平均取得日数は10.1日...「有給休暇」取らざるを得ない実態の真相

平均取得日数は10.1日...「有給休暇」取らざるを得ない実態の真相

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/10/14
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東京五輪開催によってカレンダーに変更があったことを忘れ、「10月11日は祝日でなかった!」と焦った人は多くいたようです。そのようなドタバタ劇がありましたが、日本は世界的にも祝日の多い国として知られています。しかし休みが多いという感覚がないのは、なぜなのでしょうか。厚生労働省『令和2年賃金事情等総合調査』などから、日本の「有給休暇」の実態について見ていきます。

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入社から6ヵ月で10日…法律で決められている有給休暇

自分には有給休暇が何日与えられているのか、そして今年はあと何日残っているのか……。この問いにパッと答えられる人は珍しいのではないでしょうか。

有休、正しくは年次有給休暇といいますが、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のこと。有給で休むことができる、すなわち、休んでも給与が減らされることのない休暇のことです。

略すときに「有休」か「有給」か迷うところですが、「有休」は有給休暇の略語で、「有給」は「給料の支給があること」を意味する言葉として辞書に掲載されていることから、「有休が正しい」とする説が有力です。ただし「有給」と記すメディアもありますし、厚生労働省の資料には「有休」も「有給」、どちらも使われていますので、一概に「有給」は間違いとはいえないようです。本記事では「有休」と記していきます。

話を元に戻すと、有休については労働基準法第三十九条に以下のように定められています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

つまり有休は、雇い入れの日から6ヵ月間継続して全労働日の8割以上出勤した際に10日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、その1年間の全労働日の8割以上出勤していれば、11日の年次有給休暇が付与されます。

【通常の労働者の付与日数】

「6ヵ月」→「10労働日」

「1年6ヵ月」→「11労働日」

「2年6ヵ月」→「12労働日」

「3年6ヵ月」→「14労働日」

「4年6ヵ月」→「16労働日」

「5年6ヵ月」→「18労働日」

「6年6ヵ月」以上→「20労働日」

出所:厚生労働省ホームページより

有休は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準法で定められています。ただ使用者は「事業の正常な運営を妨げる」場合は、他の時季に有休を与えることができます。つまり「このタイミングで有休を取られると困る」と会社からいわれる可能性があるということ。ただ有休は労働者の権利であることに変わりはありません。

統計にみる…有給休暇は何日ある?何日取っている?

実際に、どれほどの有休が与えられているのか、厚生労働省『令和2年賃金事情等総合調査』で見ていきましょう。

まず労働時間の平均時間。所定労働時間(会社が定める労働時間)は、年間平均は1871時間27分、週間平均は38時間30分、1日平均では7時間43分です。産業別に見ていくと、最も年間労働時間が長いのは「飲食・娯楽」で2016時間、最も短いのが「商事」で1767時間23分。

また年間の休日日数は、平均122.9日。産業別に見ていくと、最も休日が多いのは「建設」で平均126.5日、一方で休日が少ないのは「運輸・交通」で平均108.4日です。

【産業別「年間所定労働時間」】

「飲食・娯楽」2016時間

「貨物運送」2004時間

「運輸・交通」2002時間

「百貨店・スーパー」1940時間30分

「私鉄・バス」1914時間44分

「建設」1884時間05分

「製造業」1875時間45分

「ガス」1872時間20分

「産業平均」1871時間27分

「鉱業」1857時間15分

「電力」1841時間40分

「海運・倉庫」1832時間15分

「新聞・放送」1800時間30分

「銀行・保険」1786時間12分

「商事」1767時間23分

【産業別「年間休日日数」】

「建設」126.5日

「電力」125.6日

「鉱業」124.8日

「商事」124.0日

「製造業」123.8日

「産業計」122.9日

「銀行・保険」122.8日

「ガス」122.7日

「私鉄・バス」119.4日

「新聞・放送」115.6日

「百貨店・スーパー」115.5日

「海運・倉庫」115.3日

「貨物運送」114.5日

「飲食・娯楽」113.5日

「運輸・交通」108.4日

出所:厚生労働省『令和2年賃金事情等総合調査』より

産業によって労働時間はまちまちですが、有休はどうでしょうか。勤続6ヵ月で付与される有休は平均13.3日。勤続1年では15.9日、1年半で16.3日、2年で16.9日、3年で17.7日、4年で18.6日、5年で19.6日、6年で20.2日、6年半で20.4日、10年で20.5日、20年で20.6日。勤続年数が3年あたりまでは法律で定められている休日数を大きく上回る休日を付与する傾向にあり、勤続6年以降は法定休日程度となっています。

産業別に「最高付与日数」を見ていくと、「新聞・放送」が最も多く26.0日。続いて「建設」が21.2日、「鉱業」が21.0日と続きますが、多くの産業で20日と、法定休日数通りの有休を認めている現状が見えてきました。

【産業別「最高付与日数」】

「新聞・放送」26.0

「建設」21.2

「鉱業」21.0

「海運・倉庫」20.7

「産業計」20.6

「製造業」20.6

「運輸・交通」20.4

「私鉄・バス」20.2

「銀行・保険」20.0

「貨物運送」20.0

「電力」20.0

「ガス」20.0

「百貨店・スーパー」20.0

「商事」20.0

「飲食・娯楽」20.0

出所:厚生労働省『令和2年賃金事情等総合調査』より

勤続6年以上であれば20日程度の有休が取れるのが一般的。しかし「日本は世界でも休まない国」として有名です。厚生労働省『令和2年就労条件総合調査』によると、2019年の有休取得率は56.3%と前年から3.9%の増加、平均取得日数は10.1日と前年から0.7日の増加となりました。政府は2020年に有休取得率70%以上を目指すとしていました。2020年、突如世界を襲った新型コロナウイルス感染症の影響がどれほどあるか明らかになっていませんが、到達は困難と見られています。

さまざまな視点から有休を見ていきましたが、意外にも平均で10日以上も有休を取得しているという現状が見えてきました。労働基準法の改正で「従業員の有休取得」が企業の義務となり、以前よりも有休を取りやすい(取らざるを得ない)環境になっているでしょう。

それでも「有休を取得している人」と「有休を取得しない人(取れない人)」の差は大きいのではないでしょうか。そもそも有休は「労働者の心身の疲労回復」「労働力の維持培養」「ゆとりある生活の実現」を目的とした、働く人たちの権利。仕事のパフォーマンスを上げるためにも、「休むとはいいにくい」と言い訳せず、有休を取得したいものです。

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