「EOS R5/R6」レビュー後編 新生「R」に花を添える“ナゾの超望遠”

「EOS R5/R6」レビュー後編 新生「R」に花を添える“ナゾの超望遠”

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/08/04
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前回の「ハッとしてR6、グッときてR5!」に続く、キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R5」「EOS R6」のレビュー後編。EOS R5/R6の撮影性能の高さを評価する落合カメラマンですが、同時に発表した2本の望遠レンズにも興味津々の様子。この価格とスペックなら描写性能やAF性能はそこそこ止まりだろう…と考えていたものの、よい意味で予想を裏切る性能を見せてくれたようです。

キヤノン「EOS R5/R6」レビュー前編 ハッとしてR6、グッときてR5!

さて、キヤノン「EOS R5」と「EOS R6」の後半戦であります。

両機は、ミラーレス機としてトップレベルに立てるAFの動体追従性能を有しているのだけど、ともにメカシャッター(電子先幕時最高約12コマ/秒)よりも電子シャッターによる連写(最高約20コマ/秒)の方が動体に対する合焦率は上であるように感じられている。メカシャッターでは、連写中ブラックアウトするコマ間で、動体をつかんでいるピントが少しずつ外れていくような挙動が感じられることがあり、場合によっては「動体予測のわずかなズレが蓄積するかのように、ふわ~っと大ボケになっていく」ことも。

で、そうなることが多かったのは、少なくとも今回試用した個体においてはR5よりもR6だった。前編で「EOS R5の方が動体追従とピントの精度に関し確実性が上だった」といっていたのはそのため。確かな差が感じられている。
ゆがみは条件によってはまだ気になる

というワケで、動体撮影時は電子シャッターだけで攻めたくなってしまい実際、今回は9割方電子シャッターで撮っていたのだけど、そうすると気になってくるのが、いわゆる「電子シャッターゆがみ」ってやつ。EOS R5とEOS R6の電子シャッターゆがみは、従来よりは格段に抑えられているとはいえ、他社の「電子シャッター命!」の20コマ/秒モデルとの比較ではまだ物足りなさを覚えるレベルだ。

もちろん、何をどんな風に撮るのかによってその判定は異なるので、使用者それぞれがそれぞれのフィールドで確認すべきポイントではあるのだけれど、私の場合は人工物が背景になっている状態でカメラを大きく振りながら撮るようなシチュエーションでは、電子シャッターの使用には若干の躊躇いを感じるであろう手応えであると判断することになっている。でも、前述の通り電子シャッターを選択することの恩恵も大。要は、ケースバイケースで電子とメカの両方を積極的に切り替えろっつうことなのだろうけれど、少なくとも両機の電子シャッターは、サイレント撮影するためだけのものではないのは確かだ。

ちなみに、EOS R5とEOS R6のどちらの電子シャッターゆがみが小さいのかといえば、これが意外なことにEOS R5であるように感じられている。そんなに大きな差があるわけではないのだけど、画素数の違いを考えるとR5のセンサー&処理系が発揮している“スピード”は圧倒的であるように思える。イメージセンサーのデバイスとしてのグレードは、なんだかんだいってもEOS R5の方がはるかに上なのだろう。

それが実勢価格の差に反映されていると考えるならば、動体追従時のAFの動きやシャッター耐久の差(EOS R5が50万回でEOS R6が30万回)などを含め、両者の間には価格差にすんなり納得できる違いがたしかにあるといえる。似て非なるのは、ボディ上面の操作系や使えるメモリーカードの種類、シンクロソケットの有無、搭載するWi-Fiの仕様、8K動画が撮れるかどうか……だけじゃないってことなのだ。

意外なほど実用性が高かった2本の超望遠レンズ

今回は、新生EOS R兄弟の強大な実力だけではなく、一緒に出てきたRF600mm F11 IS STMとRF800mm F11 IS STMのユニークな着眼点とその想像を超える実力にもシてヤラれている。こういう発想って、数字だけの高性能や旧態依然とした「プロが好むシステム構成」だけに目を奪われていると絶対に出てこないと思う。個人的には、写真を撮るためのカメラを作り続けてきたキヤノンの底力が現代に思わぬカタチで発揮されたと受け止めるに至り俄然、使ってみたくなった次第。

