【ビジネス誌 読み比べ】週刊ダイヤモンドが「1億総リストラ」を特集  東洋経済、エコノミストは?

【ビジネス誌 読み比べ】週刊ダイヤモンドが「1億総リストラ」を特集 東洋経済、エコノミストは?

  • J-CASTニュース
  • 更新日:2021/04/06

「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスマンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

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「週刊ダイヤモンド」(2021年4月10日号)の第1特集は「1億総リストラ」。2020年、上場企業約100社が早期・希望退職者募集を打ち出した。21年に入ってからもすでに約40社。最大の要因はコロナ禍の直撃だ。

コロナ禍が直撃した赤字企業ばかりではない。早期・希望退職者の募集を打ち出した企業のうち3割は黒字企業。黒字企業も構造改革の名の下に組織と人員の再構築を図り、「黒字リストラ」を仕掛けているのだ。「明日は我が身」と思う読者も少なくないだろう。

黒字でもリストラ

赤字企業の場合、希望退職の先に待っているのが、整理解雇だ。しかし、日本で現実的には(1)人員削減の必要性 (2)解雇回避の努力 (3)人選の合理性 (4)解雇手続きの妥当性――の「整理解雇の4要件」が必要だ。

ダイヤモンド編集部は「希望退職募集」「雇用調整助成金受給・申請」「赤字決算」の3点すべてが当てはまる「整理解雇危険企業」51社の独自リストを作成した。ANAHD、近鉄グループHD、三菱自動車などが並ぶ。外食自粛のあおりを受けた交通インフラ関連、外食、小売り、観光、アパレル、繊維製品などの業種が目立つ、としている。

業績が良くてもリストラを行う「黒字リストラ」を行う企業も増えている。36社を独自にリストアップ。ホンダ、JT、武田薬品工業、セブン&アイ・HD、東芝、味の素などが並ぶ。記事では、東芝の主要子会社、東芝エネルギーシステムズのいわゆる「追い出し部屋」裁判の経緯を詳しく紹介している。ほかにも業績絶好調のソニーグループで、ある日突然やって来る退職勧奨の実態に驚かされる。

また、武田薬品工業の国内営業部隊のMR(医薬情報担当者)を対象にした希望退職者の募集を取り上げている。過去のリストラでは実施していることを社外に明かさず、当事者から非難を受けた。今回は、希望退職者への対応は手厚く、特別加算金は管理職クラスだと3000万円は上乗せされたようだ、としている。だが、業界エリートの武田薬品のMRでも、7割はMR職以外に転職するなど、再就職が厳しい状況にもふれている。

「三越伊勢丹でリストラの標的とされた年収1000万円課長の末路」という記事を読み、中間管理職の厳しさを痛感する人も多いだろう。まず、課長級の賃金体系を見直し、部下を複数持つラインの管理職か、ほとんど持たずに現場を任されるかの二つに階層化し、後者の収入を下げた。余剰になった社員を「ささげ」と呼ばれるインターネット販売商品の撮影や採寸、原稿作成などを行う業務だったり、コンシェルジュだったり、物流センター業務だったりに配置転換した。キャリアに合わない単純作業に従事することに失望した人は割増退職金をもらい、多くが退職したという。

◆ 外食業界大再編の主役は投資ファンド

第2特集は、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けている「外食業界の大再編」だ。その主役が投資ファンドだ。次に「川下」を確保したい総合商社、さらに勝ち組企業による同業のM&A、ビールメーカー型と4つの類型に分けている。だが、これまで外食業界に出資してきた大手ビールメーカーは、今回の外食再編の主役にはなり得ない、と見ている。

ファンド目線で「お買い得」な外食企業76社のランキングが載っている。1位はすかいらーくHD、2位はB-Rサーティワンアイスクリーム、3位はゼンショーHDだ。アフターコロナを見据えて、今が「買い時」なのだという。

