塾なしハーバードの母が娘を修学旅行に行かせなかった理由

塾なしハーバードの母が娘を修学旅行に行かせなかった理由

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/11/22
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大分市で、幼児から高校生まで無学年制のオンラインとオフラインの英語教室を主宰する廣津留真理さん。廣津留さんが編み出したはじめから難しいことをする「ロケットスタート型」の独自の英語学習をベースにして、一人娘のすみれさんは、海外滞在経験なしに大分の公立高校からハーバード大学に現役合格&首席卒業。
そんな廣津留さんの英語教室では、たった週1回75分のレッスンで幼児が英検3級(中学卒業レベル)、小学生が英検2級(高校卒業レベル)に合格する例が続出している。イエール大学や東京大学、国立大学医学部といった難関大学に合格する教え子たちも。

英語指導にとどまらず、子育てに関するセミナーや、現役ハーバード生を講師陣に迎えるサマースクールSummer in JAPANを毎年主催するなど、これまで約800人の現役ハーバード生に関わり、のべ1万人以上の親子を見てきた廣津留さんに、前回の記事に続き、子どもを伸ばす親とそうでない親は、いったい何が決定的に違うのかを教えてもらう。今回はハーバード生が書いたエントリーシートをもとに、親の子育てへの姿勢の決定的な違いを解き明かしてもらう。

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廣津留真理
ディリーゴ英語教室代表/一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事兼CEO/株式会社ディリーゴ代表取締役。大分県在住。早稲田大学卒業。一人娘のすみれさんは、大分の公立高校から留学経験なしでハーバード大学に現役合格&首席卒業。彼女への家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した独自の「ひろつるメソッド」を確立。大分県の英語教室や県内外のセミナーにて、これまでのべ1万人を指導。たった週1回75分のレッスン1年で、英語学習経験ゼロの小学生が英検3~2級に合格する例が続出。オンラインコースでは日本はもとより世界から受講生が学ぶ。また、現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPANは、2014年、経済産業省の「キャリア教育アワード奨励賞」受賞。著書に、英語経験ゼロの子も1冊で長文読解までできるようになるドリル『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』 、娘と実践した家庭学習メソッドを公開した『成功する家庭教育 最強の教科書』(講談社)ほか。https://dirigo-edu.com

毎年100名ほどのハーバード生から申し込みが

現役ハーバード生を講師に、地元大分市で、英語サマースクールSummer in JAPAN(SIJ)を開催して8年。小学生から高校生までの子どもたちが、ハーバード生から英語でプログラミング、英作文と読解、スピーチ、ディスカッション、演劇を学び、大きく成長しています。

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キャプション:今年は初のオンライン開催。例年25ヵ国の若者が大分市を訪れるが、今回はコロナ禍にもかかわらず15ヵ国からの参加者がスクリーン上で出会った。写真提供/廣津留真理

これまで体験した先輩たちからの口コミと評判で、自分のキャリア形成の一環としてSIJの講師を経験したい、というハーバード生はありがたいことに毎年多く、100名ほどのエントリーの中から12名を選抜しています。海外在住経験のない純ジャパの私が、ハーバード生を英語の筆記テストと面接で選考しているのですからおかしいのですが、これが私にとっても毎年の刺激的な経験となっています。

学歴よりも重視されているもの

ところで、彼ら現役ハーバード生がメールで送ってくる履歴書には、各人以下のような項目が並びます。

Education(学歴)
Honors & Awards(受賞・表彰歴)
Work Experience(インターン経験)
Leadership and Activities(リーダーシップと課外活動)

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SIJ講師エントリーのためにハーバード生たちから送られてきた履歴書(個人情報保護のため加工しています)。日本の学生の履歴書とは大きく異なり、学業以外にどんな活動をしたかに、多くの記述が割かれている。写真提供/廣津留真理

Educationは、学歴で、卒業高校名とGPA(総合成績を数値化したもの)にプラスして、ハーバード大学で何を専攻してGPA は何点かが書かれています。

ここまでは日本人の学生が書く履歴書と変わりませんが、大きく異なるのはここからです。自分が何を成し遂げてきたかの具体的記述に、履歴書のほとんどが割かれているのです。

Honors &Awardsは、受賞・表彰歴です。「National Merit奨学生に選ばれる」「論文コンテストで入賞」「ウエイトリフティングの全国大会で優勝」「Marshall Scholar(アメリカを代表して英国オックスフォード大学等に派遣される)」「国際科学オリンピック5つに入賞」といった内容が並びます。

