驚愕の出席ゼロも!取締役会出席率ランキング

驚愕の出席ゼロも!取締役会出席率ランキング

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2022/06/23
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議決権行使助言会社のISSは「75%以上出席していない取締役候補者には選任議案に反対する」と表明している(撮影:今井康一)

「出席をお願いしてもほとんど出てきてもらえない。役員の秘書には『出席は難しい』と断られるし、正直なところ私たちも困っているけど、どうしようもないんです」――。

ある上場企業の取締役会事務局担当者は、嘆息気味にそうこぼした。開催日時の調整や議事録の作成などを担う取締役会の事務局も、出席してくれない役員たちに手を焼いているというのだ。

企業買収や業務提携、株主への還元方針など企業の経営上重要な判断を行うのが取締役会だ。社長などの社内取締役はもちろん、社外取締役や監査役も出席する必要がある。外部の中立的な視点から議論に参加し、経営についての助言や監督を行うためだ。

2022年4月にスタートした東京証券取引所のプライム市場では、独立社外取締役を取締役会全体の3分の1以上にすることを求めている。親会社との利益相反の可能性が高い上場子会社の場合には、過半数を独立社外取締役にすることが推奨されている。

これを受けて、野村や大和など大手証券系のアセットマネジメント会社、三菱UFJ信託などが、独立社外取締役が3分の1以上確保されていない企業の経営トップの選任議案に反対すると表明している。

ISSは75%以下の出席率で反対推奨

ところが、せっかく社外取締役や監査役として選任されていても、取締役会に出席していない役員が存在する。「事前に資料を共有し、会議の内容を把握してもらっている」と説明する企業は多いが、例えば議決権行使助言会社のISSは「75%以上出席していない取締役候補者には選任議案に反対する」と厳しい。

もちろん、病気やケガによって一時的に出席できないことはありうる。が、複数年度にわたってほとんどまったく出席できなかったり、「多忙」などの曖昧な理由で欠席が続くような場合には、存在意義が問われる。ガバナンス意識が高まる中で、株主から再任議案に対してNOを突きつけられる覚悟をしたほうがよいだろう。

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出席ゼロでも理由は不明瞭

社外取締役の中で、最も出席率が低かったのはNEW ART HOLDINGSの小山政彦氏。船井総合研究所の社長を務めた人物で、現在は風土という会社を自ら設立、代表取締役会長の座にある。

NEW ART HOLDINGSでは過去1年間に取締役会を14回開催したが、小山氏はすべて欠席した。小山氏は前回集計時も出席が0回でワースト1位。株主総会の招集通知には理由の説明がなく、会社側に問い合わせたものの「今後は出席率を改善していただくよう、検討してまいります」との回答だった。会社側が小山氏の再任を提案しているということは、今年こそ改善される見込みなのだろうか。

電算の社外取締役である宇都宮進一氏も上位の常連だ。今回は出席率16.7%でワースト4位だったが、前回も出席率が38.9%と低く、ワースト4位だった。

同社の招集通知には「当社は社外取締役及び、社外監査役が出席しやすいように、取締役会の日程を早期に調整のうえ決定しております。また、会議の方法として電話やWebシステム等を活用し、参加しやすい環境整備に努めておりますが、取締役 宇都宮進一氏につきましては、兼務される職務の日程と当社取締役会が重なる日が生じたため出席率が低くなりました」とある。

事務局としてはさまざま手を尽くしているということだろうが、結果として出席率は悪化している。抜本的な対策が必要だ。

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ナベツネは2年連続で出席率ゼロ

社内取締役のワースト1位は、ナベツネこと渡辺恒雄氏。日本テレビホールディングスの全7回の取締役会で出席は一度もなかった。同氏の取締役会への出席ゼロは2年連続となる。この1年の欠席については、ケガ療養等のためだという。

前年度の出席率が低かった取締役の再任を提案することについて、会社側は「新聞社経営者・言論人としての観点から当社の事業全般について適切な助言等をいただいており、引き続き取締役として再任が相応しいと考えています」と回答した。

監査役のワースト1位、森尾電機の堀勝彦氏もやはり常連だ。前回集計時の出席率は35.7%だったため若干の改善だが、開催された取締役会のうち半分以上を欠席している。倉元製作所の北井徹氏も同様で、前回は50%だったのが今回は52.6%と若干の改善にとどまった。

【2022年6月23日14時10分追記】初出時、北井徹氏が社外監査役を務める社名に誤りがあったので、修正しました。

監査役の多くが4年任期のため、出席率が低くても、再任議案への賛成率という形で株主からの賛否を突きつけられる機会が少ない。だからといって低い出席率を放置していいわけではない。

(梅垣 勇人,又吉 龍吾)

梅垣 勇人,又吉 龍吾

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