中国のゼロコロナ政策 行使ためらわない強権の陰で、増える異論と吹き出す不満!

中国のゼロコロナ政策 行使ためらわない強権の陰で、増える異論と吹き出す不満!

  • 財経新聞
  • 更新日:2022/05/14
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10日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、新型コロナウイルスが毒性は低下したものの感染力が強いオミクロン株へ変異していることを踏まえ、中国のゼロコロナ政策に対して「持続可能でない」と記者会見で表明。中国政府にゼロコロナ政策の転換を求めた。

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既に中国の専門家とも意見交換を行った上で同様の趣旨は伝え、了解も得ていると感じさせるニュアンスがあった。中国当局との距離の近さが取り沙汰されて来たテドロス事務局長が見せた異例の行動に、問題意識の重みが感じられる会見だった。

会見でテドロス事務局長が中国の専門家とのやり取りを公表したということは、WHOの見解に対して中国の専門家が病理学的に合理的な反論を示すことが出来なかったことを暗示している。欧米では既にウイズコロナへの歩みが始まり、今までの日常を取り戻そうという流れが進んでいる。その中で頑なに「ゼロコロナ政策」を継続する中国の存在が際立っていることを、見かねたようにも感じる。

3月以降、中国では上海・西安・ハルピンなど名だたる大都市を始めとして、20を超える都市で厳しい外出制限やロックダウンが続けられている。市民生活の上で外出規制が厳しくなると、生活に必要な食料などの調達も困難になることは当然である。如何に強権的な中国であっても、最低限の配慮がされた上で制限が実施されるものと思われていたが、実際には上からの指示を市民に押し付けるだけの状態のようだ。

2600万人という住民を抱える上海で、宅配サービスの配達員は約1万1000人というから、単純計算では配達員1人が約2500人の配給を担当することになる(世帯数は考慮しない)。相当の負担になることは想像に難くない。商品の円滑な供給と、的確な配給が両立しなければ、安定した配給は担保されないから、ゆがみやひずみが続発しても不思議でない。

「配給された食品の品質に対するクレーム」の声も上がっている。如何にロックダウンの最中と言えども、賞味期限が切れた加工肉や品質劣化が明白な食品が、受け入れられる時代ではない。

更に問題なのは、配給から見放されているような人々が多く存在して、既に飢餓状態の人も少なくないというのだから事態は深刻である。

ロックダウンに付随して、上海では感染者に住宅の鍵を渡すことを強要し、居住者の意志に拘わらず強制的に室内の消毒が行われているようだ。中国の憲法学者が「憲法で中国公民(国民)の住宅は侵害されないと規定されている」との意見を微博(ウェイボ・交流サイト)に掲載した。

意見を掲載したのは華東政法大(上海)の童之偉教授で、他大学の20人余りの教授たちと見解を擦り合わせて掲載したものだから、蛮勇を振るってなされた行動だろう。だが「関連する法律や法規に違反した」という理由で、童之偉教授の微博に於けるのアカウントは投稿禁止状態にされた。20数人の良心は一瞬にしてかき消されてしまった。

防護服を着た上海市の当局者が玄関の扉を破壊して入室し、感染が疑われる住民をむりやり連行する動画がインターネットで拡散しては、当局が削除するという「モグラたたき」のような状況も見られるという。

そんな現実を抱えながら、5日に開催された中国共産党政治局常務委員会では、「ゼロコロナ」政策の徹底が確認され、「中国の防疫方針に疑念を持ち、否定する言動とは断固闘う」との表明まで公表された。当局がこれだけ確定的な方針を示した以上、多少のことで対応が変化することは期待できないから、経済環境の回復は見通せなくなった。今までの状態に復帰する道筋は全く見えない。

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