箱から出すときに思わずニヤけてしまったレンズは初めてだ。どんな使い心地なのか、どんな写りをするのかまったく想像もつかないという、期待と怖いモノ見たさがない交ぜになったニタニタだったような気がする。そして同時に、焦点距離だけを見るならば「とてもお安くて軽い」レンズであるぶん、パーフェクトな使用感が得られるワケはないと身構えてもいた。「100歩譲って画質は及第点でもAF、とりわけ動体を撮ろうとしたときのAFの動作には鈍さを感じるだろうなぁ」という事前予測が、使用後にガッカリしないための予防策として最初から私の中には設定されていたのだ。

沈胴のロックリングをクイッと回してロックを外し、レンズをズズッと伸ばしきったところでもう1回クイッとロック。レンズを撮影可能状態にするこの一連の操作がナニゲに楽しい。EVFを見ると、中央にグッと集まっているAF測距エリアにこのレンズの特殊な立ち位置を知らされることになる。多くのRFレンズやEFレンズで測距点自動選択(顔+追尾優先AF)時に横約100%×縦約100%の範囲、つまり画角内の全域でピントが合わせられるようになったEOS R5とEOS R6でも、この2本のレンズ使用時に限っては、測距点分布が画面中央の横約40%×縦約60%に限定されてしまうのだ。

で、実際に使ってみて驚いた。このレンズ、ちゃんと実用になるのだ(なんか失礼な言い方ですが)。AFは十分に速いし、被写体認識はサクサク決まるし、そのままサーボAFで動体を追ってもまったく不足を感じさせずにしっかりピントが追従してくれる。AF測距点分布は狭いけれど、それも中級一眼レフ並みだと思えば納得できないことはない……かもしれない。そして、その範囲内であれば被写体の捕捉、および追尾動作には、少なくとも目で見ている限り明らかなハンデを感じることは皆無。本当によくできているのだ。

レンズ内の手ぶれ補正(IS)もよく効く(ボディISとの協調は不可。ただし角度ブレと回転ブレはボディ内ISで補正を実施)。補正効果は600mmがシャッター速度換算で5段、800mmが同4段相当ということで、EOS R5とEOS R6のウリのひとつである「最大8段の手ぶれ補正効果」には遠く及ばない数字ではあるけれど、実際に800mmで手持ち1/50秒が7割程度の成功率で使えた(ブレずに撮れた)ことを考えると、そちら方面の実用性も十分であるということ。現行のRFレンズの中でボディとのIS協調ができないのは現時点この2本だけということで、やっぱり“特殊な存在”ではある。でも、製品化に踏み切ってもらえたことは、我々ユーザーにとってはプラス以外のナニモノでもないと断言したい。ジツに嬉しく楽しい「新たな提案」なのである。

ミラーレスだからこそ実用化できた個性的なレンズを新型ボディと同時に出す心意気。そんなところにも、今度のキヤノンはマジだと思わされた。有名俳優「M.S」が主演をつとめる人気ドラマ「H.N」の決め台詞じゃないけれど、キヤノンは密かに「やられたらやり返す」と思い続けてきたのだろう。これが“キヤノンの100倍返し”の始まりであることに期待したい。

落合憲弘 おちあいのりひろ 「○○のテーマで原稿の依頼が来たんだよねぇ~」「今度○○社にインタビューにいくからさ……」「やっぱり自分で所有して使ってみないとダメっしょ!」などなどなど、新たなカメラやレンズを購入するための自分に対するイイワケを並べ続けて幾星霜。ふと、自分に騙されやすくなっている自分に気づくが、それも一興とばかりに今日も騙されたフリを続ける牡牛座のB型。2020年カメラグランプリ外部選考委員。 この著者の記事一覧はこちら

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