巧みな采配で日本を撃破、セルビアの指揮官マリーナが語る日本バスケット界への敬意とデンソーに対するチーム愛

巧みな采配で日本を撃破、セルビアの指揮官マリーナが語る日本バスケット界への敬意とデンソーに対するチーム愛

  • バスケット・カウント
  • 更新日:2022/09/23
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文=鈴木栄一 写真=FIBA.com

「全選手が可能な限りベストなプレーをし、昨日と違いやるべきことを遂行した」

女子ワールドカップ2022、バスケ日本代表はグループリーグ2試合目でセルビアに64-69で敗れた。大会直前にFIBA公式サイトが紹介したパワーランキングを見ると、グループリーグBでは開催国オーストラリアが2位、日本4位、カナダ6位、フランス8位、セルビア9位、マリ12位となっていた。あくまで下馬評でしかないが、日本の方が実力上位と見られており、セルビアにとっては見事なアップセット達成となった。

セルビアは前日の大会初戦でカナダに60-67で敗戦。ここで日本に敗れ、連敗スタートになると上位4チームが進出できる決勝トーナメント行きに早くも黄色信号が灯るところだったが、昨年の女子ユーロバスケット2021を制した底力を示して踏ん張った。

セルビアの指揮を執るのは、昨シーズンまでの2シーズンに渡りデンソーアイリスのヘッドコーチを務め、現在もアドバイザーとしてかかわりを持つマリーナ・マルコヴィッチだ。当然のように教え子あるデンソー所属の髙田真希、赤穂ひまわりに加え、他の代表選手たちも対戦相手として熟知しており、日本の武器である3ポイントシュート、トランジションをしっかり防いでいた。

日本代表の恩塚享ヘッドコーチは3ポイントシュートが22本中5本成功と不発に終わり、アップテンポな展開に持ち込めなかった要因をこう振り返っている。「ピック&ロールでクリエイトしようと狙っていましたが、昨日よりもセットアップのところでうまく相手のディフェンスを剥がせなかったです。それでペイントタッチに繋がらずボールが停滞してしまいました。また、オフェンスリバウンドを取られてトランジションオフェンスに繋げられなかったです」

日本にとってはまさにしてやられたと脱帽する采配を見せたマリーナは、「昨日、カナダに敗れたのはとても悲しかったです。そこから今日の彼女たちは持ち味を発揮し、昨日の厳しい負けのあとで勝利への強い意欲を見せてくれました。すべての選手が可能な限りベストなプレーをし、ミスを少なくする。全員が昨日と違ってやるべきことを遂行してくました」と勝因を語る。

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「自分が所属していたチーム、率いていた選手たちと戦うのは好きではない」

マリーナは今大会のセルビアについて「当時から5人の選手がチームからいなくなり、もう欧州チャンピオンのチームではないです。今大会のチームは新しい世代の選手たちが中心で発展途上です」と明かし、現在の代表は次の問題を抱えていると続ける。

「彼女たちは若いだけでなく、大舞台での経験がないメンバーです。残念ながらセルビアリーグは良い状況ではなく、日本でいう大学生のようなレベルになってしまっています。日本のWリーグのような質の高いリーグではないのが私たちにとって問題です。選手たちは若く、レベルの高いリーグでプレーできていない。この2つの困難がある中でも学んで成長していかないといけないです」

このような苦境を乗り越えたからこそ、「日本のような素晴らしいチームに勝てたことはとてもハッピーです」と、今回の勝利がいかにチームにとって大きなものであるかを強調した。

ちなみにマリーナは、馴染み深い日本との対決でも「特別なモチベーションになることはなかったです」と語る。ただ、それは関心がないからではなく、日本に対して特別な思いを持っているからこその気持ちだ。

「まず、日本代表をとてもリスペクトしています。そして私は引き続きデンソーの一員であり、チームをとても愛しています。正直に言うと自分が所属していたチーム、率いていた選手たちと戦うのは好きではないです。デンソーのメンバーは毎日一緒にいたので、日本における家族です。そういう相手との対戦は常に感傷的な気持ちになります。今日、髙田、赤穂は見事なプレーでしたが、そこに驚きはないです」

日本をよく知るマリーナによって、日本は課題を突きつけられて敗れてしまった。ただ、グループリーグ2試合目と大会序盤で欠点を痛感できたのは、明日が休養日で立て直しの時間が十分に残っていることを考えると、さらなる進化へポジティブな要素ともとらえられる。日本への大きな敬意を示してくれるマリーナの気持ちに応えるためにも、この敗戦を糧に2日後のカナダ戦ではステップアップした姿を見せたい。

https://twitter.com/FIBAWWC/status/1573170450267447296

バスケット・カウント編集部

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