Work Experienceは、インターン経験です。「コンサル企業で、コンサルティング戦略と運用のための100ページにわたるマニュアルをまとめ、新人コンサルタントを対象とした5日間の集中トレーニングプログラムを企画・運営」「パリのシュルレアリスム作家アンドレ・ブルトンのアトリエに収蔵されている作品をフランス語から英語に翻訳」「ボストンバレエ団で、週1万PVのウェブサイトをウェブ開発チームのためにHTMLコードで書く」「MTVテレビ局で新シリーズを制作して提案」「ペルーの先住民族の農園で10週間勤務」といった経験が並びます。

特徴的なのはLeadership(リーダーシップ)やActivities(課外活動)です。「女性としてのリーダーシップ戦略を学ぶ会を設立」「540席ある劇場で、チェーホフの『三人姉妹』の演出を務める」「ベトナムの子どものためのサマーキャンプのリーダーとしてプログラムの計画を立てる」「ハーバード新入生のための6日間にわたるアウトドアプログラムのリーダーに選出される」など、多岐にわたります。学業以外の経験を通してリーダーシップを育むことがいかに大切にされているかがよく分かります。

子育てのゴールとは?

もちろん、ハーバード生と言えど、大学に入っていきなりこれらのことが身についたわけではありません。どういうことかと言うと、ハーバード生の親は、我が子が小さなうちから、好奇心の向くことにチャレンジさせ、得意を見つけて伸ばす手助けをしているということです。同時に、世界で現実に起きていることに目を向けさせ、座学や筆記試験では得られない体験をさせて、広い視野を持たせているのです。それは、「ハーバードに合格させるために」と思ってしていることではありません。そもそも子育てのゴールの設定が「よい大学に入れること」「よい企業に入れること」ではないからです。

ハーバード生たちは、「Make an impact (社会に影響を与える)」という言葉を頻繁に口にします。つまり、彼らの親たちは「社会を良い方向に変える人材に育てる」ことを子育てのゴールに設定しているのです。そのためには、小さな頃から何が必要かを逆算して育ててきた結果として、子どもたちが「Make an impact」志向の強いハーバードに入っている、と言ったほうが正しいでしょう。

けれど日本では、受験システムが異なることもあり、子どもへの評価の物差しのメインは、テストの点数と偏差値です。「こんな課外活動でリーダーを務めた」「○○コンクールで入賞した」ということが評価されるのは、その小さな世界の中だけのことになってしまいます。すると、小さい頃からするべきことを逆算しても、「この教科が苦手だから塾に入れなきゃ」「中学受験で成功するためには、どこどこの塾でいいクラスに入って」……ということになりがちです。

このようなことを言うと、必ず「うちの子はハーバードを受けるわけではないから大丈夫」という声が上がります。けれど、ハーバードを受けなければ、あるいはずっと日本にいるならば、スルーしてよい問題なのかは疑問です。

ゴールから逆算する子育て

オンライン化が進み、どんどん国境の意味がなくなっていくこれからのグローバル時代。今後、日本でも転職は当たり前になり、オンラインでつながる世界中の競合や同士を相手に仕事をすることになります。今の子どもたちが社会に出る5年後、10年後、たとえ日本国内にいたとしても、彼らが一緒に仕事をするのは、小さな頃から「評価基準はテストの点数だけではない教育」を受けてきた世界中の人たちです。

もちろん志を持って勉強し、学びたい学問をできる大学を目指すのは価値のあることです。しかし世界の基準が、学校の名前、学校の成績オンリーではないことは確かなのです。そんな社会で我が子が自信をもって生き生きと活躍してほしいと願うなら、リーダーシップ人材へと育てて社会に送り出すことをゴールに設定し、そこから逆算した子育てをするべきなのではないでしょうか。

ただここで、「リーダーシップ」の概念が、アメリカと日本とでは大きく違うことを記しておかなければなりません。リーダーシップといっても、「学級委員長になりなさい」「政治家を目指しなさい」ということではないのです。そもそもアメリカは、普通の人々が国のリーダーになるべきだという思想で建国されています。リーダーシップとは、人々の安全と平等を実現し、世界を良い方向に導くために、特殊な一部の人ではなくすべての人が備えるべきものなのです。「すべての市民がリーダーシップを取れる社会」という発想が、世界にないものを作り出すイノベーションの創出にアメリカが長けている理由の一つに思えます。

ハーバード生の親が大切にしていること

では「リーダーシップ人材を育てる子育て」とはどんなものなのでしょうか? ハーバード生にどんな家庭に育ったのか尋ねると、彼らが必ず口にするのが「親とはいつも対話があった」という言葉です。

「対話」といっても、「人生いかに生きるべきか」「人生で大切なものとは何か」といった、かしこまった内容を指しているわけではありません。対話で重要なのは、トピックそのものではなく、「相手がほしいものを与える」ということです。

