芽が出始めていた農作物が一晩で台無しに...恐ろしい「ネキリムシ」の被害

芽が出始めていた農作物が一晩で台無しに...恐ろしい「ネキリムシ」の被害

  • 幻冬舎ゴールドライフオンライン
  • 更新日:2023/01/25
No image

【前回の記事を読む】罪のないカボチャの処分に風評被害まで...「食べ物を粗末にしちゃいかんぜよ」

第2章 農業・狩猟

食べ物を粗末にしちゃいかんぜよ(2008年10月)

大体そんな見た目だけできれいなものを追い求めていたら、結局は農薬をたっぷりかけて、虫も食わない病気もつかないものを作るしかない。そんな薬まみれの見た目だけがきれいな食べものが一級品として高く扱われ、見た目には多少の虫食いなどはあるが、薬があまりかかっていない安全な食べものは二級品になってしまう。

果たして、この現実を正常なことと思えるだろうか?いくら近年、食の安全があちこちで叫ばれているとはいえ、市場や消費者などはまだまだ歪んだ食意識が根強く残っているのが現実なのだろう。

こんな市場原理主義など相手にしていられない、と考える農業者がいわゆる有機無農薬農業などを実践して自立して生活している人たちだ。こういった人たちははじめから市場など相手にしておらず、自ら消費者に直接生産物を届けるというシステムを活用している人が多い。僕も就農したての頃はそういった農業を目指したいと志気高く勇んでいたが、未だ実践はできていない。

世間では、事故米の食用向け不正転売、中国の毒入りギョーザ事件など、次から次へと食品問題が明るみに出ている。しかし、確かにそういった一連の事件は、利益優先の考え方に問題があるのは理解できるが、その影響でまだ食べられるものがあまりにもたくさん廃棄されていることの問題点をマスコミはあまり流していないように感じる。

僕は腹を壊さないだろうと思ったら、賞味期限が1年や2年切れているものでも平気で食べる。それは単なる貧乏性ととらえられても間違いではないが、実は世の中の歪んだ食意識に対するささやかな抵抗でもあるのだ。

ネキリムシ(2011年7月)

今年も昨年と同じく、春先はとても天候不順な日が多くて農作業がすごく遅れた。6月頃からようやく天気が安定してきて、晴れた日が続き、農作業も少しずつ遅れを取り戻してきた。

7月下旬から種まきをする大根を除いて、全ての種まきが終わり、順調に芽が出始めていた。今年は春作業が遅れたけども小豆などの生え具合もそろっていて、いいあんばいだなぁ~と安心したのも束の間であった。

ある朝、小豆畑に行ってみたら、なんだか昨夜と様子と違うのだ。妙に土の色が目立っていた。あぁこれはきっと何日か前に散布した除草剤が効いて雑草が枯れてきたんだなぁと安心しながら畑に近づいていった。しかし、やはり様子がおかしい。部分的ではあるのだが、雑草どころか小豆の芽もないのだ!

正確には芽がないのではなく、芽が切られているのである。これはガの幼虫の一種、ネキリムシという害虫の仕業である。ネキリムシ(根切り虫)というのは通称で、正確にはタマヤマガあるいはセンモンヤガという名前である。

雨が少なくて干ばつ気味になると、このネキリムシは発生しやすくなるのだが、概ね毎年6〜7月頃の作物の芽がでかかった時によく発生する。地際で植物の茎を切り落としてしまう、農家にとってはめちゃくちゃ憎たらしい奴だ。今年はネキリムシの被害が全町的に多発し、我が農場でも大発生してしまった。小豆だけじゃなく、トウモロコシ・ジャガイモ・カボチャなど作づけしたほとんどの作物でネキリムシの被害にあった。

ネキリムシの被害は本当にあっという間にやってくる。前日、なんの異常もなく生えそろっている作物が、次の日の朝にはきれいさっぱり食害されて芽が切り取られているのである。黄緑色に輝いていた畑は一晩で寂しい土色へと変わっているのだ。ネキリムシは昼間は土中でおとなしく過ごしていて、夜間にでてきて食害する夜行性。

嘘か冗談かは知らないが、ネキリムシが発生している夜中に畑に行くと、畑中から「カリカリ……」と作物の芽が食いちぎられている音が聞こえてくるらしい。漆黒の闇の中から、そんな音が響き渡ってくるなんて想像しただけで鳥肌が立つ。

冨田 直和

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加