暴言、暴力、ザル警備...迎賓館で“パワハラ横行” 内部資料入手

暴言、暴力、ザル警備...迎賓館で“パワハラ横行” 内部資料入手

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/06/10

〈警衛長として資質がなにも備わっていない。また人間的にも褒めるところがない。やる気が見えない以上、警衛長を辞めるべき〉

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〈信用失墜どころか、不信感、こんな者を上司と仰ぐ事を強制される部下の身になってほしい〉

内部資料でこう糾弾されているのは、迎賓館赤坂離宮で現場警備のトップを務めるX警衛長(59)だ。

◆◆◆

外国の国王や首相の接遇や天皇も参加される晩餐会が行われ、世界に誇る「おもてなし」の舞台となる迎賓館。16年度から菅義偉首相(当時官房長官)の旗振りで観光資源の目玉として一般公開が拡大されている。

前代未聞の侵入事件が起きたのは今年1月2日。男が迎賓館敷地内に侵入し、さらに隣接する、天皇家や秋篠宮家のお住まい「赤坂御用地」にまで入りこんだのだ。結局、三笠宮邸付近で皇宮警察が発見し、逮捕。男は「皇族に会いにきた」と供述した。

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侵入事件の起きた西門

この事件で露見したのが迎賓館の“ザル警備”だ。

「内閣府職員である警衛官が警備を担当していますが、実は侵入時、センサーが作動し警報が鳴り、モニターにはっきりと侵入者が映っていた。ところがある警衛官は携帯ゲームに夢中。別の警衛官も注意散漫だった。そのため誰一人侵入に気づかなかったのです。男は迎賓館内を約1時間もうろついた後、御用地に入っていた」(迎賓館職員)

当該警衛官らは戒告処分になったのだが、

「不祥事の根本原因はX警衛長による当番の割り振りでした。二班交代なのですが、一班をベテランで固め、事件当時警備していたのは経験の浅いメンバーばかりでした」(同前)

「俺はいつでもおまえを契約解除できるんだ」

X氏は、陸上自衛隊を経て内閣府職員となり、迎賓館で約30年勤務するベテランだ。ところが同館職員が記録した「機密性二情報」扱いのメモにある「警衛長の平素の勤務態度」を見ると、こう記されている。

〈テレビを見ていたり、ベッドで鼾(いびき)をかいて寝ていることが多い〉

実は侵入事件の1年半前にも、X氏は“事件”を起こしていた。内閣府職員が告発する。

「1年半にわたり、Xは警備員のA氏に暴言や暴行を繰り返していた。一般公開の拡大以降、西門での観覧客の誘導や一部警備を、内閣府は警備会社ALSOKに委託。A氏はその下請けから派遣されて来ていた。身長180センチ、体重100キロを超える巨漢のXは、巡視で西門に立ち寄る度に挨拶代わりにA氏の腹を殴り『俺はいつでもおまえを契約解除できるんだ』と、恫喝していたそうです」

A氏は19年6月、迎賓館総務課に被害を訴えた。ところが口頭注意を受けた警衛長はA氏に現金3000円と深谷ネギの瓶詰を握らせ、

「これで手打ちにしろよ」

そう高圧的に迫ったという。翌7月、警衛長のパワハラを見かねた部下の一人が、同僚の警衛官21名にアンケート調査を実施、結果を総務課に提出した。冒頭に示したのはその際に寄せられた意見だ。

「生活保護なんて受けやがって」

しかし、内閣府幹部である上層部は、事なかれ主義で調査結果に取り合わず、警衛官らに「本事案について口外しないように」と指示したという。さらに――。

「生活保護なんて受けやがって」

X氏のパワハラは一向に収まらず、19年9月、A氏に再びこう暴言を吐いた。

「A氏から再度訴えを受けた上層部は同年10月、警衛長にA氏のいる西門への立ち入りを禁じた。また、パワハラに関して事情聴取も行われました」(同前)

結局、最初の告発から8カ月もたった20年3月になって内閣府はX氏を減給10分の1の懲戒処分にしたという。別の職員が憤る。

「処分後も警備トップの地位は変わらないXにこたえた様子はなく勤務態度は相変わらず。『70歳になったら勲章をもらえる』と嘯(うそぶ)いています。一方で、被害者のA氏は20年3月で契約解除となった。迎賓館を守る自覚がないXを警衛長に据え続けた結果、今年1月の侵入事件が起きてしまったのです。今の警備体制では天皇陛下が危険にさらされ続けます」

迎賓館に“ザル警備”やパワハラの詳細を尋ねたが「警備上の機密にかかわるものや、個人を特定した質問にはお答えできない」。

「おもてなし」の前に警備の見直しが急務だ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年6月3日号)

「週刊文春」編集部

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