社説:日米の金利差 物価の番人、役割果たせ

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/09/23

日銀は、金融政策決定会合で金利を極めて低く抑える現行の大規模な金融緩和策の維持を決めた。

一方、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、主要政策金利について3会合連続で通常の3倍となる0・75%の引き上げを決定した。

日米の金利差拡大で、東京外国為替市場の円相場は一時24年ぶりとなる1ドル=145円台後半まで急落し、政府は1998年6月以来、同じく24年ぶりの円買いドル売りの為替介入に踏み切った。

急激な円安進行に、政府、日銀が介入に追い込まれた形だ。金利差が続く以上、効果は限定的とみられる。日本経済への為替変動の影響にいっそう注意する必要がある。

日銀は、大規模緩和路線の維持で、新型コロナウイルス禍から回復途上の経済の下支えを重視する考えだ。緩和策の修正で円安是正に動くか注目されていたが、物価高は「一時的」とする従来見解を崩さなかった。そのため、物価高抑制を優先したFRBとの政策の違いが浮き彫りになった。

こうした日銀の姿勢は、資金運用に不利な円が売られて相場が急落し、輸入に頼る燃料や食料などの価格が割高になる現状に拍車をかけかねない。

総務省が発表した8月の全国消費者物価指数は、前年同月比2・8%上昇し、消費税増税の影響を除くと91年9月以来、約31年ぶりの伸び率だった。信用調査会社によると、来月には年内最多の6500品目超の食品値上げが予定されているという。

ロシアのウクライナ侵攻などを背景に、エネルギー資源や原材料が高止まりしているのに加え、最近の円安が物価押し上げの「主役」になっている。

にもかわらず、日銀は効果的な対策を打ち出していない。政府による為替介入は、通貨相手国と歩調を合わせる必要があるが、インフレを加速させかねないドル安を避けたい米国の協力は期待しにくい。

日銀の黒田東彦総裁は、来年4月に任期満了を迎える。退任すれば、金融政策が早期に修正されるとの見方もあるが、それまでに金融政策に手詰まり感が漂えば、国内外の投資家から機能不全に陥っていると見られるのではないか。

物価高の痛みは家庭や幅広い業種に広く及んでいる。黒田路線の自縄自縛に陥ることなく、日銀は物価の番人としての役割を果たしてほしい。

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