アップル、スパイウエア会社提訴 iPhone攻撃された

アップル、スパイウエア会社提訴 iPhone攻撃された

  • JBpress
  • 更新日:2021/11/26
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NSOグループのロゴ(写真:ロイター/アフロ)

米アップルは11月23日、スマートフォン「iPhone」などのハッキングを可能にするスパイウエア 「Pegasus(ペガサス)」を政府機関などに販売しているイスラエルのNSOグループを提訴したと明らかにした

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「高度に対象を絞ったサイバー攻撃」

「NSOグループとその顧客は、国家の莫大な資金と能力を投入して高度に対象を絞ったサイバー攻撃を行い、アップル端末やアンドロイド端末の機密データへのアクセスを可能にした」としており、裁判所にアップルのソフトウエアやサービス、端末の使用を恒久的に禁じる命令を出すよう求めている。米CNBCによるとアップルは約7万5000ドル(約860万円)の損害賠償も請求している。

米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁に提出した訴状でアップルは、「ペガサスによって、iPhone利用者の電子メールやテキストメッセージ、ウェブブラウザー閲覧履歴などの情報を収集できてしまう。端末のカメラやマイクへのアクセスも可能にしている」と指摘。強権的な政府は数億ドルもの費用をかけ、一部の利用者の情報を収集していると批判した。

「NSOグループやその顧客はプログラムの脆弱性を突いてマルウエア(悪意のあるプログラム)を送信し、利用者が気付かぬうちにスパイウエアをインストールした」(アップル)

殺害されたサウジアラビア人記者周辺も標的

米ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBCによると、NSOグループは中東やメキシコ、インドなどの政府機関などにスパイウエアを販売したことで非難されているという。

NSOグループのスパイウエアは、ジャーナリストや政治家、人権活動家、反体制派などを標的に悪用されてきたと指摘されている。米フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)は2019年に、傘下の対話アプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」の利用者1400人がNSOグループからマルウエアを送り付けられたとして、カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。

18年にトルコで殺害された、ワシントン・ポスト紙コラムニストのサウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏の周辺人物も標的になったとみられている。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、フランスの人権派弁護士や活動家、インドのジャーナリスト、ルワンダ人活動家のiPhoneからもNSOのスパイウエアが見つかったと報告している。

米ニューヨーク・タイムズによると米政府も動いている。商務省は21年11月3日にNSOグループを禁輸対象リストに加え、事業活動を通じた米国技術の使用を禁じた。

外部研究機関に寄付、サイバー監視乱用を阻止

アップルは今回の発表と併せて、新たなセキュリティー保護を施した「iOS 15」の修正プログラムを配布した。これまでに標的になった可能性がある一部の利用者に通知していることも明らかにした。ただし、攻撃対象となったのは「ごく少数の利用者」としており、「アップルのサーバーがハッキングされたり、不正侵入を受けたりすることはなかった」と一貫した安全性を強調している。

同社によると、今回の脆弱性はカナダ・トロント大学の研究グループ「シチズンラボ」が発見した。今後はこれら研究機関に対し、1000万ドル(約11億5000万円)と、今回の訴訟によって得られる損害賠償金を寄付する。サイバー監視の乱用阻止に向けた取り組みを支援していくとしている。

これに対しNSOグループは反論している。広報担当者は「当社の技術はこれまでに数千人もの生命を救ってきた」と主張。「小児愛者やテロリストは技術的な安全地帯に避難しながら好き勝手に活動している。当社は政府に合法的なツールを提供し問題と闘っている。引き続きこの真実を訴えていく」と述べた。

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小久保 重信

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