熊谷彩春、“演じる”ことは「いちばんの楽しみで生きがい」 2歳からの夢を実現した女優人生の転機とは

熊谷彩春、“演じる”ことは「いちばんの楽しみで生きがい」 2歳からの夢を実現した女優人生の転機とは

  • マイナビニュース
  • 更新日:2022/11/25
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●『東京ラブストーリー』で難役に挑戦

『東京ラブストーリー』ミュージカル化に、柿澤勇人「どうなっちゃうの?」濱田龍臣は緊張

27日から東京・東京建物 Brillia HALLで上演されるミュージカル『東京ラブストーリー』に出演する熊谷彩春。同作は、1988年に連載開始された柴門ふみ氏の同名マンガで、1991年にドラマ化されると大ヒットを記録し、2020年にも令和版としてリメイクされた。熊谷はマンガを原作としたミュージカル版の海キャストとして、今作の主人公・永尾完治(濱田龍臣)が高校時代から思いを寄せる関口さとみ役で出演する。

今回は、大人気マンガのミュージカル版に出演する意気込みをはじめ、難役だと話したさとみ役へのアプローチや役作りのこだわりなどについてインタビュー。また、幼いころからの夢だったというミュージカルの世界を目指したきっかけや、海外での生活が与えた価値観の変化など、自身の半生についても振り返ってもらった。

○■さとみを演じる難しさ「女性から人気のない役だったと聞いて…」

――今回、ミュージカル『東京ラブストーリー』に出演が決定しました。作品自体はご存知でしたか?

お話を頂く前は名前を知っているだけで、トレンディドラマの代表的な作品だという印象でしたが、出演が決定してから原作のマンガを読ませていただきました。そこからハマってしまって(笑)。かなり前に書かれている作品ですが、現代の若者に通ずるところも多いなと感じて、一晩で読破しました! その後に平成版と令和版のドラマを拝見して、どれも違った良さがあったので、今回のミュージカルでもまた新しい面白さを出していきたいと思っています。

――過去作品は予習済みなんですね。今までの映像作品と今回のミュージカル版ではどういった違いがありますか?

ミュージカルのいちばんの魅力は音楽だと思います。今作でも登場人物の心情表現が音楽なんです。完治、リカ、三上、さとみ4人それぞれの心情を1曲の中で4重奏で歌うシーンは、ミュージカルでしか成立しない表現方法だと思うので、注目していただきたいです。

――令和版ドラマで同役を演じた石井杏奈さんと『リトル・ゾンビガール』(22)で共演されましたが、作品や役についてアドバイスなどはありましたか?

話しました! さとみってすごく難しい役だよね~と(笑)。自分の気持ちがぐちゃぐちゃになる役だというのを共感してもらえました。平成版のドラマでは、さとみは女性から人気のない役だったと聞いて、2人で“私たちだけでもさとみを全力で愛していこうね!”と(笑)。つい先日も会って話をさせてもらえて、役作りで悩んだら連絡させて! と甘えさせてもらっています。

○■22歳の現在地「まだまだ自分を確立できていない」

――同じさとみを演じたからこそ分かち合える唯一の存在ですね。熊谷さんが演じる関口さとみと、ご自身との共通点はありますか?

さとみ役が決まってから原作を読んだので、さとみの心情の変化を追いながら読んでいきましたが、さとみは東京に出てきて、右も左も分からない中で、一生懸命生きているといった印象で、本当の自分をまだ見つけられていなくて、見つけるまでの過程が描かれていると感じました。そこが今の私とも重なるなと思います。22歳の今、私もまだまだ自分を確立できていないですし、毎日必死ですね(笑)。さとみは恋やいろんな経験を重ねて、自分の居場所を見つけていくので、その姿を表現すると共に、私もいつかそうなれるように……。

――熊谷さんもまさに自分探しの途中だと。

そのためにミュージカルをやっているといっても過言ではないです。物心ついたときからミュージカルが何よりも大好きで、今こうやってお仕事としてやらせていただいている中で、役を演じながら自分自身と向き合う時間もあるんです。自分だったらどうする? とか1人になって台本と向き合うと、役について考えているはずなのに、結局は自分自身と向き合っているんです。今回のさとみを演じていてもその感覚は強くありましたし、何かつかめそうな気もしています。

○■役作りのこだわり「体験できることは実際にやる」

――自分自身のヒントが今作にはありそうです。また、幼稚園の先生であるさとみの役作りのために、実際に先生の1日体験もされたとTwitterでつぶやかれていました。普段から役作りのために、そういった体験をなさっているのですか?

できることはしてから稽古に入りたいと思っていて、今回は幼稚園の先生役だったので、体験をさせてもらいました。あと、さとみは今治市出身なので、今治に実際に行って、舞台になっている場所や登場するご飯、地ビールを飲んだりしました。役作りと言っていいのかは分からないんですけど、楽しかったです。タクシーの運転手さんがすごく郷土愛の強い方で、今治弁やおすすめのスポットなどを教えて頂いて、すごく充実した時間になりました。

また、以前、出演した『笑う男』という作品で、目が見えない役を演じたときには、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」という視覚障害について学べる施設があって、2時間半くらい真っ暗闇の中で白杖を手に持ちながら歩いて、目が見えない方の世界を体験しました。本などで得た知識はあったけど、やっぱり経験しないと分からないこともあるなと思っているので、できる限り体験できることは実際にやるようにしています。

――毎作品そうやって役作りをされているんですね。

台本を頂くと、まず読みながらやれることを探します。今回で言うと、さとみの恋人である三上くんは研修医の役なので、医学部に在籍している友人に“これって何?”とか、“この病気はどういう検査をするの?”とか研修医の1日のスケジュールなどを質問しました。彼氏が医療系だったら、一緒に住んでいるさとみもある程度は知っていると思うので、自分の役だけでなくて、関わりのある部分を含めて準備します。

●ミュージカルとの出会い、そして女優へ

○■イギリス・ウエストエンドで出会ったミュージカルの世界

――そもそもミュージカルに興味を持ったのはいつ頃からですか?

