新型コロナへの感染がネコの肺を長期的に損傷させる恐れ - 東大医科研

新型コロナへの感染がネコの肺を長期的に損傷させる恐れ - 東大医科研

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/01/12
No image

東京大学 医科学研究所(東大医科研)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染したネコは長期的な肺への影響があることが確認され、また感染により適応(獲得)免疫が誘導されることで回復後に一定期間は再感染しないことも突き止めたと発表した。

新型コロナはネコの間でも感染しやすい - 東大などが確認

同成果は、東大医科学研 感染・免疫部門ウイルス感染分野の河岡義裕教授らの研究チームによるもの。詳細は、米国疾病予防管理センター(CDC)が発行する感染症専門誌「Emerging Infectious Diseases」にオンライン掲載された。

これまで、飼いネコや飼いイヌ、動物園のトラ、農場のミンクなどで、新型コロナウイルス感染症が確認されており、種を超えて感染が成立し得ることが明らかになってきた。しかし、ヒトも含め、一度新型コロナウイルスに感染した動物個体における、より長期的な影響はこれまでのところほとんど明らかにされてこなかった。

河岡教授らの研究チームはこれまで、同居する飼いネコ間で新型コロナウイルスが直接接触により効率的に感染伝播することを明らかにしている。そこで今回の研究では、ウイルスが効率よく増殖する臓器や、感染によってダメージを受ける臓器についてより詳細に調べると同時に、回復後のネコにおける、より長期的なウイルス感染の影響の調査が実施された。それらに加え、ネコが新型コロナウイルスに感染してからの回復後、再感染するかどうかについても、適応(獲得)免疫の関点から解析が行われた。

まず、ネコに新型コロナウイルスを感染させ、3、6、10日後に呼吸器を含め全身の臓器における感染性ウイルスの検出が実施された。すると、上部呼吸器(鼻、気管)において感染6日目までウイルスの増殖が見られる一方で、下部呼吸器(肺)においては、3日目のみに肺の限られた部分で検出されるに留まったという。また、消化器や心臓、脳といった臓器からは、ウイルスは分離されなかったとした。

このウイルスが上部呼吸器においてよく増殖することは、ネコ個体間で効率よく伝播することと一致しているという。なお、いずれのネコも発熱や体重減少、咳・くしゃみなどの呼吸器症状を示すことはなかったとした。

その一方で、感染3、6、10日後のネコの肺の病理解析によれば、感染性ウイルスが肺から検出されなかった個体においても炎症が観察されたとした。その要因としては、肺局所におけるウイルスの増殖が要因ではなく、炎症性サイトカインなどの間接的要因により組織が炎症ダメージを受けたことが考えられるとしている。

さらに、ウイルスの感染から無症状のまま回復したネコの、感染4週間後の肺の病理解析も実施された。すると、慢性化した炎症像が4週間という長期にわたり残存することが判明。肺の炎症が特に強いネコでは、新型コロナウイルス感染症の重症患者と同等のダメージが見られたという。

これらの結果は、飼いネコが、不顕性の新型コロナウイルス感染により知らぬ間に呼吸器に損傷を負っている可能性を示しているとする。飼い主はその点を留意し、飼いネコを感染させないように飼育することが肝要だとした。

また、再感染の成立の可否を調べるために、新型コロナウイルスに感染し回復したネコ(感染後4週間が経過したネコ)に、同じウイルスの接種が行われた。すると、本来ウイルス増殖が見られるはずの、鼻や気管、鼻洗浄液中においてもウイルスが検出されないことが確認された。つまり、呼吸器においてウイルスの再感染が成立しなかったことを示したのである。これは、ウイルス感染から回復した個体、同居ネコからのウイルス感染し回復した個体、両者に共通した知見だったという。

これらの結果は、一度感染した個体において、新型コロナウイルスに対し免疫記憶が残り再度、同ウイルスに感染しにくくなる「防御的免疫記憶」が(今回の実験における4週間という期間では)成立したことを示唆するとした。

波留久泉

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加