大坂城「櫓特別公開」訪問記

大坂城「櫓特別公開」訪問記

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  • 更新日:2023/09/20

大坂城(現在は「大阪」だが本来は「大坂」といった)と言えば知らない人はいないでしょう。町の象徴である復興天守が思い浮かびますね。

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1931年に再建された。

地元の人でも意外と知らないのですが、大坂城には江戸時代の貴重な建物が多く残り、13棟が重要文化財に指定されています。

大坂城「櫓」特別公開

大坂城の櫓は原則非公開ですが、時期によっては内部に入ることができます。今年8月の公開期間に地元(奈良)に戻っていたので、見学してきました。

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左:千貫櫓、右:多聞櫓

今回公開されたのは、大手口多聞櫓と千貫櫓です。西ノ丸庭園入口で特別公開のチケットを購入します。ここで一緒に天守のチケットを購入しておいたのは正解でした。後で行った天守はものすごく混んでいたので…

大手口多聞櫓

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城の正門にあたる大手門

大手口多聞櫓とは何か、説明しておきましょう。大手門をくぐると、桝形と呼ばれる方形の空間があります。下の写真に見えるのが多聞櫓です。

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長屋状の櫓を多聞櫓という

櫓の内部はけっこう広いです。天守など、現存の建築に入ると「意外と狭い」と感じることが多いですが、珍しいパターンです。

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出土物などが展示されている

多聞櫓はL字型の建物です。内部を90度曲がると、続櫓の内部が見られます。

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壁には鉄砲を撃つための「狭間」がある

千貫櫓

千貫とは、昔のお金の単位。大坂城のある土地は、もともと一向一揆を組織した石山本願寺がありました。織田信長の軍が本願寺に苦戦したため、「あの櫓は千貫かけても欲しい」と言われたことが名前の由来です。

二階建てのそれほど大きくない建物が、なぜそれほど重要なのでしょうか。

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西ノ丸側から見た千貫櫓

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櫓の内部

千貫櫓の秘密は、窓から外を眺めてみるとわかります。大手門に向かう通路を見渡すことができるのです。敵軍が大手門に近づいてきたら、千貫櫓から矢や鉄砲を浴びせることができます。

このように、横から敵に攻撃するための工夫を「横矢」といいます。

大坂城は見所がいっぱい

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重要文化財 乾櫓

内部公開はされていませんが、貴重な建物は他にもあります。

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重要文化財 焔硝蔵

危険な火薬(焔硝)を保管する焔硝蔵は、防火・防水のため総石造りになっています。こうした石造りの火薬庫は国内でも例がありません。

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重要文化財 六番櫓

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本丸東側の石垣

本丸の東側に面した石垣は、高さ約32メートル。日本一高い石垣と言われています。

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秀頼・淀殿ら自刃の地

ところで、大坂城といえば豊臣秀吉のイメージが強いと思います。しかし、大阪の陣で豊臣氏が滅んでから、江戸幕府は徹底的に豊臣時代の大坂城を破却。城跡を埋め立て、その上に新たな城を建てました。

つまり、現在みられるのは徳川氏の大坂城であり、秀吉時代の痕跡は残っていません。

しかし、現在秀吉時代の石垣を発掘・復元するプロジェクトが進んでいるそうです。

https://www.toyotomi-ishigaki.com/

公開施設の完成が楽しみですね。大坂城の見所がまた一つ増えることでしょう。

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三城俊一/歴史ライター

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みきしゅんいち/塾講師+フリー文筆業/フォロバ100%/歴史系書籍、教材執筆等で実績あり。専門の教育、得意分野の歴史など雑多に発信予定。著書に「ニュースがわかる 図解東アジアの歴史」(SBビジュアル新書)協力書籍「マンガでわかる 災害の日本史」(磯田道史著、池田書店)

三城俊一/歴史ライター

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