
日本一の筋肉美を持つ男子高校生(画像提供:公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)
特集は日本一の筋肉美を持つ男子高校生です。この夏、「ボディビルの甲子園」とも呼ばれる大会でみごと優勝。筋肉にかけた青春を取材しました。

野沢南高校3年の片井蓮仁さん(18)
ウェイトトレーニングに励む長野県佐久市の野沢南高校3年の片井蓮仁さん(18)。
野沢南高校3年・片井蓮仁さん:
「『うわ、(筋肉が)デカイ』って思われる体がカッコいいと思います」
服を着ていても目立つ筋肉。

第18回全国高校生男子ボディビル選手権大会 (画像提供:公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)
それもそのはず。
今年7月の「全国高校生ボディビル選手権」。片井さんは初出場ながら筋肉の発達、バランスが評価され、「170センチ以下の部」で優勝。
170センチ超級も含めた「オーバーオール」でも頂点に立った、まさに「日本一の筋肉美」を誇る高校生です。
野沢南高校3年・片井蓮仁さん:
「初めて大きい大会に出てきて、周りの人たちもみんなデカく見えて緊張したんですが、つらい減量も経て優勝できました」

肩回りの「僧帽筋」を披露
5日、両親とともに柳田清二市長に優勝を報告。「日本一」の筋肉も披露しました。
片井蓮仁さん:
「こうやると出てくるんですけど」
自慢は大きく盛り上がった肩回りの「僧帽筋」です。

柳田清二市長に優勝報告で筋肉を披露
佐久市・柳田清二市長:
「おー、すごいね!友達の反響はどうです?」
片井蓮仁さん:
「男子からは本当に反響良くて、廊下ですれ違ったらみんな触ってくる。女子は笑ってる感じです。見て半分ひいてますけど…」
時折見せる笑顔には高校生らしさが残ります。
片井蓮仁さん:
「去年の全国大会の映像を見たりして『絶対負けない』と思いながらやっていました。先生とか友達とかも『やったな!』って感じでみんな喜んでくれてうれしかったです」

佐久市総合体育館のトレーニングルーム
日本一の筋肉はどのようにしてつくられたか。トレーニングの様子を見せてもらいました。
片井さんの練習場所は佐久市総合体育館のトレーニングルーム。放課後、ほぼ毎日、ここで汗を流してきました。

背中の筋肉を鍛える
片井蓮仁さん:
「ある程度、筋肉がついてくると、分割して胸とか背中とか分けていかないと…」
この日のテーマは「背中の強化」。背中の筋肉に厚みをつけるベントオーバーローイングでは、最大110キロのウェイトを持ち上げます。

中学2年の頃は約45キロだった体重が今は約75キロに
片井さんがウエイトトレーニングに力を入れるようになったのは、陸上部に所属していた中学3年生のころ。「長距離走に役立てば」と考えてのことでした。
片井蓮仁さん:
「中学3年の時にコロナがはやり始めて、その時に大会とかほとんどなくなっちゃって、家にいる期間が増えて、できることと言えば補強で筋トレとかだったので」
消防士の兄が体育館でトレーニングしていたことから、片井さんも通うようになりました。
次第に大きくなっていく筋肉。片井さんは「筋トレ」に目覚め、高校では部活に入らず独学で体をつくり上げてきました。
その結果、体重はこの3年間で30キロ以上もアップ。

片井さんは木澤さんの動画を参考にトレーニングに励んでいる
孤独なトレーニングを支えてきたのは「憧れの人に近づきたい」という思いです。
片井蓮仁さん:
「『ジュラシック木澤』という名前なんですけど、恐竜のような筋肉ということで、本当に超デカいんですけど…」

片井さんの憧れの木澤さん(画像:木澤大祐さんのYouTube【ジュラシック木澤】より)
片井さんの憧れ、「ジュラシック木澤」こと木澤大祐さん(48)。ボディビル界の「レジェンド」で、片井さんは木澤さんの動画を参考にトレーニングに励んできました。
片井蓮仁さん:
「木澤選手のような体になりたくて、やらなきゃなれないので、頑張るしかないとキツくても頑張ってます」

片井蓮仁さんと母・裕美子さん
午後7時、帰宅―。
片井蓮仁さん:
「ただいま」
片井さんを支えてきたもの、もう一つは家族の協力です。
母・裕美子さん(44)は毎日、高たんぱく・低脂質の食事をつくってきました。

この日のメニューは「鶏むね肉とレンコンの炒めもの」「ブロッコリーとゆで卵のサラダ」など。
この日のメニューは「鶏むね肉とレンコンの炒めもの」(※油不使用)、「ブロッコリーとゆで卵のサラダ」など。
片井蓮仁さん:
「全部ウマいです」

家族も同じメニューを食べる
ボディビルダーにとって食事はトレーニング以上に重要。家族も協力し、全員同じメニューを食べています。
母・裕美子さん:
「私たちもここ何年も豚バラ肉は食べてないですし…(笑)こんなに大きくなって、たくましくなるとは誰も想像しなかったので」

第18回全国高校生男子ボディビル選手権大会 (画像提供:公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)
今はもりもり食べる片井さんですが、大会前は「トレーニングよりきつい」と話す減量に取り組みました。皮下脂肪を減らし筋肉を美しく見せるため75キロほどあった体重を3カ月で66キロに…。
母・裕美子さん:
「夏の一番暑いころだったので、無理しない方がいいんだけど、言っても減量中なので聞いてもらえないんですけど、倒れるんじゃないかと、そこが一番心配でした」
苦しい減量を乗り越えての日本一。両親は会場で息子の雄姿を見届けました。
母・裕美子さん:
「全然いつもと違う顔で、勝負しているなって顔つきだったので、感動して涙が流れました。自分が夢中になれるものが見つかってすごく良かったです」

ジュラシック木澤さんの動画を見るのが日課
この日もジュラシック木澤さんの動画をチェックする片井さん。
記者が動画の使用許可を得るため、木澤さん本人に連絡を取り、片井さんのことを伝えたところ…。
記者:
「(木澤さんが)片井君によろしく言っておいてくれって…」
片井蓮仁さん:
「ほんとですか!?一番うれしいかもしれない」

野沢南高校3年・片井蓮仁さん
大学進学後もボディビルに挑戦するという片井さん。いずれ、動画で見てきたような有名選手たちと同じステージに立ちたいと話しています。
野沢南高校3年・片井蓮仁さん:
「将来的には日本選手権いって今、見ているような選手と並んで勝てるように頑張っていきたい。周りの人から見て、『異名』がつくようなそんなインパクト残せればなと思います」