ユニクロの賃上げに続くか?日本の年収や初任給の平均はいくらなのか

ユニクロの賃上げに続くか?日本の年収や初任給の平均はいくらなのか

  • LIMO
  • 更新日:2023/03/18

初任給は過去30年間で約4万円の上昇

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ユニクロを運営するファーストリテイリングが、2023年3月から国内従業員の報酬を最大40%引き上げるという方針を表明し話題となりました。

従業員に対する賃上げは、その企業の業績結果に左右されるものです。

とはいえ、従業員にとって、年収は高ければ高いほど嬉しいもの。

他の人がどのくらいの報酬を受け取っているのか、気になるという人は多いでしょう。

この記事では、日本人の平均年収や、平均的な初任給の金額の推移について解説します。

【一覧表】平均給与や初任給はこの30年でどれほど変わっているのか

日本人の平均年収はどのくらい?

まずは日本人の平均年収について見ていきましょう。

この30年間の経済成長によって、物価は大幅に上昇しています。

それに対して賃金(平均年収)はどのように変化しているでしょうか。

日本人の平均年収は443万円

国税庁の民間給与実態調査(2021年)によると、2021年の給与所得者の平均年収は443万円です。

男女別では、男性545万円、女性302万円です。

給与所得者数と平均年収の推移

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出所:国税庁「民間給与実態調査(2021年)」をもとに筆者作成

30年前の1991年から見ても、平均年収には大きな変化は見られません。

それに対し、給与所得者の数は、30年前と比較し+約1200万人と大幅に増加しています。

女性の社会進出に伴って、女性労働者の数が増加したことが背景にあります。

過半数の53.6%が年収400万円以下

同調査における、男女別の年収別構成比についても見ていきます。

男女別の年収別構成比

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出所:国税庁「民間給与実態調査(2021年)」をもとに筆者作成

平均年収443万円に属する、年収400〜500万円の割合は15.0%(男性17.5%、女性11.4%)となっています。

注目すべきは、年収400万円以下の割合が、合計53.6%(男性37.6%、女性75.7%)である点です。

過半数以上の人が、平均年収443万円よりも収入が低いというのが実態なのです。

平均的な初任給の金額は?

次に、日本人の平均的な初任給の金額について解説します。

平均年収は過去30年間で大きな変化は見られませんが、初任給はどのような推移となっているでしょうか。

大学卒の平均初任給は21万円

東京労働局の「学卒者の初任賃金(令和4年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査)」によると、平成3年度から5年ごとに見る、年別・学歴別求人初任給は上昇傾向にあります。

学歴別の初任給

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出所:東京労働局「学卒者の初任賃金(令和4年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査)」をもとに筆者作成

2021年の大学卒者の初任給は21万円です。

30年前の1991年と比較すると、約4万円上昇しています。

また、他の学歴を見ても、同様にどの学卒者も約4万円上がっているのがわかります。

初任給に企業規模は関係ない

同調査より、2021年度の学歴別・企業規模別求人初任給も見ていきます。

企業規模別・学歴別の初任給

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出所:東京労働局「学卒者の初任賃金(令和4年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査)」をもとに筆者作成

初任給に企業の規模は関係なく、大卒・短大卒・専修卒・高校卒のどの学歴で見ても、1000人以上の大企業だからといって初任給が高いとは限らないのが実態です。

年収は上がらないのに、初任給はなぜ上がる?

ここまでの解説を見て、「年収は上がっていないのに、初任給が上がっているのはなぜ?」と考える人も多いでしょう。

初任給が高いからといって、年収が高いとは限りません。

日本企業が初任給を上げる理由や、就職・転職先を選ぶ際の注意点について解説します。

初任給を上げるのは人材を確保するため

企業が初任給を上げ続けてきた背景には、他社と差別化を図り、優秀な人材を確保するためという理由があります。

初任給は、まだ業務成果や実績のない、これから新たに入社する従業員の働きに対する期待値が反映されています。

企業からすれば、将来に対する人材への投資です。

そこに予算を投じるということは、他の予算を削減する必要性が生じます。

業績が伸びている企業であれば不安はありませんが、初任給を増やすことで、在籍社員のベースアップを阻害している可能性がないとはいえません。

こうした影響が、初任給は上がっても年収は上がらない要因と考えられます。

昇給の仕組みに注目すべき

日本では、これまでの勤続年数に応じて昇給していく年功序列の職能等級賃金制度から、欧米型ともいえる実力主義の職務給制度に移行する企業が増加しています。

つまり、自分の報酬は努力次第で変えられるという意味です。

初任給が高いからといって、その後も給料が上がっていくという保証はありません。

就職先や転職先の企業を選択する際は、平均年収や初任給だけに着目するのではなく、その企業がどのような昇給方法を採用しているか、どうすれば給料が上がるのか、その仕組みをしっかりと把握しておくことが重要です。

年収で考えるキャリア

日本人の平均年収は443万円ですが、過去30年間で大きな変化はありません。

それに対し、初任給は21万円と、過去30年間では約4万円も上昇しています。

年収は変わらないのに初任給が上がるという状況は、企業の賃金形態の変化にその理由があります。

日本でも、従来の年功序列から実力主義へと、賃金形態を移行している企業が増えています。

初任給が高いからといって、決して年収も高くなるとは限りません。

自分への報酬は自分の努力で決める、今後は高いモチベーションが求められるといえるでしょう。

参考資料

国税庁「民間給与実態調査(2021年)」

東京労働局「学卒者の初任賃金(令和4年3月新規学卒者の求人初任給賃金調査)」

株式会社ファーストリテイリング「ファーストリテイリンググループ、報酬改定へ 人材への投資を大幅強化、グローバル水準目指す」

世良 真貴男

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