アーセナルはなぜ苦戦しながらも勝てたのか? 開幕戦で主導権を明け渡した原因と完封勝利の立役者【分析コラム】

アーセナルはなぜ苦戦しながらも勝てたのか? 開幕戦で主導権を明け渡した原因と完封勝利の立役者【分析コラム】

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  • 更新日:2022/08/06
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【写真:Getty Images】

●苦しみながらも開幕戦に勝利

プレミアリーグ第1節、クリスタル・パレス対アーセナルが現地時間5日に行われ、アウェイチームが2-0で勝利した。結果的には勝ち点3を獲得したが、ポゼッション率で下回るなど苦戦を強いられたアーセナル。なぜ相手に主導権を渡してしまったのだろうか。なお、冨安健洋は怪我のためメンバー外となっている。(文:安洋一郎)

【動画】クリスタル・パレス vs アーセナル ハイライト

2022/23シーズンのプレミアリーグが遂に開幕した。開幕節の中でもオープニングゲームを任されたのはクリスタル・パレスとアーセナルの一戦だった。

今季のアーセナルはミケル・アルテタ監督にとって4季目、そして今夏の移籍市場でガブリエウ・ジェズス、オレクサンドル・ジンチェンコら実力者を補強することに成功しており、2015/16シーズン以来となる4位以内でのフィニッシュが現実的な目標となっている。

4分にジェズスの突破からガブリエウ・マルティネッリに決定機が生まれるなどアーセナルが試合開始直後からペースを握り、20分にセットプレーからマルティネッリのゴールで先制。そして85分にブカヨ・サカのクロスからダメ押しとなるオウンゴールを誘発し、2-0の勝利を収めた。

だが、30分以降に試合の主導権を握っていたのはホームのクリスタル・パレスだった。最後までゴールネットを揺らすことはできなかったが、シュートと枠内シュートはそれぞれアーセナルと同じ10本と2本を放ち、決定機もいくつかあった。アーセナルは本来ポゼッションを志向するチームであり、自分たちでボールを回したいチームだが、データサイト『Sofa Score』によると90分の支配率は56%とクリスタル・パレスが上回っている。特に後半は69%の支配率を記録するなどホームチームが完全に主導権を握っていた。

試合後、アルテタ監督は「開幕戦の勝利は自信に繋がる」と勝ち点3を獲得したことに対しては満足気だったが、一方で「もっと早く試合を決めるべきだったし、自分たちが望まないプレーを強いられた」と試合の運び方に関しては反省を口にしていた。

試合には勝利したものの、なぜアーセナルは絶好調だったプレシーズンと打って変わって苦戦を強いられたのだろうか。

●冴えわたったヨアキム・アンデルセンのフィード

ボールを失っても即時奪還を目指すアーセナルのカウンタープレスがハマり、試合開始直後のクリスタル・パレスはビルドアップに苦しんでいた。そこで打開策を見つけたのがCBのヨアキム・アンデルセンだった。同サイドのジョーダン・アユー、逆サイドのウィルフレッド・ザハを狙ったフィードが面白いように繋がり、そこから何度もチャンスが生まれた。

一方のアーセナル、前半は繋ぐ意識が高く、特にジンチェンコが加わった左サイドのビルドアップは流動的でクリスタル・パレス守備陣をかなり苦しませていたが、時間が追うにつれて低い位置でのボールロストを恐れて次第に前線へのロングボールが増えるなど、相手にボールを渡してしまう展開が続いた。

58分に190cm越えの大型FWジャン=フィリップ・マテタが投入されたこともあり、後半はアンデルセンからのフィードがさらに脅威となり、そのこぼれ球を拾ったザハやエベレチ・エゼのドリブルや連係から決定機も生まれた。

両チームはどちらも後半にロングボールを前線に蹴ることが増えたが、アーセナルはどちらかというと「蹴らされた」ロングボールであり、クリスタル・パレスは「狙った」ロングボールという明確な違いがある。「蹴らされた」と「狙った」では、前線の選手たちの準備が変わってくるため、結果的にアーセナルはボールロスト、クリスタル・パレスは自分たちの攻撃の起点にすることができていた。

●勝ち切れた要因は…

後半は間違いなくクリスタル・パレスが試合の主導権を握っていたが、同点、そして逆転への流れにならなかったのはアーセナル守備陣の頑張りがあったからだ。相手のキーマンであるザハに対しては一対一で仕掛けられると相手に分があるが、基本的には2人でザハを抑えようとすることを徹底しており、縦のドリブルのコースをホワイト、横のドリブルのコースをトーマス・パーティやウィリアム・サリバがケアすることで完璧とまでは言わないが、彼のドリブル突破を最小限に抑えることができていた。

そして忘れてはならないのが今季から背番号1を背負うアーロン・ラムズデールのビッグセーブである。51分にザハのスルーパスに抜け出したエゼと一対一を迎えたが、イングランド代表GKは相手との距離を詰めると同時に体を横に投げ出してシュートコースを限定させ、見事シュートをセーブした。この時は1-0でアーセナルがリードしていた展開だったため、仮にゴールを奪われていたら完全に流れがクリスタル・パレスへと傾いていただろう。守護神の活躍で何とか同点に追いつかれるのを阻止した。

83分にはアユーにドリブル突破を許していたジンチェンコに代わり、対人守備を得意としているキーラン・ティアニーを投入。アルテタ監督の選手交代も功を奏し、何とか逃げ切ることに成功した。

昨季は最後の最後でCL出場権獲得を逃したが、それはスタートダッシュの失敗が尾を引いたことも影響していた。4位以内を目指す今季はその二の舞を避けるためにも開幕から着実に勝ち点を稼いでいくことが重要であり、苦しんだとはいえ、開幕戦での勝ち点3獲得は最高のスタートを切れたと言っていいだろう。(文:安洋一郎)

安洋一郎

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