何度失敗しても、同じタイプの人を好きになってしまうのはなぜ?

何度失敗しても、同じタイプの人を好きになってしまうのはなぜ?

  • フィガロジャポン
  • 更新日:2021/09/15

新しい出会いがあったら、デジャヴュ感に要注意。恋愛では同じ失敗を繰り返してしまいがち。精神分析家のファビエンヌ・クラメールが悪循環から抜け出すための鍵を伝授する。

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恋愛では、なぜ同じ過ちを繰り返してしまうのか? Photo : bymuratdeniz_iStock

いつも似たような恋愛をしてしまう。善人、クリエーティブ、苦労人、エゴイスト…相手の顔が変わっても、同じタイプの相手を選んでしまう。あるいは、まるですでに終わりが分かっているように、以前と同じシナリオを演じていることもある。恋愛で同じ失敗を繰り返さないようにするにはどうしたらいいのか?
問題点をはっきりさせるために、精神分析家のファビエンヌ・クラメール(※1)に話を聞いた。

――自分には向いていないとよくよく承知しつつも、同じ恋愛パターンを繰り返してしまうことはよくあるのでしょうか?

恋愛関係とは何かの繰り返しであり、いわば偽のアバンチュールです。恋に落ちることは結局のところ、現実にせよ幻想にせよ、長い間慣れ親しんできたある人格を好きになること。多くの場合、意識を超越しています。ですから一目惚れは幼少期のポジティブな記憶を喚起する相手に対してだけでなく、ネガティブな記憶を喚起する相手に対しても起こりえる。後者の場合、有害な恋愛パターンを繰り返すことになります。

――失敗から学ぶとよく言われます。ところが落とし穴だらけの恋愛関係にはまってしまう場合も多い。なぜですか?

精神分析家として、私は、恋愛のパターンは幼少期の「エディプスコンプレックス」と関わりがあると考えています。つまり自分と違う性別の親に対して抱く幻想ですが、この幻想は後に理想に変化します。一般的に、恋人を選ぶときの基準は、自分の両親によってあらかじめ方向付けられており、自分自身に選択の余地はほとんど残されていません。親の好みやイメージに合致する人を探すか、あるいはその反対の人を探すかのどちらかです。表面上、自分の人生は自分で決めていると感じていても、実際はまったく逆なのです。家族によって与えられたモデルが適切なら幸いです。そうでない場合は有害なものになります。

――こうした恋愛行動のメカニズムはどのように構築されるのでしょうか?

想像は反復を誘発します。ひとつの恋愛が終わると、私たちはその後、よかったことを再現し、よくなかったことはすべて避けようとします。未知のものに対する不安があるとき、いままで通りのやり方を続けることは安心感を与えてくれます。そのため慣れ親しんだタイプを相手に選んで自制心を保とうとするわけです。そうすれば、とりあえず大きな苦痛は避けられると考えて。ところが最終的に、これは自分自身の願望を自分の手で画一化しているだけ。どの相手も同じやり方で愛してしまい、別の愛し方がある、あるいは別の理由で愛することもできる、とは思いもよらないのです。

――クリニックでよく遭遇するのはどのようなパターンの失敗ですか?

最も多いのは、ナルシスト系の倒錯者に惹かれてしまうケース。倒錯的な親から虐待を受けると、恋人に同様の特徴を求めるようにフォーマットされます。DV被害者の女性が再び暴力的な男性を好きになってしまうことがよくありますが、それと同じことです。また、付き合い始めてすぐに相手に執着してしまう人もいます。このような、恋愛における依存というパターンの背後には、見捨てられることへの大きな不安があります。一方、若い人たちには未来の恋人に過大な要求を抱く傾向が見られます。彼らは早くから理想のパートナー像をかっちりと作り上げ、あらゆる要求を満たす人を探します。マッチングアプリも、無数の人と出会えるという幻想を与えます。いまや希少な真珠を探すどころか、干し草の山に1本の針を探すために無駄骨を折っているといった具合です。ひとつ確かなのは、前もって運命の人を知ることはできないということです。セックスを例に取ってみましょう。ちょっとした身体的な欠点がひとつ目についただけで、気持ちが冷めてしまうことがありますが、これまで素敵なセックスの体験談を聞かせてくれた人たちはみな、最初に会ったときは必ずしも外見に惹かれたわけではなかったと言います。自分の美しさの規範から外れる人にも、もっとチャンスを与えられるといいですね。

――しばしば繰り返してしまう恋愛パターンのひとつに、たとえ気軽な付き合いでも、特定の人と交際するのが怖いというものがあります。これはどのように説明されますか?

尻込みするのは、苦しむことを極度に恐れるからです。女性には少なく、男性に多い現象です。パートナーを選ぶことは、彼らにとって、他の可能性をすべて断念することを意味します。特定の人と付き合うのを躊躇するのはそのためです。一方で、このタイプに惹かれやすい人もいます。こうした行動傾向を自分で認めることは、「自分と付き合いたい人がいるはずがない」という考えにつながります。これは自尊心の問題です。自分自身を十分に尊重するなら、抜け出すことができるでしょう。

――傾向を逆転させることは可能ですか? どうすれば身についた行動習慣をやめて、自分により適したものに向かって前進することができるのでしょうか?

可能ですが、実行するのはとても難しいです。まず、いつも同じパターンを繰り返していると意識することが必要です。それができれば、自発的にそれまでと反対の選択をするようになります。ただこれでは、親しみを感じる人か、その全く反対の人か、恋愛対象にはふたつのタイプしかないことになります。この限界を踏み超えたときにはじめて、私たちは驚きを経験できるようになり、自分の可能性の領域を開いてゆけるのです。恋愛とはふたりの互いに見ず知らずの人間同士の出会いです。実際には、親から課せられた重荷を軽くしたければ、敢えて本能的には近づかない人たちの方へ目を向ければいい。

しかし、この方法はいつもうまく行くとは限りません。とくに初めはよく失敗します。予想外のパートナーを見つけたと思ったら、実はあまりにも見覚えのある欠点が隠れていたということもあります。その場合、心理療法士に相談することが、距離を取って現実を見つめる助けになります。

――どうすれば自分に合うものを実際に知ることができるのでしょうか?

恋愛は経験を積んでわかるものです。自分の好きなものを知るには、試してみること、様々な人と出会う機会を多く持つことです。第一印象は疑ってかかるべきでしょう。出会い系アプリを利用するときは特に。第一印象にこだわると、また同じパターンの関係に陥る可能性が大いにあります。出会いがあったら、テンポを落として、十分に時間をかけて会話をし、実際に何度も顔を合わせることが大切です。そのうちに自分の中に何らかの感情が芽生えてきます。結局のところ、恋愛における真の挑戦とは「他者を受け入れること」です。

――私たちが恋愛関係に投影してしまう幻想や欲望は、それでも手放さないほうがいいのでしょうか?

現代はリアル社会でわくわくすることがあまりないため、バーチャルな世界に生きたくなってしまいます。私なら、そういう人たちには、できるだけ自分の投影から自由になったほうがいいとアドバイスするでしょう。幻想や欲望は自己にとってもパートナーにとっても互いを「閉じ込めるもの」。パートナーは相手の理想に到達できない場合、あるいは相手の理想を実現する気がない場合も、強いプレッシャーを受けます。いますぐ必要なのは、相手への好奇心を再発見すること。これは一度もガイドブックを見ずに旅に出るようなものです。それによって後悔することは、恋愛においてはめったにありません。

(1)Fabienne Kraemer『21 clés pour l’amour slow』PUF出版刊

texte : Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

フィガロジャポン編集部

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