企業価値が不当に見過ごされている銘柄とは?

企業価値が不当に見過ごされている銘柄とは?

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/02/22
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投資の本質は、「安く買って、高く売る」というシンプルなものです。

この考え方に照らせば、2020年のジェットコースターのような相場は、投資に好機を与えてくれるものでした。特に、新型コロナウイルスの影響によりパニック状態に陥った2月と3月は、投資においては典型的な「狩場」でした。

この時期、過去に類を見ない急激な暴落が起き(世界の株式市場が34%の下落を記録)、金融関連の報道記事は悲観論で埋め尽くされました。ウォール・ストリート・ジャーナルは、2月から3月の7週間のうちに、800件の記事のなかで「恐怖」という言葉を使用しています。これは1日当たり16回の「恐怖」が報道されたということになります。

この状況に対し、3月23日に、米連邦準備制度理事会(FRB)が、市場の円滑な機能を支えるために必要な資金を供給すると発表しました。すると、過去に例のない急激な暴落に喘いだ株式市場が、今度は、空前の急回復に沸きました。そして結局、株式市場インデックスは、2020年通年で16%ものリターンを実現しました。

割高感が強いと考えられる銘柄

しかし、2020年の単年で見て何らかの結論を導き出すのは、近視眼的と言わざるを得ません。債券利回りは記録的な低水準にまで落ち込んでおり、株式に代わる良い投資先はほとんどなく、そのことが株式のバリュエーション(評価倍率)の上昇を支えてきました。S&P500をはじめとする、ほとんどすべての株価指数からみて、バリュエーションは過去最高かそれに近い水準となっています。

そんななかで、割高な銘柄がさらに高くなるという現象が起きています。下の図は、割安な銘柄と割高な銘柄の予想リターンの差を、各企業の過去のファンダメンタルズとバリュエーションに基づき示したものです。

黒の実線が低水準にあるときは、割安株が割高株よりごくわずか安いだけであり、所謂クオリティ銘柄を買うのに適したタイミングです。この線が高水準にあるときは、割安株のほうがはるかに魅力的となります。

ファンダメンタルズからみて割安な株と割高な株のバリュエーション格差は極めて大きい

FTSEワールド・インデックスの株式をファンダメンタルズからみて割安な銘柄と割高な銘柄に二分したときのそれぞれの予想リターンの差、およびその後のオービス・グローバル・エクイティ運用戦略のインデックス比相対リターン

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出典:ワールドスコープ、オービス

リターンは内部固有モデルを用いた推定です。銘柄は予想リターンに基づいて順位付けられています。オービス・グローバルの相対リターンは、本運用戦略に含まれる全ての株式クラスの運用報酬控除後リターンを資産残高でウェイト付けしたものを使用して算出されており、個別の株式クラスのリターンとは異なることがあります

この予想リターンの差は、2014年以降、どんどん広がっていき、ついには史上最大の乖離幅にまで拡大しました。私たちのオービス・インベストメンツ(Orbis Investments)では2020年初めの時点で、既にこの差が極端に大きいと認識していましたが、その後バリュエーションはさらに極端になっていきました。9月には、この格差は過去最大を記録しました。

オービス・インベストメンツとして特に割高感が強いと考えている銘柄の例を挙げておきましょう。例えば、テスラ(Tesla)やその類似企業、Zoomのようなロックダウンの恩恵を受ける企業、「何々aaS」(何々 as a Service)と言われるクラウドサービスを提供する企業などがそれに当たります。

これらの銘柄には、2000年のITバブルを思い起こさせる投機的バブルの徴候が見てとれます。その他、株式公開当日に株価が急騰したSnowflake、Airbnb、あるいはフードデリバリーのDoorDashのような銘柄、企業価値売上高倍率が20倍以上で日本の合計株式時価総額をも上回る時価総額で取引される銘柄、これらも割高感が強いと考えられます。また、記録的な金額を資金調達する「特別買収目的会社」という空箱、さらにはコール・オプションを使って投機する個人投資家、といった例もあります。

なぜこんなに株価が高騰するのでしょうか。その背景にあるのは、「欲」と「不安」だと考えます。お金を失う恐怖よりも、投資機会を逃す恐怖のほうが勝っていると、こういったことが起こります。

