10万キロ超えダイハツ・ムーヴラテの乗り心地は?“格安系”ガッツレンタカーの真の実力

10万キロ超えダイハツ・ムーヴラテの乗り心地は?“格安系”ガッツレンタカーの真の実力

  • Business Journal
  • 更新日:2020/11/20
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ガッツレンタカーで軽乗用車(A-2クラス)を車種指定なしで予約したところ、貸し出されたのはダイハツ・ムーヴラテ。女性をターゲットとした車種だ。(写真はすべて筆者撮影)

2000年代後半から普及し始めた格安レンタカーは、メーカー系のレンタカー業者より車を廉価で借りられる、ありがたい存在だ。安さの秘密は第一に、新車ではなく中古車を使用している点が挙げられる。つまり仕入れが安いから、料金を安くできるというわけだ。そのぶん、多走行車や年式の古い車、内外装に難のある車が多くなりやすい。

もうひとつは、副業として営業している店舗が多い点だ。ガソリンスタンドや中古車販売店、自動車整備業者などがフランチャイズ店として、業務の余暇を埋める存在としてレンタカー業を行っているが、本業ではないので、利益の足しになればいいというスタンスが多い。さらにガソリンスタンドなら、車両返却時の給油も期待できるし、中古車店や整備業者なら車両の購入や整備が自社で行えるという相乗効果もある。

ただし、フランチャイズ中心の店舗構成ゆえに、駅や空港などの交通拠点から店までの距離が遠い場合が多い。最近ではニコニコレンタカーなど、空港や観光地近くに構える格安レンタカーの大手チェーンも現れているが、基本的には住宅地や幹線道路沿いなど、中途半端な場所が多い。自宅近くに店舗があればいいが、足を延ばして貸出・返却におもむくのが少々面倒だ。

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車内も丸と曲線が基調。ベンチシート&コラムシフトで、足踏み式のパーキングブレーキと、3代目ムーヴがベースとなっている。

ほぼ軽自動車にしぼった貸し出しラインナップでリーズナブル

タレントのガッツ石松がイメージキャラクターを務める「ガッツレンタカー」は、北海道から沖縄まで、2020年11月上旬現在で198店(長期専門店を含む)を構える、格安レンタカーのなかでは規模が大きいチェーンだが、やはり駅近の店舗は少ない。今回利用した東京都の押上(スカイツリー前駅)店は、押上駅から徒歩約3分と比較的近かったが、これは都内でも例外的な近さといえる。

ガッツレンタカーの特徴は、車種のラインナップがほぼ軽自動車であること。商用車を含めれば、軽自動車だけで5つのクラスに分かれており、これは他社では見られない構成だ。ガッツレンタカーでは、軽自動車以外の登録車をまったく扱っていない店舗も多い。

料金体系も、完全に軽自動車シフト。軽は24時間で2000~3200円なのに対し(商用の軽バンなどはもう少し割高)、小型車は3400円。ほかの格安レンタカー会社と比べると、軽は500~1500円ほど安い(小型車はほぼ同じ)。ただし、6時間や12時間といった料金設定がないため、短時間利用したいという人には、やや割高に感じられるだろう。

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「COOL」はエアロパーツやメッキモール、アルミホイールを装着したグレード。テールゲート上部の羽根がイカツい。

事故対応の説明を動画に任せてしまうのはいかがなものなのか

実際に押上(スカイツリー前駅)店に行ってみると、店構えは普通なのだが、貸し出し案内の流れがかなり特徴的。必要事項を記入したあとに、別途、説明動画を見せられるのだ。しかしこの動画、契約内容の説明や注意事項などが丁寧に解説されるのだが、あまりにも抑揚がなく淡々とした説明が行われるため、とにかく印象に残らない。

特に問題だと感じたのが、事故に関する説明だ。近年ではどのレンタカー会社でも、事故の際の対処方法については、まず負傷者を救護し、救急車や警察を呼び、そのあとでレンタカー会社の指定の番号に電話をするように、と詳しい説明がされる。しかし、この動画ではさらっと説明が終わり、しかも印象に残らない。

