【マネーの専門家が見た教育費】高額化する中学受験費用、家計に占める割合はどこまでOK?

【マネーの専門家が見た教育費】高額化する中学受験費用、家計に占める割合はどこまでOK?

  • mi-mollet(ミモレ)
  • 更新日:2022/05/14

都心で年々過熱する中学受験。「コロナ禍の影響で、リーマンショック後のように、徐々に下火になるのではないか?」という当初の予想を覆し、受験人口は増加傾向、さらには「課金レース」というワードも聞こえてきます。

中学受験には「お金がかかる」というイメージがありますが、どんなものにいくらお金がかかるのか、当事者以外には今ひとつピンとこないもの。

そこで今回は、マネーの専門家から、中学受験にかかわるお金の全貌と、家計に対して中学受験に出せるお金についてどのように考えたらよいかについてお伝えします。

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中学受験全体では、どんな費用がかかる?

中学受験をしようと思ったら、真っ先に思い浮かぶのが「塾代」ですね。実際は、それ以外にもいろいろな費用が上乗せされていきます。代表的なものをピックアップしてみましょう。

1)塾代
大手塾の場合、「新小4」と呼ばれる3年生の2月から3年間通うのが一般的です。しかし最近では小学校低学年からコースが用意されている塾も多く、「早めに塾に慣れ、勉強習慣を身につけたい」「入塾希望者が多く、低学年のうちに入らないと満員になってしまう」といった理由により、低学年から通うケースも。授業は学年が上がるにつれて、コマ数も増えていき、その分授業料も上がっていくのが一般的です。

塾にもよりますが、通常授業料はテストやテキスト代を含めて、小学校低学年なら年間20~30万円ほど、新小4~小5は年間40~60万円ほど、小6は年間60万円~70万円ほど(別途必要になる各種講習等は後述)かかるのが一般的です。

2)交通費
徒歩で行ける場合はよいですが、バスや電車を使う場合や、夜遅い時間になって保護者が車で迎えにいくケースもあります。1回あたりはわずかでも、3年間以上通うとなると、意外にかさみます。

仮に往復で200円だとすると、200円×週3回×4週間×12か月×3年間=8万6400円です。

3)季節講習代、志望校別対策コース代
夏休み、冬休み、春休みといった長期休みの期間の季節講習や、小6の受験直前期になると志望校別対策コースを受講する場合もあり、さらに上乗せになります。塾にもよりますし、何をどこまで選ぶかにもよりますが、小4~小5で年間10万円~20万円、小6で年間70万円~80万円など、まとまったお金が必要です。

4)個別塾や家庭教師などの費用
「どうしても苦手な科目がある」「宿題やテストの直しを見てほしい」「志望校対策をしたい」という場合に、通常の塾とは別に、個別塾や家庭教師などで対策をするケースもあります。
個別対応になるため、集団塾よりも費用がかかりがちで、1時間あたり2000円~1万円超くらいが一般的です。

5)過去問題集や個別の問題集
弱点を補強したり、小6の後半になると志望校の過去問題を解いたりといった、塾とは別の費用も追加になります。

過去問題集の場合、1校あたり2500円ほど。東京在住の場合でも、1月に行われる埼玉や千葉の学校を受けることが多く、もし8校の過去問を購入すれば約2500円×8冊=約2万円です。

6)受験料
私立校の受験料は、1回あたり2万5000円ほどが一般的です。6校受験なら15万円、8校なら20万円にものぼります。

7)入学金
第一志望校の結果がわかる前に、すでに合格した併願校の入学金振込締め切り日が迫るケースもあります。入学金として、第一志望校とあわせて10~30万円ほどを2回、振り込むこともあります。

家計の何割くらい「中学受験費用」を出してよいのか

塾代に加えて、諸費用のほか個別塾や家庭教師なども検討すると、青天井の中学受験費用。では、いったい家計の何割くらいまでなら、その費用として捻出してもいいのでしょうか。

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これは、各家庭で「何の費用を重視したいか」によって異なります。「とにかく中学受験にお金をかけてもいい」という家庭もあれば、「最低限におさえたい」という家庭もあるでしょう。

「我が家はいくらまでならよいか」という上限を先にイメージしておくことと、毎月の貯蓄は先取りで確保しておくことが大切です。

教育費のピークは決して小学生のうちではありません。中高で私立に行けば、学校によっては年間あたりの教育費が、小6の中学費用以上に増える場合もありますし、中高卒業後も私立大学で一人暮らしをしたり、6年制学部や大学院、留学を考えたりということになれば、お金は出ていく一方だからです。

