世界的な電子機器の品不足を引き起こしている「100円チップ」を取り巻く状況とは?

世界的な電子機器の品不足を引き起こしている「100円チップ」を取り巻く状況とは?

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  • 更新日:2021/04/08
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2020年頃から世界的な半導体不足が続いており、CPUやGPUだけでなくゲーム機や自動車の生産など、さまざまな産業に悪影響が出ていると報じられています。そんな中、多くの家電製品に使われている単価1ドル(約110円)のチップも生産量が減少して価格が上昇、世界的に家電製品が値上がりすると予想されています。

Why Shortages of a $1 Chip Sparked Crisis in Global Economy - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-04-05/why-shortages-of-a-1-chip-sparked-crisis-in-the-global-economy

Bloombergによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的流行し始めたころ、多くの企業は「人々の生活が経済的に苦しくなり、電子機器への需要は減少する」と考えていたとのこと。しかし、実際にはリモートワークやオンライン授業による需要や、巣ごもり需要によって電子機器の需要は大きく高まりました。しかし、需要が高まりすぎた結果、半導体の供給が世界的に不足する事態が発生しています。

PlayStation 5や自動車の生産に影響を与える世界的な半導体不足の理由とは? - GIGAZINE

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この半導体不足によって、ディスプレイに映像信号を渡す役割を持った1つ1ドル(約110円)のICチップである「ディスプレイドライバー」の生産量も減少。これにより、スマートフォンやスマートウォッチ、テレビ、ノートPC、自動車のモニターといったディスプレイに映像を出力する必要がある全てのデバイスの生産に影響が出ています。

ディスプレイドライバーはHimaxNovatekといったICチップメーカーが設計していますが、生産はTSMCUMCなどの半導体ファウンドリが担当しています。TSMCなどの5nmプロセスや7nmプロセスによるCPU・GPUの生産は需要に追いつかない状況になっていることが報じられていますが、ディスプレイドライバーなどの生産に採用されている16nmプロセスや28nmプロセスなどの旧世代生産ラインも需要に対して供給が追いつかない状況が続いています。

さらに、半導体の材料であるシリコンウェハーの供給も不足しています。主要なシリコンウェハーメーカーの1つであるSUMCOによると、ディスプレイドライバーの生産に使われる8インチシリコンウェハーの生産量は減少傾向にあり、2020年には月に約5000ウェハーしか生産できなかったとのこと。このような材料不足や生産ラインの不足によってディスプレイドライバーの供給が需要を下回る事態に陥っています。

以下のグラフは横軸が時間、縦軸が価格を示し、それぞれの線が43インチ(黒)、50インチ(赤)、55インチ(青)、65インチ(黄色)の液晶テレビの価格の推移と予測を表しています。グラフを確認すると、2020年1月ごろから2021年3月にかけて液晶テレビの価格が約2倍に上昇していることが分かります。また、Bloombergは「液晶テレビの価格は少なくとも2021年第3四半期まで上昇し続ける」と予測しています。

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Himaxのジェームズ・フーCEOは、「Himaxの設立から20年の間で、このような事態は初めてです。あらゆる分野で半導体が不足しています」と述べています。また、ウー氏はディスプレイドライバーの生産を担当するTSMCやUMCの生産設備の増強には長い時間がかかることから、ディスプレイドライバーの生産量回復にも長い時間がかかると主張。ディスプレイドライバーの売上は上昇しているものの「トンネルの終わりの光が見える位置には、まだ到達していません」と述べています。

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