日本テレビは“日テレ”を過信しすぎている──『ネタフェス』の失敗と『M-1』恋愛ネタの賞味期限

日本テレビは“日テレ”を過信しすぎている──『ネタフェス』の失敗と『M-1』恋愛ネタの賞味期限

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2021/01/13
No image

お笑いブームがいよいよ極まってきている。ただただ楽しく観るのもいいが、ふとした瞬間に現代社会を映す鏡となるのもお笑いの面白いところ。だったらちょっと真面目にお笑いを語ってみてもいいのではないか──というわけで、お笑いウォッチャー・タカ&ユージが気になる動きを勝手に読み解く!

タカ あけましておめでとうございます。いきなりなんですけど、正月特番『NETA FESTIVAL JAPAN』(日本テレビ系/1月4日放送)がめちゃくちゃひどかったです。

ユージ あけましておめでとうございます。年末年始の大型ネタ番組の中でも群を抜いてヤバかったですね。

タカ 日テレの悪いところが全部詰め込まれてました。「これは誰でしょう」ってクイズでめちゃくちゃ引っ張って正解がしずるの村上だったところが一番地獄でした。村上にとっても地獄すぎる。漫才師に『鬼滅の刃』のコスプレさせる企画も最悪でした。タイムマシーン3号にトム・ブラウンって、メンツが『有吉の壁』(日テレ)っぽいんですよね。KOUGU維新のヒットに気を良くして思いついた企画なんでしょうか……。

ユージ 『有吉の壁』の「なりきりの壁」みたいな企画もやってましたね。あれは本来、ほかの芸人と有吉のガヤありきで成立してるんだからパーツだけ持ってきても面白くなるわけじゃない。『ネタフェス』のMCにも有吉は入ってましたけど、当然『壁』のときとはノリが違うんだから。

タカ 日テレは日テレの番組を過信し過ぎですよ。『深イイ話』とのコラボとか『ウチのガヤがすみません!』とか、ちょいちょい既存番組の企画入れてきてたけど、誰もそんなに日テレの番組愛してないから!

ユージ アシスタントMCの水卜(麻美)アナと岩田(絵里奈)アナをいじる曲をAMEMIYAが歌わされてたのもすさまじかったです。「これで日テレも安泰でした」で締める歌ネタ、どんな発注してるんだ!

タカ 結局、制作側が芸人の力を信じてないから保険としていろんな仕掛けをのっけたがるんですよね。「自分たちが考えた企画が一番面白い」と思ってるから、こんなことになってしまう。チョコプラ長田×IKKOさんの「香水」のところとか、奇跡的に面白くなってるパートはあったけど、それは番組のおかげじゃなくて出演者の頑張りによるところ。でも番組側は勘違いしていそうです。

ユージ 『ネタフェス』を名乗るならまともにネタを見せてほしいです。結局自分が一番面白かったのはチュートリアルの新ネタでしたもん。スタッフ主導で「面白くしてやろう」という姿勢を見るにつけ、『エンタの神様』の頃から何も変わらないんだなと思います。というか、『エンタ』って改編時期の特番で定期的に復活するじゃないですか。年末にもやっていました。大型特番からレギュラーまでこれだけネタ番組が増えている中で、なぜあんな古いフォーマットをいまだにやり続けるのか、本当に意味がわからない。「逆に面白い」ですらない。

タカ 芸人側も、もうそういうやり方が無理だと示してますからね。年末の『ゴッドタン マジ歌SP』(12月29日放送/テレビ東京)で、ハライチ岩井がまさにそういうテレビスタッフへの不満を歌い上げていました。岩井が佐久間(宣行)さんの前であれを歌えるのは、佐久間さんがちゃんと芸人をリスペクトした上で、番組制作者の役割として芸人の良さを引き出してるからでしょう。

ユージ 『壁』が特番時代に『エンタ』とセットで放送されているときが何度かあったんですよ。番組のパッケージが真逆なのに、なぜ? と思っていました。「ブレイクしそうなキャラ芸人選手権」なんて、あからさまに『エンタ』をバカにしてる企画じゃないですか。

タカ 『壁』も日テレっぽさはありつつ、そことは違うことをしようとしてますよね。とはいえ日テレっぽさに回収されている部分もなきにしもあらずですが。ここでいう「日テレっぽさ」というのは「キャラを求めがち」って意味で、『ウチのガヤがすみません!』とか『THE W』もそうだと思います。

ユージ どっちもフットボールアワー後藤(輝基)がMCですね。『芸人報道』(日テレ/20年12月28日放送)でニューヨークがめちゃくちゃいいことをいっぱい言ってたんですけど、「『ウチガヤ』なんか、大殿様(=トップクラスのMC芸人)がゲスト俳優のために若手にいろいろやらせてる番組」って言われて後藤が苦笑いしてました。

