「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」改訂のポイントをわかりやすく解説

「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」改訂のポイントをわかりやすく解説

  • Manegy(マネジー)
  • 更新日:2022/08/06
No image

2022年7月19日、経済産業省は「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」の改訂版を発表しました。CGSガイドラインは2017年3月に策定されましたが、その後2018年9月に一度改定され、今回はそれに続く改訂です。

そこで今回は、CGSガイドラインとは何か、どこが改定されたのかについて、詳しく解説します。

目次【本記事の内容】

コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)とは?

改訂版CGSガイドラインの内容

まとめ

コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)とは?

コーポレート・ガバナンスは日本語だと「企業統治」と訳されます。その意味とは、企業が株主をはじめ顧客や従業員、地域社会といったステークホルダー(利害関係者)の各立場の考えを了解した上で、透明かつ公正な意思決定を行うための仕組みのことです。

そしてこのコーポレート・ガバナンスに「システム」を追加した「コーポレート・ガバナンス・システム」とは、ガバナンスの方法を体系化し、どの企業でも導入できる一般化された内容であることを意味します。

日本ではここ30年近くにわたり、高度成長期には向上していた企業価値が下落し続けています。ここでいう企業価値とは収益力や株価指数などを差し、かつてのように向上させるためには、イノベーションによる付加価値の創出・生産性の向上につながるような、組織体制の再構築が必要です。とくに近年、個人情報漏えいのような企業による不祥事が頻発していることから、コーポレート・ガバナンスの考え方にもとづく内部統制の体制作りの必要性も高まりつつあります。

そうした状況の中、2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で企業統治のガイドラインとして「コーポレート・ガバナンス・コード」を策定。さらに2017年には、経済産業省が日本企業に企業価値向上への取り組みを進めてもらうことを目的として「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」を策定、公表しました。

その後、2018年9月には、金融庁が策定した「改訂コーポレート・ガバナンス・コード」)と、経済産業省のCGS研究会における検討内容を踏まえて、一度目のCGSガイドラインの改訂が実施されました。そして本年2022年の7月に、再び改訂が行われたわけです。

改訂版CGSガイドラインの内容

今回公表された改訂版CGSガイドラインは、「取締役会の在り方」「社外取締役の活用の在り方」「経営陣の指名・報酬の在り方」「経営陣のリーダーシップ強化の在り方」の4本柱で構成されています。

・取締役会の役割および機能の向上

各企業において社外取締役の数が増えてきたことを踏まえ、あらためて取締役会が果たすべき「監督」の意義を定義しています。

すなわちここでの監督とは、経営にブレーキをかけたり、不祥事を見つけたりすることを指すのではなく、適切なリスクテイクの方法やリスクテイクしないことのリスク(不作為のリスク)を提起することを含むとしています。その上で、ガバナンス体制の構築、およびそれに対応した機関設計の選択に関する考え方があらためて整理されました。

さらに会社の課題を踏まえた取締役の選任の重要性についても指摘し、必要に応じて専門知識を有する社外取締役を選任することが選択肢になることが示されています。

・社外取締役に求められる資質とその評価方法

コーポレート・ガバナンス改革を実質化するためには、社外取締役の取り組み姿勢、意識の変革が必要であるとし、その資質を高めるために研修機会の提供・斡旋、費用支援などを行うべきと提言しています。

また、指名委員会(経営陣の選任・解任を決定する委員会)、報酬委員会(取締役や執行役の報酬額を決定する委員会)の構成員の半数超を社外取締役にすべきとも指摘しています。

・経営陣の指名方法・報酬体系の設定方法

経営トップの交代および後継者の指名は、企業価値にかかわる重要な意思決定であるとし、時間と資源をかけて後継者計画に取り組むことを検討すべきと提言。さらに、取締役会が後継者計画を監督する必要性や、現社長・CEOの解任・不再任の議論を始めるための基準を設けることの重要性も指摘されています。

また、経営陣の報酬については、業績連動報酬や自社株報酬の導入を検討すべきとし、その際には導入状況について積極的に情報発信・開示を行うべきとしています。

・経営陣のリーダーシップを高めるための環境整備

資質のある社長・CEOがリーダーシップを発揮できるように、経営トップチームの編成と権限の委譲、経営・執行部の機能を高めるための委員会の設置・活用、経営陣のインセンティブ報酬(業績連動報酬、自社株報酬)の導入などを提言。インセンティブ報酬については、グローバルな水準に合わせて報酬全体の40~50%にすることも考えられる、としています。

さらに、幹部候補生の育成とエンゲージメントの向上(有能な人材を転職させない)を進めるべきとの指摘も行っています。

まとめ

コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)は、経済産業省・有識者(CGS研究会)がまとめた一種の指南書であり、日本企業に企業価値向上への取り組みを進めてもらう目的で策定されています。

今回の改訂版は、「取締役会の在り方」「社外取締役の活用の在り方」「経営陣の指名・報酬の在り方」「経営陣のリーダーシップ強化の在り方」の四つの項目でまとめられ、それぞれのベストプラクティス(最善の方法)について説明・解説がされています。実際に企業で経営陣、管理者として活動されている方は、ぜひ一読されることをお勧めします。

関連おすすめ資料

No image

弁護士が解説!IPO準備企業に必要な契約リスクガバナンス体制
提出元:株式会社LegalForce
IPOの際に求められるコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制強化の取り組みにおいて、重要でありながら抜け落ちがちなポイントである「契約審査・管理体制」にその重要性や、整備しない場合の危険性、 そして構築・運用のポイントを弁護士が解説します。
詳細・ダウンロードはこちら

No image

Manegy[マネジー]

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加