不当に価値が見過ごされている銘柄

それでは逆に、割安とは何でしょうか。私は「企業の本源的価値に対して低い株価で取引されている状態」だと考えます。本源的価値を換言するならば、賢明な人物が当該企業の取得に支払うであろう価額です。そして、株価は最終的に本源的価値を反映すると考えます。

ただ、「割安株投資」は、言うは易く行うは難しです。その理由を2つだけ例示します。

まず、株価が本源的価値を反映する(投資リターンが実現する)タイミングを予想するのは、ほぼ不可能であるという点です。一時的であれ、割安な株価になるのには一定の理由があり、その理由が解消して本来の実力が正当に評価されるまでには、往々にして時間がかかるもの。それどころか、買った後に更に株価が下がることもよくあります。投資機会に対し、長期的な視点で辛抱強く取り組む必要があるのです。更に言えば、本源的価値の査定に誤りがなければ、株価の一層の下落は、むしろ投資魅力度の増大を示すものであり、売却どころか追加投資することになります。

次に、銘柄選択において、非常に優秀なアナリストでも、勝ち銘柄の割合はせいぜい50%強であることです。たとえば、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットは、創業から50年間で年率19.4%もの複利リターンを実現しています。これは、同期間に投資資産を7000倍以上に増やした計算です。つまり、もし皆さんがバフェットの創業時に3万円を預けていたら、それを2億1000万円以上に増やしてくれた(つまり、それだけで一般的な平均生涯年収一丁上がりです)、という計算です。

しかし、そのバフェットですら、ベンチマークに対する銘柄ベースの勝率はせいぜい50%強~60%と言われています。つまり、半分近くの銘柄で、投資判断を誤ったわけです(裏を返すと、半分近くが負け銘柄になってしまっても、驚異的なリターン創出が可能ということでもあります)。

これが現実であり、本源的価値の査定に誤りがないかどうか常に謙虚に反省を繰り返し、誤ったと判断したらすぐに投資判断を変える必要があります。

これは、前段で申し上げた「辛抱強く」という点と一見矛盾するようですが、実は全く矛盾しません。なぜなら、「本源的価値の査定が正しいという確信が維持される場合には辛抱。誤ったと判断した場合には一刻も早く投資判断を変更」という整理だからです。「長期投資」といっても、長期で投資することが目的化して判断を鈍らせてしまっては、より高い投資リターンを志向するうえでは本質から乖離するのではないかと考えます。

理論的な話に終始するのもどうかと思いますので、私たちオービス・インベストメンツが割安感を見出している例を1つ挙げておきましょう。BMWです。株価が低迷することに相応の理由が認められる多くの企業とは異なり、BMWは、その価値が不当に見過ごされているように私たちには映ります。

BMWには、高級ブランドとしてのポジショニングを原動力として、魅力的なリターンとともに長年成長し続けてきた歴史があります。現在の株価は、この歴史が終焉を迎えることが前提となっているような水準にあります。

しかし、BMWは10年以上かけて電気自動車への移行に備えてきました。2021年には、電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車を20車種販売する予定で、各工場で少なくともその1車種を生産できる能力を確保します。そして、こういった車種の売れ行きは、目下好調です。現在、BMWの電気自動車市場におけるシェアは、その他の車種も含めた全体のシェアよりも高くなっています。さらに、実は2020年におけるBMWの電気自動車販売台数の伸びはテスラを上回っているのです。

先行き不透明な部分はありますが、我々はBMWを選好することによってリターンを得られるものと考えています。現在、BMWの株価は1株当たり純資産の1.0倍未満、1株当たり平準化利益の約6倍です。BMWに対する評価(バリュエーション・マルチプル)がここまで低水準に落ち込んだのは、過去に一度しかありません。それは、あの世界金融危機のときでした。

高いリターンをあげる投資の種は、往々にして一見愚かにみえるようなところにあったりします。世の中の趨勢や周囲の声に惑わされず自分の頭で考えることが、投資にとっては重要です。

(上記は私たちオービス・インベストメンツの考え方であり、投資をする際にはご自身での判断をお願いします)

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