米政権が「集団免疫」戦略への関心高める? 専門家から非難の声

米政権が「集団免疫」戦略への関心高める? 専門家から非難の声

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2020/10/16
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トランプ米政権内で、”高齢者と高リスクの人たちを守るため”、新型コロナウイルスの「集団免疫」確立を目指すべきとの意見が出始めているという。これに対して専門家たちは、そうしたアプローチは「危険で”非倫理的”、”大量殺人行為”にもあたる」と非難している。

ホワイトハウス内のこうした動きが報じられる直前には、ロックダウン(都市封鎖)や学校・ビジネスの閉鎖に反対する科学者らのグループが、「グレートバリントン宣言」と題した文章を発表していた。宣言の内容にはすでに50万人以上が賛同し、署名しているという(ただ、一部には偽名が使われているとされる)。

この宣言のなかで科学者らは、「現在のロックダウン政策は、短期的、長期的な公衆衛生に壊滅的な影響を及ぼしている」と指摘。さらに、次のように主張している。

「集団免疫を確立することのリスクとメリットのバランスが取れた、最も思いやりあるアプローチは、死亡リスクが最も低い人たちに通常どおりの生活を認め、自然感染を通じて免疫を得るようにすると同時に、最もリスクが高い人たちをよりよく守るというものだ」

集団免疫が確立されるとは、基本的には、十分な数の人が(たとえば)新型コロナウイルスに対する免疫を持ち、その感染症が簡単には広がらなくなることだ。そして、それによって感染していない人たちが間接的に守られることだ。

米政権がこの計画に傾いているとのうわさは、以前からあった。だが、実際に関係者がその考えを認めたと伝えられたのは、今回が初めてだ。これを受けて、世界中の専門家たちが懸念を表明している。

専門家たちはこれまでも、集団免疫は良い考えではないとの見解を示してきた。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長も10月12日、集団免疫を確立するために新型コロナウイルスの感染を拡大させることは”非倫理的だ”と発言。米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長もまた、この考えを非難している。

集団免疫の獲得を目指してきたスウェーデンの試みが失敗し、予想を上回る数の死者が出たことを示す研究結果は、すでにいくつも発表されている。

さらに、より多くの研究結果が公表されるなかで、新型コロナウイルスは感染して重症化した人でも、免疫が数週間で消えてしまう可能性があることが明らかになり始めている。再感染する人が報告されているのはこのためであり、多くの専門家が集団免疫の獲得を目指すことに反対するのもこのためだ。

目指せば最低100万人が死亡?
米国で新型コロナウイルスへの免疫を持っている人は今のところ、人口の10%未満とされている。集団免疫を達成するのに必要な割合は、人口の40~80%というのが大半の専門家の見方だ。つまり、米国では1億9700万人程度が感染する必要があるということだ。

一方、WHOによれば、新型コロナウイルスの感染者致死率(IFR)は0.5~1%。集団免疫の獲得を目指せば、米国では少なくとも100万人が死亡することになるかもしれない。

米シンクタンク、アクセス・ヘルス・インターナショナル(ACCESS Health International)のウィリアム・ヘーゼルタイン会長兼社長はCNNに対し、次のように述べている。

「集団免疫は大量殺人と同義語だ。年間200万~600万の米国人が死亡することになるかもしれない──今年だけではない。毎年だ」

「これは私たちの国にとって、紛れもない災害だ。公衆衛生の最も優れた当局者たちが、政府の最高レベルにある人たちによって踏みにじられている。このエピデミックがコントロール可能なものであることを、私たちは知っている。他の国々は制御することができた。私たちは、それと反対のことをしている」

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