SIJの講師Jさんは幼少期から鳥が好きで、そんな彼のために両親は週末、野山にバードウォッチングに連れ出してくれたといいます。またお芝居好きのAさんの両親は、よく彼女を観劇に連れて行ってくれたそうです。さらに興味関心のある事柄について親と交わす対話があるため、ますますそれが好きになり、一つのことを突き詰めていく原動力になるのです。

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学業だけではなく、幼い頃から自分に好きなことに打ち込み、得意を磨く体験を積み重ねているハーバード生たち 写真提供/廣津留真理

もちろんこれらのことは、直接テストの点数には結びつきません。けれど、何かに突出することで子どもたちは達成感を得て自己肯定感が磨かれ、自信を持って様々なことにチャレンジしたり、人とコミュニケーションしたりすることができるようになります。それが、リーダーシップを育てることつながるのです。

時間とお金のムダをなくす子育て

今度は「学校の勉強や宿題だけでもいっぱいいっぱいなのに、そんな時間はない」という声が聞こえてきそうです。前々回の記事でも書いたように、確かに人と比べて足りないところを埋めようとしていたら、時間はいくらあっても足りません。できないことを満遍なくカバーするために使う時間があったら、得意や好きなことを伸ばすために使ったほうがいいと私は考えます。

たとえば我が家の娘すみれの場合は、優先したいのは、好きなバイオリンの練習でした。そこで、塾に行くことは一切なく、模試は極力避けていました。これも以前に書いたことですが、学校の宿題も解かずに解答集から答えを丸写ししてそれを丸暗記するようにしていました。また、修学旅行には1回も行っていません。なぜなら、修学旅行と本人がどうしても観たかった歌舞伎の公演の日程が小学校の時も中学校の時もバッティングしていたからです。もちろん修学旅行自体がムダだと言っているわけではありません。娘本人が本当に興味を持っていることを応援してのことです。

時間とお金のムダ使いをなくし、バイオリンに集中的に使っていたからこそ、国際コンクールで入賞することができ、それがAwardとしてハーバード入試の際に評価された要素の一つとなりました。けれど、これもあくまでも結果であって、「ハーバードに入れよう!」というつもりでしていたことではありません。本人が好きなこと、得意なことに、のびのびと取り組める環境を用意してあげただけなのです。

すべてに平均点を目指すのではなく、本人にとってムダだと思うことと、優先するべきことの取捨選択をする。そして我が子が得意を伸ばすためなら徹底して応援する。それが、これからの時代の子育てに必要なことなのではないでしょうか。

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2019年、地元大分の交響楽団との演奏のためステージに立つすみれさん。塾に行かずに公立校で「何もしていなかった」のではない。好きなヴァイオリンを全力でやるために、効率的に学び、好きなことをする時間を作り出してきた。それが今につながっている 写真提供/廣津留真理

『英語ぐんぐんニャードリル』刊行記念
「たった75分で英語ゼロから一気に中2終了レッスン」
~だれでも英検5級にすぐ合格&英検4級長文にらくらく挑戦~

毎回満員御礼の廣津留真理によるオンラインレッスンが、今月も開催決定!
グローバル時代のコミュニケーションスキルの基本となる英語。
笑顔いっぱいのたった75分で、小学校から中学2年までの6年間分を
ムダなく一気に学べるのは、ひろつる式だけです。
全国どこからでも受講できるこの機会に、ぜひご参加を!

【日時】日時:2020年11月29日 (日) 12:00 ~13:15
【場所】Zoom によるオンライン
【講師】廣津留真理
【定員】親子2名50組限定(かならず保護者様とご一緒でお願いします)
【対象】年長~中学2年生の英語ゼロまたは初心者とその保護者様
【お申し込み方法】こちらよりお申し込みください→「たった75分で英語ゼロから一気に中2終了レッスンhttps://1129nyaopenlesson.peatix.com/
【主催】ディリーゴ英語教室

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英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』人気英語講座「ひろつる式 ゼロから一気に中2終了」75分のライブレッスンを1冊に再現。長文速読法を含めて、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語4技能をすべてカバー。1日たった5分3ヵ月で、コロナ休校による遅れも一気に取り戻せるばかりか、未来の武器になる英語力を先取りして身につけられる。可愛いネコのキャラクター「ニャーた」「ニャーみ」と一緒に、楽しく学習できるのも、子どもたちに大好評。英単語・英文にはQRコードからアクセスできる音声付き。文部科学省後援英検5級・4級対応。

「家庭学習の極意(1)塾なしハーバードの母が見た『伸びない子』『伸びる子』親の共通点」の記事はこちら
家庭学習の極意(2)塾なしハーバードの母が見た『子どもをダメにする言葉』『伸ばす魔法の言葉』」の記事はこちら

構成/下井香織

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