
"味わい深い昔話を収録した新刊本を手にする黒瀬圭子さん=2021年8月5日午後2時41分、山口県下関市、貞松慎二郎撮影"
山口県下関市在住の児童文学者で、闘病中だった黒瀬圭子さんが16日、死去した。90歳だった。葬儀は18日、下関市内の斎場で営まれ、子どもへの読み聞かせ活動などで関わった人たちが最後の別れを惜しんだ。
葬儀会場に飾られた黒瀬圭子さんの遺影と著作=2023年9月18日午前11時15分、山口県下関市、貞松慎二郎撮影
北九州市門司区生まれ。小倉の詩人・童話作家で到津遊園(現・到津の森公園)の園長にもなった阿南哲朗氏から口演童話を学んだ。下関市で、読書ボランティアグループ「あかね会」の代表を長く務め、地域文庫の草分け「あおやま文庫」でも中心的存在だった。自らの戦争体験を基にした絵本「白いなす」は合唱組曲となって披露された。2010年に久留島武彦文化賞を受賞した。
喪主の長男圭一郎さん(61)は葬儀で「88歳まで病気知らずの母だったが、病気の診断を受けて2年3カ月、奇跡のような時間を頂いた」とあいさつした。あかね会の現在の代表、成重圭子さん(67)は「言葉の一つひとつに心を込めて丁寧に伝える人だった」と悼んだ。(貞松慎二郎)