菅首相は学術会議問題を「官僚のせい」に...“6人任命拒否”のキーマンはこの人物!

菅首相は学術会議問題を「官僚のせい」に...“6人任命拒否”のキーマンはこの人物!

  • 文春オンライン
  • 更新日:2020/10/18

日本学術会議法第七条〈会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する〉〈第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする〉

【画像】学術会議問題のキーマンはこの“官邸官僚”

いわゆる首相の日本学術会議メンバーに対する任命権はこの特別法に基づいている。任命権とは文字どおり「任命する権利」であるが、そこには濃淡がある。憲法で定められた首相の任命権は天皇にあり、国会の「指名」に基づいて国事行為として任命する。「推薦」「指名」の違いこそあるが、どちらも形式的な任命であり、選定における罷免権、拒否権はない。

「候補者リストを見ていない」とまで言い出した

日本学術会議会員の選定についても「形式的な」任命権と法解釈されてきた。拒否権についても同様だ。そもそも戦時の反省を踏まえ、政治介入を許さない独立した組織を目指してつくられた日本学術会議の根本的な成り立ちからすれば、会員の人選に首相の拒否権はない。

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菅義偉首相 ©文藝春秋

つまり、菅政権が法の趣旨を都合よく変えているのである。驕りという以外にないが、この間のやり取りを見ていると、首相や政府の言い分にはあまりに屁理屈が多く、やはり分が悪い。

ついに首相の菅義偉は日本学術会議の提出した105人の候補者リストを見てもいない、とまで言い出した。その無茶な抗弁は、首相自身が任命拒否に関与していないと言いたいから付け足した理屈なのだろう。だが、となれば、いったい誰が拒否したのか、となる。

99人の任命を決めたときの内閣府の決済文書には、105人の推薦リストが添付されている。これでは首相が法で定めた推薦を無視し、6人の候補者の任命を拒否したことになる。案の定、日本学術会議法違反ではないか。記者団にそう突っ込まれた。

霞が関を震え上がらせてきた男

すると官房長官の加藤勝信は、任命を拒否した6人について「事務方から説明を受けているので、法律には反していない」と苦しい言い訳をする以外になかった。最後は事務方のせいにする。そこは安倍政権から受け継いだ伝統手法なのかもしれない。

その事務方責任者が菅の頼る官房副長官の杉田和博である。新政権発足後、今井尚哉・首相補佐官兼政務秘書官をはじめ経産出身の官邸官僚たちがお払い箱になる中、警察庁出身の官邸官僚である杉田は生き残った。というより、菅新政権の誕生に奔走し、いまやもう一人の菅の懐刀である首相補佐官の和泉洋人と並ぶ「二人の奉行」として政権を切り盛りする。

コロナ対策の医療政策を一手に取り仕切る和泉に対し、杉田は内閣人事局長として政府内のあらゆる人事に睨みをきかせ、霞が関の官僚たちを震え上がらせてきた。日本学術会議の任命問題では、105人の推薦リストが杉田のもとに届けられ、菅と協議した。

「文藝春秋」11月号及び「文藝春秋digital」に掲載したレポート「菅官邸『今井派追放』と『二人の奉行』」では、もう一人の「奉行」である首相補佐官の和泉洋人の台頭も含め、菅新政権の権力構造の変化を詳らかに書いた。(敬称略)

(森 功/文藝春秋 2020年11月号)

森 功

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