スモール・ジャイアンツアワード、今年のグランプリは筑水キャニコムに

スモール・ジャイアンツアワード、今年のグランプリは筑水キャニコムに

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2022/11/26
No image

Forbes JAPANは11月18日、第6回となる「スモール・ジャイアンツ アワード」をライブ配信で開催した。イベントでは、全国から集まったファイナリスト7社によるプレゼンテーションと審査が行われ、顧客の不満をヒントの宝庫とする「ボヤキニズム経営」で世界中に草刈り機を輸出する、筑水キャニコム(福岡県)がグランプリに輝いた。

スモール・ジャイアンツは、1.創業10年以上、2.売り上げ100億円未満、3.従業員数500人以下という条件のもと、規模は小さくても、独自の技術やアイデアで世界規模の活躍をする企業を発掘・表彰するForbes JAPANの名物プロジェクト。

前回のグランプリは、安全確保のために使われる保護デバイスなどを製造する生方製作所が受賞。歴代のグランプリ受賞企業も、生体情報を取得できるトータルサービス「hamon」を開発したミツフジや、唯一無二の「光学単結晶」技術を世界展開するオキサイド、ディズニーやNASAからも試作依頼が舞い込むアルミ加工メーカーのHILLTOPなど、いずれもさらなる飛躍を遂げてきた。

選考プロセスは、ベンチャー型事業承継や野村證券、マクアケ、デロイト トーマツグループなど、全国の中小企業にネットワークを持つ11社が出場候補を推薦。選りすぐりの企業約110社から、書類審査を経てアワードに出場した7社が選出された。

今回の審査員は、山井太(スノーピーク代表取締役会長執行役員兼社長執行役員)、入山章栄(早稲田大学ビジネススクール教授)、山田岳人(大都代表取締役)、井川沙紀(インフロレッセンス代表)、内田研一(やまなし産業支援中小企業経営革新サポート事業統括マネージャー)、藤吉雅春(Forbes JAPAN編集長)の6人。それぞれの立場から、各社の事業の魅力に目を光らせた。

アワードは、各社の経営者が舞台上で自社をアピールするプレゼンテーションからスタート。独自技術や海外へのビジネス展開、地域社会の活性化に向けた連携の取り組みなど、いずれも大きな可能性を感じさせる熱のこもったプレゼンテーションが展開された。

北海道の環境大善は、かつて公害の元になっていた牛の尿を原料に、消臭液や土壌改良材、水質改良材を製造することで、土と水を再生させてきた。近隣の酪農家から牛の尿を購入し地域経済を循環させるだけでなく、製品の消費者も自動的に環境危機の解決に加わる事になり、良い循環を起こしている。

No image

プレゼンする環境大善の窪之内誠

プレゼンでは、代表の窪之内誠が、「きえ~る」という主力商品などを紹介した。同商品は、牛の尿をはじめとした天然成分で作られているため、かかっても吸い込んでも舐めても安全・安心だという消臭液。実際に手にした審査員たちは匂いを嗅ぎ、「本当だ。匂いはしないですね」と無臭化された商品に驚くシーンも見られた。独自のエコシステムで、畜産廃棄物を価値ある商品へと変貌させた同社は、ローカルヒーロー賞を受賞した。

また、世界で唯一の「AI虫分析」を武器とする環境機器(大阪府)も、審査員から高い注目を集めた。同社は社員の3分の1が昆虫の専門家で、防虫に特化した開発型コンサルティングを行う。虫オタクやポストドクターを積極採用し、ナレッジを武器に害虫対策などの顧客の課題を解決している。

No image

環境機器の片山淳一郎

自身は虫嫌いだという代表の片山淳一郎は、外交官として世界平和のために働くことを夢見ていたが、父親の急逝により事業を承継。当初はさまざまな悩みがあったというが、「開き直り、顧客の経営課題を解決し、業界の地位を向上させることが役割だと覚悟を決めた」と語った。現在は全国の害虫駆除業者を顧客に50%の市場シェアを誇り、業績も右肩上がりで成長。今回のアワードでは、ドコモビジネス特別賞とベストタレントイノベーション賞をダブル受賞した。

ファイナリスト7社が受賞した特別賞は、以下のとおり(順不同)。

筑水キャニコム:グランプリ

浅井農園:グリーンレボリューション賞
環境大善:ローカルヒーロー賞
オータマ:ネクストムーブメント賞
竹中製作所:カッティングエッジ賞
シーパーツ:デジタルインパクト賞
環境機器:ドコモビジネス特別賞、ベストタレントイノベーション賞

グランプリを獲得した筑水キャニコムは、「草刈り機まさお」「荒野の用心棒ジョージ」など、ネーミングが特徴的な約50種類の草刈り機などを製造する。顧客に寄りそったものづくりを続け、創業73年で売り上げは70億円を突破。2022年は53カ国に及ぶ海外企業との取引が事業の6割を占めるほど、輸出も活発に行っている。

プレゼンでは、代表の包行良光が「ものづくりは演歌だ」という言葉が描かれたTシャツを着用して登場。包行は「私たちは、リクエストに応えて歌う”流し”のように、『こういう機械が欲しい』『作業をしながらものを運びたい』といったお客様のボヤキからものづくりをしています」と、会社の根幹となる精神を説明した。

No image

グランプリを手にした筑水キャニコムの包行良光。Tシャツには「ものづくりは演歌だ」の文字が

今回の審査ポイントは、「グローバル市場の開拓」「地域への貢献」「稼ぎ続ける力」の3つ。審査員の藤吉は筑水キャニコムについて、「痒い所に手が届くようなニーズを汲み取り、価格競争を行わないという、これから日本企業がやらなければいけないところをすでに行っている」とコメント。今後の日本企業のロールモデルになるべき存在だと評価した。

審査員を務めた山井も、グランプリの理由について、「製造業の基本に忠実な上に、高度なブランディングが備わっている」と説明。市場の声を受けて改善を繰り返す姿勢とともに、商品のネーミングから経営者の振る舞いに至るまで賛辞を贈った。

グランプリを受賞した包行は、「農業業界は中小企業がほとんど。今後はロールモデルになれるよう、お客様のためになり、世界でも認知される農業機械を開発し続けたい」と語った。

幾多の困難を乗り越え、世界に影響を与えるまでに成長してきた小さな巨人たち。これからも、さらなる飛躍が期待される。

スモール・ジャイアンツ アワードの特設ページはこちら>>

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加