タカ 日テレの中間管理職MCとしての後藤……。「マジ歌」の後藤は面白かったですよ。「マジ歌」を定期的に自分でもやって、周囲にもいじられてるから“芸人”であり続けられているんだと思います。

ユージ 私も「マジ歌」の後藤は好きです。年に1~2回、後藤のツッコミどころを視聴者も共有することで、残りの時間も許容できるようになるシステムがありますね(笑)。話が出たので『THE W』(20年12月14日放送)についても触れておきましょうか。Aマッソのネタが評判が良かったみたいですね。たしかに『M-1』でも『キングオブコント』でもできない、ジャンルレスの『THE W』だからこそできるネタでした。ああいうネタをやるんだ、と意外に思うと同時に、それならもっと精度を上げられるんじゃないかとも思いました。

タカ 言い方が難しいんですが、Aマッソは期待値がやけに高くなってると思うんですよね。もっとキレキレのネタをする女性芸人はほかにもいるのに……。そういう意味でも、優勝した吉住は面白かった。デブネタ、ブスネタ、恋愛ネタをそのまま扱っているものがまだまだ多い中で、一歩踏み込んでいました。ただ、全体でいうとそういう点では去年のほうがちょっと良かった気がします。世の中の歩みの進み方に比べると、歩みが遅い。

ユージ 今大会だとオダウエダが一番面白くて好きでした。純粋に自分たちの発想を信じてやりきっているところがとても良かった。関西の劇場の匂いを感じました。

タカ たしかに、彼女たちは面白かった。女であることの空気感はちゃんとありつつ、「男になんか負けない」みたいに肩肘張った感じもないし。それがいけないってことではないんだけど、ネタに透けているとどうしても見づらくなってしまうじゃないですか。オダウエダはとぼけた雰囲気が自然に出ているところも、あまり女性芸人では類を見ないかなと思います。

ユージ 初年度はどうなることかと思いましたが、審査員のラインナップも真面目に審査しようという姿勢が見えてきて、番組としても年々良くなっていってますよね。

タカ ただ今大会は公式SNSが「#女芸人しか勝たん」ハッシュタグを盛り上げようとしていたのがちょっと……。男性芸人が多い大会だったらそんなことしなくないですか?

ユージ 『R-1』あたりはやりそうですよ。

タカ やりそう(笑)。結局どっちもそういう中途半端さが、賞レースとしての格を下げてるんだと思います。見てるほうにも伝わるじゃないですか。『M-1』で「漫才師しか勝たん」なんてやらないでしょう。

ユージ 『M-1』のネットの活用法って全然違いますもんね。年々ネットに開かれた状態になっていって、上手だな~と思います。2020年は準決勝当日になって急に配信を行うと発表して、批判されてましたが。映画館でのライブビューイングとはわけが違うから、そこはもっと慎重になってほしかったです。『M-1』(テレビ朝日系/20年12月20日放送)はどうでした? 僕は、例年通り楽しかったけど、あれこれ語りたくなるには物足りないかなと。だから「これは漫才なのか」論争なんていうどうでもいい議論が白熱したんじゃないかと思ってます。

タカ 私はウエストランドがしんどかったですね。何年も前からやってるネタじゃないですか。内容的にも、モテないことを女性のせいにしている暴力性が怖い。そもそも「モテ/非モテ」ってテーマとしても古いでしょう。

ユージ それはそうです。僕はそれでいうとアキナのネタが唯一面白くなかったです。あの年齢で「好きな女の子がいる」ネタって厳しいですよ。もちろん、何歳になったって恋愛してていいんですけど、漫才でやるからにはそれなりのひねりがほしい。

タカ 恋愛ネタはやっている側が常識とか「こうあるべし」っていう部分をどう捉えているかが見えやすいから、技術があっても陳腐化しやすいんですよね。観ている側も知らず知らずのうちに価値観が変わっていってるじゃないですか。よくある入りや設定だからこそ、やるならめちゃくちゃ考え抜かないとならない。マヂカルラブリーは、そういうのをすっぱりやめているところが新鮮だったのかもしれません。

ユージ マヂラブのネタはいつも思い切りの良さがすごくて好きですね。一方で『M-1』後に語っているネタ選びなどの裏話を聞くと戦略もしっかりあって、勝つべくして勝ったんだなと思いました。そういえば、村上が優勝直後に足を怪我したのって『ネタフェス』の収録でしたよ! 本当にやめてくれ!

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加