おそらく全国のフランチャイズが必要なサービスを一律で行えるよう、本部がマニュアルと共にこういった動画を提供しているのだろう。しかし、こういった“血の通わない”システムは、果たしてレンタカーチェーンに合っているのだろうか。事故の説明だけでなく、返却前に給油するガソリンスタンドの案内においても、返却時間に遅れないようにとの念押しもなされなかった。もちろん必要な案内はすべてされてはいるし、紙で渡される約款にほとんどの説明は書かれている。だが、あの紙の説明をすみずみまで読む人が、どれほどいるだろうか。

事故という、どんな人でもパニックに陥る状況で、何をなすべきかを端的に説明する手段を用意するのは、レンタカー会社の義務ではないかと思う。毎月のように、さまざまなチェーンでレンタカーを借りている筆者のような者はまだよいが、初めてレンタカーを借りた、「何がわからないかもわからない……」といったような人には、不親切を通り越して危険ではないかとさえ思う。

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このグレードならではの本革&スウェード調のシートはまずまずの上質感。ただ、多走行車だけに、汚れもそれなり。

10万km超えのダイハツ・ムーヴラテ「COOL」の乗り心地は?

さて、貸し出された車両は、ダイハツのムーヴラテだった。2004~2009年に販売された、若い女性を意識した軽自動車だが、グレードがエアロパーツなどを装着した「COOL」だったため、2005年以降の生産モデルだ。もっとも、丸と曲面を強調したムーヴラテのかわいらしいデザインに、エアロパーツを付けるというのは少々ミスマッチに思える。

生産からゆうに10年が過ぎ、走行距離も10万kmを超えていて、状態はお世辞にもいいとはいえない。もちろん、走行に支障がないよう整備はしっかり行われているだろうが、ルックス重視の車種だけに、直進安定性はイマイチで、コーナリングはさらにイマイチだ。ダンパーが弱ってピッチが伝わってくるし、ロールもする。アンダーステアも激しい。

わかりやすく弱っていたのが、テールゲートのダンパーだ。扉を開いても自動的に上まで上がらず、途中で止まってしまうのである。

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テールゲートを開けてもダンパーが弱っていて、この位置で止まってしまう。かなり力を入れないと、上まではあがらない。

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純正のアルミホイールはかなりきれいな状態だった。

「とにかく安くレンタカーを借りたい」という人にはベストチョイス

内外装は一見キレイに見えるのだが、近づいてみるとそれなりに経年劣化を感じる。特に内装は、本革とスウェード調のファブリックというかなり凝ったシートを採用しているのだが、シート色に近い色なので目立たないものの、シミがそこそこある。

そもそもスウェード調のシートは、明らかにレンタカーには不向きだ。起毛の素材なので、汚れやシミが付きやすく取りづらいし、車種やグレードごとの専用仕様なので、なかなか替えが効かない。車両仕入れ時の車種選択ミスといえるだろう。

ただシートに厚みがあるのはありがたく、男性でもしっかりフィットする。ベンチシートに近い形状なので、若干左右に滑るのは致し方ないとして、長時間運転しても苦にはならない。贅沢をいえば、ステアリングの上下(チルト)だけでなく、前後(テレスコピック)に調整する機能がついているとありがたいのだが、この時代の軽自動車には難しい注文だ。

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年式が古い車なので致し方ないのだが、FMラジオは90.0MHzまで。AM局のFM放送(ワイドFM)は聞けなかった。もちろんAUXやUSB端子も付いていない

この店の需要の多くは、おそらくビジネス利用だろう。それだけに、パーソナル感や趣味性が高いムーヴラテという車種には少々違和感を感じた。かわいらしいこの車に乗って営業マンが取引先に出向く……という姿は、ちょっとそぐわないように思われる。

逆にガッツレンタカーをオススメしたいのは、「車種など問わないから、とにかく安くレンタカーを借りたい」という人になるだろう。24時間料金も安いのだが、1週間で7800円~、1カ月で2万4800円~という価格は実にリーズナブル。普通のレンタカーやカーシェアより長く、リースより短い期間のニーズにはぴったりのチェーンといえるのではなかろうか。

(文=渡瀬基樹)

●渡瀬基樹(わたせ・もとき)
1976年、静岡県生まれ。ゴルフ雑誌、自動車雑誌などを経て、現在はフリーの編集者・ライター。自動車、野球、マンガ評論、神社仏閣、温泉、高速道路のSA・PAなど雑多なジャンルを扱います。

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