために新しい端末として見せているんじゃないかと。

石野氏:販路は違います。「8」はY!mobileとau、UQ mobileでしか売っていなかったので、純粋なSIMフリー版はなかった。「Lite」はSIMフリーで、IIJmio、mineo、nuroモバイルが扱いますね。

石川氏:だから、販路を意識しているわけですよ。「8」は大手キャリア、「Lite」はMVNOだと。

石野氏:販路を変えただけ。

石川氏:でしょ。それってユーザーのためになっていない。

法林氏:それはしょうがない、そんなのは昔から。キャリアに向かって仕事をしているんだから。

石川氏:でも、ユーザーが「この端末がほしい」と思った時に、自分が契約しているキャリアでは扱っていないってことになる。それは違うでしょ。しかもSIMフリーになれば、ユーザーが選択するものだから、誠意がないなと。

法林氏:突っ込みどころはたくさんあるけれど、今回のXperiaのSIMフリー版の話の中で評価できるのは、補償サービスの「Xperia ケアプラン」を入れたことくらい。これは良かったと思うけど、ソニーストアで買わないと適用されない。量販店で買った場合はダメなので、それでいいのかな? とは思う。

石野氏:あと、値段が安いといえば安いですよね。「Xperia 1」もスペックを考えると。

法林氏:でも、Xperia 1でしょ。

石野氏:Xperia 1 IIもau版と比べると……

法林氏:それはau版が高いから。auが盛り過ぎ。

石川氏:税金と家電量販店の10%割引を含めると、ドコモ版とトントン。

石野氏:auのXperia 1 IIは13万円くらい。スペックを考えるとau版より安いんですよ。auでXperia 1 IIを買った人は、涙なしでは語れない感じ。

法林氏:そこらへんは可哀想。値段が買う場所によって1割以上違うことが起こる。

石川氏:そうだし、SIMフリー版を出すなら最初に言ってよと。

石野氏:最初に言ってくれていれば、素直にSIMフリー版を買った。

法林氏:それはわかるけど、今年の2月の発表の段階では、Xperia 1 IIはキャリアにしか出さないと思っていたのかもしれないでしょ? だけど売れないから「じゃあSIMフリー版を売ろう」という話になったとか。Xperiaがコロナ禍を乗り切るためにやった施策かもしれない。

石川氏:うーん……ただ、Xperia 1 IIのSIMフリー版は、メモリが多くてデュアルSIMということで、Xperiaが好き、ソニー好きという人が欲しがるようなスペックになってると思うんですよ。だけど、多くの人、Xperiaファン、ソニーファンはすでにキャリアで買ってしまっていて、そういう人たちは裏切られたと感じたんじゃないかと思う。今回のやり方が本当に正しかったのかという疑問は残る。

石野氏:強烈な信者は、たぶん買い換える(笑)

法林氏:Xperia 1 IIのSIMロックを外したモデルは高く売れるしね。

石野氏:そうですね。今だったら高く売れるので、今のうちに売って、それを資金にしてSIMフリー版を買う。

法林氏:ちなみに、今(2020年8月下旬)、Xperia 1のau版はイオシスで売値が3万3800円から5万7800円。だいぶ落ちたね。「5」の方が高くて6万7800円から7万2800円。「1 II 5G」は11万4800円から12万4800円。これは高いね。

石川 Androidスマホはすぐ値崩れするので、自分はさっさと売ります。

層の厚いミドルレンジ市場でXperia 8 Liteは勝てるか

石野氏:でもまぁ、ソニーモバイルの場合、フラッグシップモデルがSIMフリーとして出ることが今までなかったので、今回はその第一歩として良かった。

法林氏:良かったと思う。ただ、ソニーぐらいのブランド力があるのであれば、Appleみたいに、あそこまで強烈にはなれないでしょうけど、Appleのような立ち位置に寄っていって、「こういう製品を作りました。ドコモにもauにも世界の各社にも、もちろんSIMフリーでも出しますよ」くらいのスタンスで売ってくれればいいんだけど、残念ながら世の中的にそういうことでは買ってもらえない時代になってしまった。

あと、今回のSIMフリー版の発表に対してTwitterでは結構辛辣な意見が多い。「昔は好きだった」「Xperiaはもう昔の端末」「Galaxyがいい」とか。Twitterだからあえてそういう書き方をしたのかもしれないけど。もう一度ファンを取り戻す努力をしないと、Xperiaは厳しいと思う。

石川氏:ソニーの決算を見ると、毎年毎年半減していますからね。ユーザーが明らかに減っている。ただ、SIMフリーモデルを販売する時に、例えばデジカメの「α」の横にXperia 1 IIを置くとか、そういう売り方ができるのであれば、まだソニーもチャンスがあるかなと。ただ、ソニーのカメラ部隊とモバイル部隊の営業がどこまで仲が良いかわからない。

