トヨタ、サムスンらが続々参入、EV用全固体電池の世界的開発競争で注目される銘柄は?

トヨタ、サムスンらが続々参入、EV用全固体電池の世界的開発競争で注目される銘柄は?

  • MONEY PLUS | くらしの経済メディア
  • 更新日:2021/02/24

CO2排出規制強化の動きが世界に広がり、ガソリン車から電動自動車(EV)へのシフトは、もはや後戻りできない、世界的な流れとなっています。

ただ、EVは弱点として、ガソリン車並みの航続距離を確保しようとすると、リチウム2次電池の搭載個数を増やす必要があります。そうすると、高コストで車重も重くなり、以前より改善されたとはいえ充電に時間がかかります。さらに、電解液に発火しやすい石油由来の液体を使っている、といった課題があります。

こうした課題に対して、正極や負極に使う材料を工夫して重量当たりの容量を増やしたり、電池を水で冷やして安全を担保したりしていますが、抜本的な解決にはなっていません。これらの課題をクリアするには、新しいアプローチが必要であり、その筆頭として、期待されているのが全固体電池です。

今回は、この全個体電池について解説します。

ゲームチェンジャーとなる全固体電池

全固体電池の構造は、今のEVに搭載されているリチウム2次電池と同じです。今のリチウム2次電池は、正極と負極の間にショートを防ぐ絶縁膜を置き、隙間にリチウムイオンの通り道となる電解液を満たしています。全固体電池は、リチウムイオンの通り道が電解液から固体の電解質に変わっただけで、構造は同じです。

リチウムイオンの通り道が液体から固体に変わっただけ、ただそれだけですが、全固体電池は今のリチウム2次電池の課題を全てクリアできます。電解質が固体なので発火しにくく安全で、冷却装置も不要です。高い電圧をかけられるため、充電時間も短くなります。

また、電解液は正極や負極の材料と不必要な化学反応を起こしやすく、一部の高容量な材料を使えなかったのが、全固体電池は使えるので、今のリチウムイオン二次電池の3倍、あるいは、それ以上の容量にすることが可能です。

今のEVはフル充電後の航続距離が300kmから350kmですが、全固体電池を使えば800km以上も可能と言われています。

開発競争は世界で過熱

こうしたEV用全固体電池については、日本ではトヨタ、海外では、韓国サムスンSDI、米国では先日ナスダックに上場したクォンタムスケープなどが開発しています。

トヨタは3年前に「2020年代前半に全固体電池を使ったEVを投入する」と発表し、開発は着々と進んでいます。昨年1月の時点で、リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄を材料にした、電解液の3倍の導電性を持つ固体電解質を発見しており、現在、量産技術の開発中です。

韓国のサムスンSDIも「2020年中に素材開発は終わった」としており、今後試作品の製作を始め、2027年以降に量産する方針です。そして、クォンタムスコープは、負極材料に黒鉛系ではなく、リチウム金属を使います。

リチウム金属は黒鉛系材料に比べて7倍から8倍のエネルギー密度があるので、コンパクトで高容量、そして、ハイパワーな電池を作れます。しかし、リチウム金属は、電解液と反応し表面にデンドライトと呼ばれる樹枝状の結晶が析出しやすく危険なので、今のリチウム二次電池では実用化されませんでした。

これが全固体電池では、電解液を使わないので結晶ができにくくなり、仮にショートしても燃えにくくなります。加えて、クォンタムスコープ社では、独自に開発したセラミック製の絶縁体を使うとしており、安全性はかなり高いと思われます。

2035年には1.5兆円を上回る市場規模に

このほかにも日立造船や三井金属、そして住友電工などが優れた固体電解質を開発してます。EVに全固体電池が本格的に使われるようになるのは早くて2020年代後半ですが、2035年には1.5兆円を上回る市場規模になると予想されています。

各社の収益に寄与するのはまだ先ですが、夢があります。2021年の注目テーマとして繰り返し関連銘柄が物色されそうです。

なお、村田製作所やTDKなどが作るウェアラブル端末向け全固体電池はすでに市場が立ち上がりましたが、車載向けは市場の大きさが違います。全固体電池がゲームチェンジャーになるかどうか、固唾を呑んで見守りたいと思います。

<文:投資調査部 斎藤和嘉>

(岩井コスモ証券 執筆班)

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