「盲腸、虫歯だと宇宙飛行士になれない」は都市伝説? 13年ぶり募集のJAXAに聞いた条件とは

「盲腸、虫歯だと宇宙飛行士になれない」は都市伝説? 13年ぶり募集のJAXAに聞いた条件とは

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  • 更新日:2021/11/25
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宇宙飛行士のイメージ写真【写真:Getty Images】

13年ぶりの募集は「学歴不問」など、募集条件を前回から大幅に緩和

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が13年ぶりに宇宙飛行士候補者の新規募集を開始する。国際宇宙ステーション(ISS)や日本実験棟「きぼう」、そして月周回有人拠点「ゲートウェイ」や月面での活動を想定し、概要を発表した。(取材・文=佐藤佑輔)

応募受付期間は2021年12月20日から2022年3月4日まで、採用人数は「若干名」を予定。募集要項では2008年の前回募集と比較し、「自然科学系の四年制大学卒業」「自然科学系の3年以上の実務経験」の条件を撤廃し「学歴不問」に、着衣での75メートル水泳や10分間の立ち泳ぎなども「選抜後に訓練あり」とするなど、大幅な緩和となった。

今回の募集条件緩和について問い合わせたところ、JAXAからメールで回答があった。

これまでの理系大学卒から「学歴不問」とした理由については「宇宙飛行士になれる可能性を多様な方々に広げるために、宇宙飛行士候補者への応募(入口)の段階では、可能な限り要件を狭めすぎることなく、選抜での能力発揮で選びたいという趣旨で変更しました。学歴などで応募を閉ざすことはせず、できるだけさまざまなバックグラウンドの方に活躍いただく可能性を入口の段階で確保できればという考えです」と説明した。

また、身長制限が「158~190センチ」から「149.5~190.5センチ」と緩和されたこと、体重制限がなくなったことについては「今後搭乗を予定している宇宙船などによる身体条件に準じて設定しています。体重は生活指導などによる改善等で増減がある程度可能であるため、応募資格には設定していません」としつつ、「宇宙船などによる身体条件があるため、選抜過程において体重の評価も実施します」とした。

選考ポイントは「意欲」「健康」のほか「思考力」「専門性」「国際感覚」も

では、実際にどんなところが書類選考や選考試験のポイントとなるのだろうか。

JAXAでは「明確な目的意識と達成意欲の強さ」「任務・訓練に耐えうる健康状態」の他、「STEM分野の知識や論理的思考力、円滑な意思の疎通が図れる英語能力とともに、教育や実務経験等の中で取り組んできたことにおける専門性」「ミッション遂行能力(自己管理、コミュニケーション、状況認識、リーダーシップ、問題解決、チームワーク、マルチタスク等)とともに、緊急事態にも迅速かつ的確に対処する能力」などを挙げており、やはり誰もが簡単に就ける職務ではなさそうだ。

この他、「日本人としての誇りを持ち、人文科学・社会科学分野を含む広範な素養・知識を有し、並びに自分と異なる文化・伝統・価値観等を有する者に敬意を払う国際的なチームの一員にふさわしい態度」「自らの体験や成果などを外部に伝える豊かな表現力と発信力」「国内・国際社会で求められる高いコンプライアンス意識」など国際的な感覚も重要な選考ポイントになるという。

一方、選考に不利な条件はないのだろうか。昔から「盲腸(虫垂)を切ると宇宙飛行士になれない」あるいは「宇宙飛行士になるには盲腸を切らないといけない」、「虫歯があると宇宙飛行士になれない」などといった俗説もあるが…。

JAXAは「現在、そのようなことはありません。宇宙飛行を前に虫歯治療されていれば問題ないです。虫垂炎は、宇宙に行く前に行う健診による予防や、万が一宇宙で虫垂炎になった場合には薬による措置、さらには地上への緊急帰還により対応することとなります」と否定。選考条件には影響しないという。

ちなみに給与は月額で30歳が約32万円、35歳で約36万円。昇給年1回、賞与年2回、各種手当のほか、完全週休2日制でフレックスタイム制度、テレワーク勤務制度なども充実しているが、訓練及びミッション中は、当該スケジュールが優先されるという。

来月8日からは、実業家の前澤友作氏がロシアの宇宙船「ソユーズ」で民間人としては初めて国際宇宙ステーションに滞在する。宇宙への関心が高まる中、条件緩和によって次の宇宙飛行士候補者にはどんな有望な人材が集まるのだろうか。

佐藤佑輔

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