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水野美紀 ちびが甘いカレーを食べ「みず、みず、みずのみぎーー」と私の芸名を呼びます

水野美紀 ちびが甘いカレーを食べ「みず、みず、みずのみぎーー」と私の芸名を呼びます

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  • 更新日:2021/07/22
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水野美紀さん

42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から3年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、多様で斜め上を行く子どもの「食」との関わり方について。

【多様で斜め上を行き過ぎて自分の苦手な食べ物を忘れるちびはこちら】

*  *  *

子供がもりもりとご飯を食べる姿は愛おしい。ついついじっと眺めたくなってしまう。どうしてだろう。

不器用に一生懸命食べるしぐさが健気だからだろうか。それとも生きるエネルギーを感じるからか。

ドラマや映画には、「食べる」という行為を通して様々な感情を伝えるシーンがよくある。

「千と千尋の神隠し」では、ハクに差し出されたおにぎりを食べながら千がポロポロと涙を流すシーンが印象的だ。

知らない世界に迷い込んでずっと張り詰めていた気持ちがどっと溢れ出す千。優しいおにぎりの味が心をふっと癒したのだ。

泣きながら食べる、というシーンを私も何回か演じたことがある。すごく難しかったのを覚えている。

食べるというのは生きることにつながる能動的な行為にみえる。一方、泣く時というのは自分の感情に埋れて立ち止まっている状態だ。

泣きながら食べ物を口に運ぶというのは、立ち止まりそうな自分を前に進めようと鼓舞しているようにみえる。

これを演技でやってみると、食べ物になぐさめられているような感覚でいっそう悲しくなるような、情けないような、ぐちゃぐちゃな感情になる。

「恋人たちの予感」では、メグライアン演じるサリーがカフェでアップルパイを注文するのだが、その際にアップルパイを温めてもらえるならアイスクリームを添えてほしい、冷たいアップルパイであればホイップクリームを添えて欲しいけど、ただし、それはそのクリームがフレッシュなものである場合で、もしも缶のクリームである場合は何も添えないで、と捲し立てて同席していたハリーをびっくりさせる。

サリーの神経質な性格がとっても面白く伝わってくる。

食べ物の選択肢が膨大にある現代では、何をチョイスして何にこだわって食べるか、がその人のひととなりを映し出す。個性になる。

「孤独のグルメ」では、一つ一つの食材と対話しながら、じっくりと味わって食べる主人公の食べる喜び、幸せが伝わってくる。

食べることがとてもエロティックに描かれることもあるし、とても卑しい行為として描かれることもある。

食卓に並べられた冷め切った手料理からは寂しさを感じるし、冷め切った料理を口に運ぶ人の姿は物悲しい。

学生の頃、母に作ってもらったお弁当をともだちに見られるのがちょっと恥ずかしかったのは、母が自分にかけてくれる愛情を覗かれるようで恥ずかしかったのかもなと今になって思う。

母になるということは、まったく別の角度から「食」に向き合う生活が始まるということだ。

それは改めて自分の「食」の原点を知る旅だ。

離乳食を両手に塗りたくり、うどんを頭からかぶり、味噌汁を母の顔に吹きかける。

子供の頃は、食べるだけじゃない、多様な食との関わり方をするものだと驚かされる。斜め上を行く多様さに舌を巻く。

栄養のことを考えて一生懸命作ったスープが不味すぎて一口飲んだ子供が食卓から逃げ出しソファーにしがみついて号泣する。

そんなシーンを描いた映画はあるだろうか。

その時、私はどんな顔をしていたろうか。

子供はほんとうに、無邪気に一点の曇りもない顔で言う。

「おいしくない」

と。そこには母を責める意図はみじんもない。

ただ美味しくないと思ったから言う。真っ直ぐな目で言う。

そんな時、世界中の母たちはどんな顔をしているのだろうか。

今も目の前で我が子は、私の作った甘口のカレーを何口か食べたと思ったら

「からい、あわ、あわ、みず、みず、」

とあわてて水を口に含んで、

「みず、みず、みずのみぎーー」

と私の芸名をよぶ。

私はなんともいえない顔をしているだろう。

これからもまだまだ、子供の斬新な「食」との向き合い方を発見し続けるのだろう。

完食して空っぽになったお弁当箱が返ってくる時の嬉しさを、母は最近、知りました。

生まれて初めての感情でした。

■水野美紀(みずのみき)

俳優。ドラマ・映画・舞台で活躍中。<出演情報>NHK 特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」が6月26日、日本テレビ系ドラマ「ボクの殺意が恋をした」が7月4日にスタート。レギュラー番組は、フジテレビ系バラエティ「突然ですが占ってもいいですか?」毎週水曜22:00~、読売テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54~<関西ローカル>  http://www.ytv.co.jp/cinemalife/

【書籍『水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。』好評発売中】

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