冷戦時代の疑心暗鬼が生んだ秘密の地下トンネル、人気の観光地に アルバニア

冷戦時代の疑心暗鬼が生んだ秘密の地下トンネル、人気の観光地に アルバニア

  • AFPBB News
  • 更新日:2020/10/17
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アルバニア南部ジロカストラの冷戦トンネル。トンネルは一部博物館になっている(2020年2月2日撮影)。

【AFP=時事】アルバニア南部にある要塞(ようさい)の地下には、共産党政権時代に造られた秘密のトンネル網がある。このトンネル網から見えてくるのは、独裁者エンベル・ホッジャ政権における「秘密主義」と「疑心暗鬼」の側面だ。

共和制に移行した現在、この地下の軍事用のバンカー(シェルター)は観光スポットに様変わりした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に流行する中でも、観光客はここを訪れている。

不規則にどこまでも続くこの広大な地下建造物は「冷戦のトンネル」と呼ばれている。独裁政権は40年にわたって続いたが、その間にホッジャ氏は、他国からの侵攻を恐れ、大金を投じて壮大なバンカープロジェクトを推し進めた。

鎖国状態にあったアルバニアの要塞化をより強固にするため、ホッジャ氏は、国中に軍事用バンカーを17万基以上造らせた。その大半はドーム形の兵士の見張り場だった。これらは今でもあちこちで見ることができる。

最も立派なトンネルのうちの一つは、ホッジャ氏の故郷である南部ジロカストラにある。これは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録されている。

そのトンネル網の全長は1.5キロメートルにも及び、敵国に攻め込まれても軍司令部が使用できるようになっている。全体像を誰も把握できないようにするため、建設作業はシフト制で秘密裏に行われた。

■独裁政権時とは違う制限

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)はアルバニアの観光シーズンにも大きな打撃をもたらした。それでも、マスクをした観光客数百人がこの夏、ジロカストラのバンカーを訪れている。

パリから来たというコンピューターエンジニアのアレクサンドルさん(39)もその一人だ。アレクサンドルさんはバンカーを訪れて、現在のコロナ禍について考えを巡らせているという。「私たちは今、互いに触れ合う自由、話をする自由、会う自由が制限されている」。ただ、ホッジャ氏による独裁政権時と違うのは、「現在の制限は正しい判断の下で行われている」ことだと、アレクサンドルさんはAFPに語った。

元兵士のアストリト・イメリさん(67)によると、トンネルは、多数の核シェルターの他、軍司令部、秘密警察、検察官の執務室、裁判所を結んでいたとされ、その他にも通信傍受のためのスペースや宿舎、製パン所、水貯蔵タンク、さらには敵の侵入に備えたカラシニコフ銃やトカレフ銃の保管所も設けられていたという。

共産主義政権が崩壊してからは、バンカーの大半は放置され、一部は略奪の被害にも遭っている。しかし、最近では、一風変わったカフェや倉庫、ホームレス向けの住居に改修されているものも見られるようになった。【翻訳編集】AFPBB News

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