また、外食企業への追加融資をめぐる銀行との攻防戦、政府や自治体の外食支援策の効果の検証などの記事も掲載している。

「週刊東洋経済」は「マルクスvs.ケインズ」の大特集

「週刊東洋経済」(2021年4月10日号)は「マルクスvs.ケインズ」の大特集を組み、読み応えがある。脱経済成長を旗印に支持を広げる新マルクス主義と新型コロナウイルス禍で完全復活したケインズ主義を軸に、学び直しを勧める教養色が強い内容だ。

大阪市立大学の斎藤幸平准教授による「人新世の『資本論』」(集英社新書)が、2020年9月の発売以来、20万部という異例のヒットになったことを受けた企画だという。

「資本主義が人々の生活水準を向上させる」「世界は経済発展とともに民主化する」「テクノロジーは人類に進歩をもたらす」という戦後社会を支えてきた信念とイデオロギーは、資本主義の行き詰まりと民主主義の危機によって、崩れつつある。斎藤氏は、さらに気候変動、コロナ禍、文明崩壊の危機を受けて、脱資本主義、脱経済成長とさらに急進的な論を展開している。

特集では、岩井克人・国際基督教大学特別招聘教授・東京大学名誉教授にインタビュー。岩井氏は「持続可能な資本主義は実現できる」「SDGsは資本主義の転換への大きな力になる」と語っている。

これを受ける形で、斎藤氏もインタビューに登場。よりよい資本主義、緑の資本主義によって、格差も持続可能性の問題も一挙に解決できるように見えるが、実は問題があると指摘する。資本主義のグリーン化という名目で、アフリカなど低所得国からの収奪がこれまで以上に強まる問題があるというのだ。また環境への負荷も高まると見ている。そして、「SDGsは大衆のアヘン」と批判する。

水や電力、住居、医療、教育など、誰もがそれなしには生きていけないものは、本来、商品化すべきではなく、社会的に共有され、管理される「コモン」だとし、「経済成長のための競争をやめ富をシェアする社会に。資本主義のグレートリセットが必要だ」と訴えている。

この岩井氏と斎藤氏のインタビューを、じっくり読んでほしい。

◆ 日欧米の中央銀行が正念場

第2特集は「『中央銀行』の正念場」。3月中旬に日欧米の中央銀行が相次いで金融政策の決定会合を開催したのを受けて、それぞれが異なる難題に直面し、政策の舵取りに苦心していることを解説している。日本銀行の黒田東彦総裁が説明した「金融緩和の点検」について、元日銀理事の門間一夫・みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストは「重要性でいえば、全体の90%はETF(上場投資信託)買い入れの修正にある」とコメントしている。

ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、コロナの感染再拡大による景気の不透明感、長期金利の上昇、ユーロ圏19カ国の中で景況感に差があるという3つの難題に直面、より細心の経済運営を要求されている、としている。

日欧に比べて、危機下の金融政策からの「出口」に近いのが、FRB(米連邦準備制度理事会)だ。緩和縮小が焦点だという。年後半にワクチンが普及すれば米国を中心に世界経済は改善するとの期待もあり、米国の景気回復と長期金利上昇が焦点になる、と見ている。

「週刊エコノミスト」は「資源高襲来!」を特集

「週刊エコノミスト」は、「資源高襲来!」と題した特集。穀物や金属など資源価格が軒並みに上昇している、と警告している。「需要大爆発で争奪戦に 頭を抱える食肉業者」という巻頭記事に始まり、商品ごとに、「トウモロコシ、大豆、小麦 中国が世界の穀物を食い尽くす 軒並み6~7年ぶりの高値に」「中国養豚が急拡大 日本の生産量の4倍増へ 『豚ホテル』で大規模飼育」「砂糖・食用油 原油高が価格に影響大 エタノールの比率上昇へ」「原油・天然ガス サウジなど協調減産継続 ヘンリーハブは最高値記録」「工業金属&ゴム 銅・ニッケル・アルミ・スズ/白金/銀/天然ゴム/鉄鉱石」と分析記事を掲載。

さらに、インフレに備えて、株、金、不動産によるリスクヘッジ、資産防衛を呼びかけている。(渡辺淳悦)

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