沖縄復帰50年 「平和の島」実現してこそ

  • 福井新聞ONLINE
  • 更新日:2022/05/14

【論説】沖縄が日本に復帰して15日で50年となる。復帰運動で沖縄の人々が願ったのは平和主義を掲げる日本国憲法の下で、基本的人権が保障される「基地のない平和の島」だった。だが、半世紀を経た今はどうか。沖縄の在日米軍専用施設の面積は復帰時に全国の58・8%だったのが、70・3%にも増えた。全国に占める沖縄の面積は0・6%にしか満たない。狭い土地に米軍施設がひしめいているというのが現状だ。

加えて、日米が返還合意した米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先として、名護市辺野古で大規模な基地建設、埋め立て工事が強行されている。中国の軍備拡張をにらんだ防衛態勢の強化により、自衛隊の南西諸島配備も加速している。有事の際には再び沖縄が戦場と化すとの懸念が強い。米軍絡みの事件・事故や環境汚染も常態化している。

復帰前の1971年、琉球政府の屋良朝苗行政主席は復帰への「建議書」で、米軍基地の撤去や地方自治の確立、反戦平和、基本的人権の確立、県民本位の経済開発などを求めた。玉木デニー現知事が先日、政府に提出した建議書には、辺野古新基地の断念や日米地位協定の改定、地方自治の理念の追求、平和的な外交・対話による緊張緩和、自立型経済の構築など50年前と変わらぬ項目が連なる。これが沖縄の現実だろう。

問われているのは本土に住む側の意識だ。共同通信社が行った沖縄の県民対象の世論調査では「米軍基地の一部を他の都道府県で引き取るべきか」の問いに75%が賛成とした。一方で、全国調査では「賛成」が58%あったものの、自分の住む地域への移設には「反対」が69%に上った。日本全体の安全保障を沖縄のみに背負わせていると言われても仕方がない。

衆院は復帰50年に際し、沖縄の米軍基地負担軽減と課題解決に政府が最大限努力すべきとの決議を採択した。岸田文雄首相は「沖縄の発展と負担軽減のために努力したい」と述べつつも「辺野古移設が唯一の選択肢」と繰り返し、地位協定の改定にも否定的だ。さらには、中国や北朝鮮の軍事動向に触れ「安全保障上、極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは日米同盟の抑止力の重要な要素」と現状を追認するような発言に終始している。

東アジアとも近く、アジア圏の経済連携や観光の中心地にもなり得る沖縄には発展の可能性が広がる。返還された基地の跡地にできたショッピングセンターはにぎわいと多くの雇用などをもたらしているという。こうした経済効果を生み出すには地域の緊張緩和と基地縮小が欠かせない。「平和の島」を実現することこそが真の復帰といえよう。

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