法林氏:作るところは連携してきたけど、営業はまだ別だからね。

石野氏:Xperia 1 IIのカメラはいいですよ。

法林氏:そうはいっても、ハンディカムもデジタルカメラも、家電量販店の販売コーナーはどんどん小さくなっている。スマホコーナーの方が広くなっている。

石川氏:あと、去年のモデルであるXperia 1とXperia 5のSIMフリー版を出す必要があったのかな。

法林氏:「5」は出しても良かったけど「1」はいらないかな。

石野氏:発売して1年半以上経っていますからね。だからこそ安くなっているんですけど。

石川氏:とはいえ、今買うかな。

石野氏:それを言えば、Xperia 8 Liteも本当に今、買うかと。

石川氏:Xperia 10 IIのSIMフリーだったらわかるんだけど。

石野氏:そうですよね、という原稿をさっき書いて送ったところだったんです(笑)。「8」がどんな端末だったかなと思って、改めて過去に自分が書いた記事を読み返したんですけど、背面のデザインはソニーっぽくない、カメラもなんか画質が良くない。「1」のSIMフリーはFeliCaが使えないし、微妙にスペックダウンが多い。デジカメの売り方に近くしたかったのかなと思ったと同時に、ちょっと厳しいなと思いました。

法林氏:スマホであれをやるのは無理があるよね。

石野氏:ただ、3世代くらい前のハイエンド端末だったら処理能力的には今のミドルレンジくらいなので、ギリギリ使えるかなとは思います。

法林氏:Xperiaは頑張ったのはわかるんだけど、世の中に3万円くらいのAndroidスマホがたくさん出ていて、去年まで良かったファーウェイの売れ行きが、今年から流れが変わってOPPOなどが売れている状況を見るとね……シャープだけにお客さんを取らせているわけにいかないということで挑んできたんだけど、「8 Lite」は実質的に去年の端末なので、ちょっと厳しいかなという状況。中国メーカー勢にもXiaomiが出てきていることを考えると、ちょっと厳しい。

石野氏:そうですね。「10 II」だったらもっと戦えるのになぁって気がする。そこはやっぱり、もうひと忖度、減らした方が良かった。

法林氏:いろいろ手は尽くしているんだけど、手の尽くし方のバランスが取れているかというと、そうでもない。確かに今「8 Lite」を出したら喜ぶ人はいるだろうけど、使ってみると、いろいろと今イチなところがバレる。Xperia 8 Liteのアピールで、性能を比較されているのが「Xperia XZ2」。つまりXZ世代からこんなに良くなったとアピールしていて、その世代のユーザーを「1」以降のXperiaに取り込みたいという意図がよく見える。その世代のユーザーは多いんですよ。XZシリーズの時に人気が落ちていったんだけど、「Compact」モデルがあったりして一定数いるんですよ。

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「Xperia XZ2」

石野氏:失敗だったと言われている期間をスルーして、使い続けてくれていた人たちがXperiaを離脱しないように、そのまま維持しようという考えもあると思います。

法林氏:シャープは、端末ラインアップがばらけていたのを、Rシリーズでまとめた。基本的に「R」と「sense」で揃えていった。その中で、senseシリーズは各販路別に少し忖度したものもあるけど、Xperiaの場合は、せっかく統一されたものをバラした。

石野氏:そうなんですよね。

法林氏:「8」だけちょっと飛び出しちゃったんだよね。

石川氏:ほんとにね……

石野氏:シャープの場合、メインがあって、ちょっとauに忖度して「AQUOS sense3 plus サウンド」っていうよくわからないモデルもあるんですけど、逆なんですよ。メインがキャリアになりつつ、MVNOにはliteを付けておこうか、みたいな。

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「AQUOS sense3 plus サウンド」

法林氏:sense3シリーズは確か、キャリア版とSIMフリー版は同じもので、MVNO向けに「lite」があり、法人向けに出している「basic」はさらに値段を下げて、いろいろ省いている。

石野氏:カメラがシングルとか。

法林氏:そう、そこはコスト重視で行っている。

石野氏:そういうのは理解できるんですよ。

石川氏:あくまでsenseがベースにある。ソニーは「1」「5」「8」「10」があって、その差があまりないこともあってわかりにくい。

法林氏:「どれが私に合っているの?」って感じがするよね。

石川氏:そうなんですよ。

石野氏:「8」と「10」の両方はいらない。

石川氏:当初は日本に「8」があって、グローバルは「10」だった。そういう棲み分けなのかと思ったら「10」が日本にやってきた。

石野氏:混ざっちゃったんですよ。

石川氏:ごちゃごちゃになった。

石野氏:「1」「5」「10」にしても良かった。「8」という名前を使わなきゃいいのになと。

石川氏:そのうち絶対「7」とか「4」とかが出てきそうだなと。

......続く!

次回は、サムスン、ファーウェイのスマホ事情について話し合う予定です。ご期待ください。

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法林岳之(ほうりん・ たかゆき)

Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

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石川 温(いしかわ・つつむ)

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

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石野純也(いしの・じゅんや)

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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房野麻子(ふさの・あさこ)

出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

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