ワクチン接種を加速 巡回方式や自宅訪問、24時間対応も

ワクチン接種を加速 巡回方式や自宅訪問、24時間対応も

  • 産経ニュース
  • 更新日:2021/06/10

新型コロナウイルスのワクチン接種の加速を図るため、自治体が知恵を絞っている。全国の65歳以上について2回目の接種率は9日の時点で3・84%。政府が掲げる「7月末までの接種完了」目標の達成には一層の工夫が必要だ。当初「7月には間に合わない」としていた大阪府岸和田市は10日、接種会場で高齢者は移動せず、医師らが移動して接種する巡回方式を取り入れると発表した。7月末完了を目指す。

7倍接種できる

岸和田市の集団接種会場では現在、受付から予診、接種、経過観察までの順路を高齢者が移動している。スタッフが待機し、手助けするが、歩くのに時間がかかり、転倒するリスクもあるという。接種率を上げるためには効率化が課題となっていた。

同市の65歳以上の接種対象人口は5万5500人で、今週末には予定している回数の約2割が完了すると見込むが、市の担当者は「このままのペースでは7月末の完了は難しく、8月末になる」ともらす。

そこで同市は、20日から増設する集団接種会場で、巡回方式を取り入れる。1チーム7~8人の医師、スタッフが2チームで巡回することで、50人の受付から接種までの所要時間は約30分に。従来の約7倍の人数を接種できるという。

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福岡県宇美町の集団接種会場で巡回方式を導入した黒田亮太医師の監修で実施する。同町によると、同方式を用いた会場では医師1人で1時間72人に接種できる。高齢者が移動する別の会場では医師2人で1時間24人の接種といい、スピードの差は歴然としている。 黒田医師は巡回方式について「少ない医師、スタッフや資材で多くの人に接種できる。職域接種を行う企業からの問い合わせも増えている。岸和田市にとどまらず他自治体でも取り入れてほしい」と話す。

岸和田市の永野耕平市長は「巡回式は高齢者が安心して接種できると同時に、接種の加速化も図れる」とメリットを強調。今後、個別接種も拡充し、全体として現状の1日約900人から約2500人まで伸ばし、7月末に全ての接種対象者が2回接種できる体制を整える。

自宅を訪問して予約手伝い

他の自治体も、接種の加速化や接種率向上を図るための取り組みを進める。自宅を訪問して予約を手助けしたり、接種率を掲示して接種意欲を促したり工夫する。65歳未満の接種を見据えた動きもある。

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訂1_C各自治体のワクチン接種加速に向けた取り組みC

市域の約9割が山間地という徳島県三好市。「集落支援員」が移動手段の限られる高齢者の自宅を訪れて予約の仕方を教えたり、スマートフォンを使った予約を一緒に行ったりする。

自治体などが地域の実情に詳しい人を非常勤の嘱託職員などとして採用した集落支援員は普段から住民の生活相談に乗っている。市の担当者は「日頃から話をしている支援員ならば、接種の相談もしやすいはず」と効果を強調する。

予約をサポートするために、自治体は知恵を絞ってきた。大阪府枚方市では今月上旬、予約サポートコーナーを臨時開設。市職員計300人を動員し、予約用のタブレット端末200台を用意して、市職員が高齢者に代わって市の予約サイトで予約した。

商品券や24時間対応

接種率を上げるための試行錯誤も続く。埼玉県戸田市は5月から市役所ロビーにディスプレーを設置し、65歳以上の接種者数などを円グラフで伝える「戸田市ワクチンメーター」を公開した。接種率やワクチン入荷数などを「見える化」して住民の接種への意欲を促す取り組み。担当者は「接種の現状を市民に分かりやすく伝えていきたい」と話す。

一方、大阪府羽曳野市では、ワクチン接種を2回接種した住民に対して2千円分の商品券を配布している。予算は約2億円。接種率の向上と地域経済の活性化につなげたい考えだ。

今後本格化する65歳未満の接種に向けた取り組みもある。福岡市は7月をめどに24時間接種が可能な会場を設ける。こうした対応は全国的にも珍しいとみられ、担当者は「現役世代の多様なライフスタイルに対応していきたい」。夜間診療を受け付けている医療機関の周辺で開設する方向で調整している。

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