まずは、中学受験の塾に通わせながらも、「手取りの1割以上は、毎月確実に貯められるか」が、見極めるポイントになるでしょう。さらに、中学受験進学後も、同じく手取りの1割以上を貯められるサイクルが大切です。

「ボーナスがあるから大丈夫だろう」と思う方もいますが、要注意です。私立中学に進学すれば、少なくても6年間、さらに私立大学への進学の可能性があれば10年間は確実に大きなお金がかかり続けます。小学生の通塾の時点で「ボーナス頼み」の家計にしていると、今後、例えば住宅ローン返済や住宅の修繕、車の買い替えに支障をきたしたり、転職や退職、勤務先の業績悪化、両親の体調不良等により予期せぬ収入減が起こった場合に学費が払えなくなったりという恐れがあります。

ボーナスは、予定外に減ったり、なくなったりする可能性もありますので、できる限り、毎月の収入の範囲で考えましょう。

手取りの1割以上の貯蓄を確保したら、残りの費用の割り振りを考えていきましょう。「中学受験費用に糸目はつけない」という方なら、中学受験の費用を第一に考え、それ以外の支出をできるだけタイトにする工夫が必要です。

一方で「中学受験費用は最低限に抑えて、他の費用(例えば食費、外食費、趣味費、洋服代など)を充実させたい」という方なら、通信教育を中心に考えたり、塾を数社リサーチしてみたりして、検討するとよいでしょう。

とはいえ、家計がスリムであれば、今後の教育費もしっかり貯められますし、他の費用にもあてることができます。いずれの場合でも固定費を中心として、無駄な支出がないかを一度確認してみて、長期的視点で見たうえで、家族がトータルで満足できるお金の使い方を探ることが大切です。

「中学受験費用」をスリム化する方法とは?

「中学受験をしたい」「でも小学生のうちは、通常の塾に通い続けるお金は出せない」といった場合、どのように中学受験費用をスリム化すればよいのでしょうか。

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一つ目の案は、小4や小5までの間は通信教育等を選ぶ方法があります。例えば、Z会や四谷大塚の『進学くらぶ』などの通信教育やオンライン教材なら月1万円代から受講でき、費用としては一般的な通塾に比べると非常に安価です。ただし、リアルな場で見守ってくれる先生がいないため、保護者のサポートはより一層欠かせないでしょう。

小6から通塾に切り替えるケースなら、トータルの費用は100万円以上安くなります。ただし、入塾テストを設けている塾に小6から通いたい場合、小4から小5、さらに小6と学年が上がるにつれて入塾テストの合格ラインが上がるのが一般的なため、「小3や小4ではパスできたのに、小6で入塾テストを受けたらパスできなかった」とならないように準備が必要です。

二つ目の案は、通常の塾には通うとして、春期講習、夏期講習、冬期講習、特別講習などを受講せず、同じようなテキストを使って自宅学習にする方法です。季節講習や特別講習は、塾にもよりますが、小4~小6の3年間でトータル100~150万円ほどはかかります。特に季節講習は、自動的に受講費が引き落とされるのが一般的ですので、必要かどうかを都度家族で話し合うことが大切でしょう。

三つ目の案は、少々レアケースにはなりますが、一般的な4科目受験ではなく、2科目受験や英語受験のみを目指すという方法です。中学受験を扱う塾では、2科目(国語・算数)受験の対応をしているところもあり、通常の受講費や季節講習は、4科目の場合に比べて7~8割ほどの費用になります。

近年入試が多様化しており、数は限られるものの、1科目(国語または算数または英語)受験や2科目(国語と算数)受験をする学校も見られます。本人の得意科目で、かつ志望校で実施している場合は検討するのも手です。

ただし、受験倍率や合格者の入学率を確認するほか、国算の2科目受験の場合に中学の理社の授業についていくためのバックアップ体制はあるか、さらには、入試間近になって「やっぱり4科目受験しかない中学を受験したい」と気持ちが変化する可能性がないかをしっかり考えてから決めたいですね。

中学受験のための塾に一度通い始めると、「やっぱり中学受験はやめよう」というケースは少ないのが現状でしょう。「なんとなく」で通い始めると、その後の中学、高校まで、10年前後にわたって大きな教育費がかかりつづけることになります。また下に妹や弟もいれば、自然な流れで中学受験をすることになり、費用は2倍かかります。

中学受験が終わっても、家族の人生は続いていきます。受験に関する費用は、その時に「出せる金額」ではなく、長い目で見て考え、さらには家族の他の楽しみの支出、マストな支出とも考えあわせて、「いくらまでなら出してよいか」を、各家庭でじっくり話し合うことが大切です。

構成/佐野倫子

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西山 美紀

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