父の転勤でイギリスに住んでいた2歳のときに、両親に連れられてウエストエンドでミュージカル『ライオンキング』を観たのが始まりです。そもそも歌うことや踊ることが好きな子供だったので、大好きなもの・ことが詰め込まれているミュージカルに出会ってしまって、それ以降は、弟を巻き込んで家でもずっとミュージカルごっこをするくらいハマってしまいました。

――幼少期の夢とかって変わったりすることが多いと思うんですが、熊谷さんは最初に抱いた夢を実現されたんですね。

幸せなことに夢を叶えることができました。幼稚園の卒業文集にも、ミュージカル女優と書いていましたね……。あと、小学生のときは自分で台本を書いて、お昼休みに友達と昇降口でミュージカルを上演していました! 今思うとすごく変わった子だったなと思います(笑)。でも、ありがたいことに周りの子もみんなミュージカルに興味を持ってくれて、夏休みとかに一緒に観劇したりしていました。完全に私が巻き込んだ形です(笑)。私が今のお仕事を始めてからも、みんな全作品を観に来てくれていて、そのうちの1人はカーテンコールで毎回泣いちゃうんです(笑)。小学校の昇降口でやっていたことがお仕事になっている私の姿を見て、感動してくれています。親心ですね(笑)。

○■人生に大きな影響を与えた海外生活「大反対でしたが…」

――意外と行動的な幼少期だったんですね! 明確に仕事として女優をすると決心したタイミングは覚えていますか?

2、3回ありました。初めてプロの舞台に立ったのが劇団四季の『サウンドオブミュージック』で11歳のときでした。そこで初めてプロの厳しさを目の当たりにして、泣いたり悔しい思いもたくさんしましたが、ステージに上がるとやっぱり楽しくて。そこで本気でこの世界でやっていきたいと思いました。ただ、その後に父の転勤でマレーシアに行くことになってしまったんです。私はミュージカルを続けたかったので、大反対でしたが、当時の恩師に「本当に俳優をやりたいなら、色んな世界を自分の目で見て体験してくることが大事」という言葉をかけてもらって、心を決めました。

――かなり難しい選択ですね。マレーシアでの生活は実際どうでしたか?

大好きすぎて今度は逆に帰りたくなくなっちゃいました(笑)。今まで見たことのない新しい世界で、そのときの経験が今でも活きているなと『リトル・ゾンビガール』で強く感じました。

マレーシアでできた親友はイスラム教徒のイエメン人の女の子なんですが、その子は日本のアニメが大好きでした。AKB48さんが大好きなインドネシアの部族の子もいました。日本にいたら出会うことのなかったかもしれない人たちと出会えて、“人間はみんな一緒で、大事なのは中身なんだ”と気付くことができました

――中学生でその経験をするのは貴重ですね。そして日本に帰国されてからは、またミュージカルの世界を目指すと。

帰国してから中学3年生で声楽を始めましたが、実は進路に悩んでいたんです。周りは受験に向けて勉強している中で、私はいいんだろうかと考えてしまって。でもそのときに出場したコンクールで優勝できて。その審査員の方に、「君はこのまままっすぐ進んでいってほしい」と言っていただけて、背中を押してもらいました。それでも、高校に進学してからも不安で、この仕事はなりたくてなれるものじゃないですし、毎晩のように泣いている時期もありました。

高校2年のときに、『レ・ミゼラブル』のオーディションに合格して、最大の転機を迎えたと思います。おかげさまで今もこうして好きな世界で生きているので、周りに恵まれていると思いますし、本当にありがたいです。

○■ミュージカルを飛び出し、映像作品にも意欲

――では最後に、今年も残りわずかとなりましたが、やり残したこと、またこれからやりたいことはありますか?

先ほどからお話しを聞いていただいていて、お分かりの通り、私はやりたいと思ったら即行動する人間なので、やり残したことは本当にないんですよね……。強いて言えば、大掃除ですかね~。やっていないのはやりたいと思っていないからなんですけど(笑)。やらないと! と思いながら、ついつい後回しになってしまっています。

やりたいことは、これからも演じ続けること。私にとって“演じる”ことはいちばんの楽しみで、生きがいなので、やったことのある役ももちろん、今作のような新しい役やジャンルも幅広く演じたいです。自分の中にその要素がない役こそ、やってみたいですね。演じることで自分の中の要素を引っ張り上げて、新しい自分を見つけていきたいです。ミュージカルだけでなく、映像でのお芝居や海外作品への出演などまだまだ挑戦していきたいです。

■熊谷彩春
2000年4月2日生まれ。千葉県出身。2019年にミュージカル『レ・ミゼラブル』のコゼット役に史上最年少で抜擢され、2021年に上演された同作にコゼット役で再度出演した。ミュージカル『魍魎の匣』(21)や、ミュージカル『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』(22)になどミュージカルを中心に活動し、NHKみんなのうたミュージカル『リトル・ゾンビガール』(22)では主演も務めた。ミュージカル『東京ラブストーリー』に海キャスト・関口さとみ役で出演。東京公演は11月27日から東京建物 Brillia HALL、大阪公演は12月23日から大阪・梅田芸術劇場シアター ドラマシティ、愛知公演は2023年1月14日に刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール、広島公演は2023年1月21日・22日にJMSアステールプラザ大ホールで上演される。

神尾拓麻

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