NFTに音楽を入れる新たな試み Doodlesから進化したSpace Doodles

NFTに音楽を入れる新たな試み Doodlesから進化したSpace Doodles

  • Rolling Stone Japan
  • 更新日:2022/05/14
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人気NFTプロジェクト、Doodlesの進化形と言えるのがSpace Doodles。これはすべてのDoodlesのNFTホルダーに、200を超えるオーディオ/ビジュアル特性を持った個人用の宇宙船を提供するというもの。

【写真を見る】Doodlesのアート作品

Space Doodlesが画期的なのは、アニメーション動画と音楽の組み合わせになっているところだ。Doodlesは2DのデジタルアートのNFTだったが、Space DoodlesはDoodlesのキャラが宇宙船に乗って宇宙旅行をする5秒間のアニメーションとなっていて、そこに5秒間の音楽が入っているのだ。このSpace Doodlesの音楽を手がけているのはジョン・バウアーズというコンポーザー。ジョンはアート・ポップ・バンドのNursesのオリジナル・メンバーで、ソロ名義では2021年にシンセサイザーとフィールド・レコーディングで制作したアルバム『Kindness』を発表しており、2022年3月のSXSW Film Festivalで話題を呼んだ映画『Jethica』の音楽も手がけている。

―短い時間の音楽の断片を制作するようになったきっかけは?

ジョン 15年以上前のことなんだけど、ブライアン・イーノのインタビューを読んでいたら、Microsoft Windows 95の起動音を制作したことについての話で、彼がどのように短い音楽の断片に興味を持ったのかということを話していたんだよ。僕自身、音楽の断片に興味を持っていたし、細かなドラムのキックの音もピアノの音程もちゃんと鳴ってほしいと思う方だから、そこでピンと来てね。ものスゴく短い曲を遊びで作るようになって、そこからコンセプトありきのプロジェクトやコマーシャルなプロジェクトの音楽を手がけるようになったんだ。企業のロゴのサウンドを3秒間とか7秒間で作ったり、都市計画の音楽を手がけたりしていたんだよ。最初にNFTのことを知った時、僕自身もトライしてみたいと思ったし、自分の作る短い音楽の断片をNFTに入れてみたいと思ったんだ。

―NFTの世界に入ったきっかけは?

ジョン 2年ぐらいNFTを見ていたんだけど、去年の初めにNFTが一種のカルチャー現象となった時に、個人的にNFTを集め始めたんだ。どのNFTを見ても思ったのは、どこに音楽はあるんだ?っていうことだったね。NFTにはスゴい可能性があるし、短い時間の中で音楽でどれだけの表現ができるのか、僕にはわかっていたから、これは自分でやってみなきゃと思ったんだよ。

―NFTのどういうところに興味を持ちましたか?

ジョン アートを伝える新しいミディアムという部分に興味を持ったね。NFTはアーティストが自己表現をする新しい場所になるからだ。同時に、マーケットという意味では、アーティストが自分の作品から利益を得られる新しい場所にもなり得る。僕は常々、音楽はラジオでかかるようなものじゃなく、ギャラリーの中で展示できるようなものにしたいと考えていたんだ。もちろんポップ・ミュージックは大好きだけれどね。ただ、僕のやっている音楽はアルバムというフォーマットには合わないし、一つの独立したピースとして存在している。NFTはアーティスティックなアイデアをインターネット上でパッケージとして見せられる新しいやり方だと思うんだ。今の時代、いろいろなやり方がある中で、NFTには若い世代のクリエイティブのエネルギーが満ち溢れている。僕が10代の時は、若い世代のクリエイティブのエネルギーは特にパンク・ロックという音楽に集中していた。音楽そのものが好きじゃなくても、その音楽の持つエネルギーは認めざるを得なかったと思うんだ。僕が気に入っているのは、今のNFTを取り巻くエネルギーだね。スゴくレベルが高いし、ものスゴい量のクリエイティブ・アイデアが出てきていて、たとえ気に入らないものがあったとしても、大した問題ではないんだ。NFTのクリエイティブなエネルギーにはパンク・スピリットが存在するし、ビジネスマンのスピリットだって存在しているところもいいね。そのどれもが同時に起こっているから、エネルギーが爆発しているような感覚があるんだ。

Doodlesのメンバーとの出会い

―Doodlesのメンバーとはどのように知り合って、一緒に仕事をすることになったのですか?

ジョン マイアミのアート・バーゼルで、Doodlesのファウンダーの一人であるエヴァン・キーストと知り合ったんだ。フォー・テットのライブを一緒に観に行って、音楽の話をいろいろしていく中で、僕が「Doodlesの音楽ってどんな感じなの?」って聞いたら、エヴァンは「わからない」って言うんだ。それで「僕にはわかるよ。聴かせてあげようか?」って言ったら、すぐに、「いいね。Doodlesの音楽がどんなものなのか聴かせてほしい」って答えたんだ。そこから始まったんだよ(笑)。

―スゴくシンプルですね!(笑) 結果、Space Doodlesの音楽を手がけることになったわけですが、まず最初はどのようなアイデアがありました?

ジョン 僕が最初にやったことは、4チャンネルのサラウンド・サウンドのピースを作ることだった。その次にやったことは、動画アニメーションの様々な動きを見て、それぞれのキャラクターの特徴をつかむことだった。最初、宇宙船とか惑星のことは聞いていなかった。動画をもらってからは、それを一日中観て、動画に合わせて音楽をプレイするというのを、自分自身が納得するまでずっと続けていった。その結果、5秒間という時間で、Space Doodlesの音楽はこうあるべきだっていう音楽が出来たんだ。

harness the power of imaginationpic.twitter.com/XofaKHzTbV— doodles (@doodles)February 7, 2022https://t.co/wtZrZAKr56— potato (@hijohnbowers)March 2, 2022

Space DoodlesのNFT。アニメーション動画と音楽の組み合わせになっているところが画期的だ

―Space Doodlesの音楽は5/4拍子というユニークなリズムで、実際に聴くと、空に浮いている感じ、宇宙に旅している感じが出ていて、楽しい気分になるんですよね。5/4拍子にしたのには何か理由がありますか?

ジョン 理由は簡単だよ。個人的にも5/4拍子で曲を作るのが好きだし、一つひとつの動画の長さが5秒間だから完璧だと思ったんだよ。それで5秒間でループできる音楽を5/4拍子で作ってみたら、変拍子で拍子が余るから、宙に浮かんだまま前に進むような感じが出せるんだよね。しかもどこかゴキゲンな感じも出せる。それで、120 BPMというごく普通のテンポでループできるように制作したんだ。

―5/4拍子と言えば、『ミッション:インポッシブル』のテーマ曲もそうですね。

ジョン まさにそうだね。楽しい音楽にしたかったんだよ。楽しいアートだし、楽しいアニメーションだから、シリアスな音楽は合わない。軽い音楽にしたかったし、バウンスして跳ねる感じにして、楽しい時間を過ごせるようなものにしたかったんだ。

―しかも、一つひとつのNFTをどのように組み合わせても、それこそエンドレスで音楽として聴けるんですよね。

ジョン NFTで音楽をやろうと思った時に、最初に考えたことはそこのところなんだ。僕がNFTのランダムに生成されたビジュアルを見た時にまず思ったのは、「ああ、ここに音楽が入ったら楽しいだろうな」っていうことだった。それで一つひとつの短い音楽の断片を組み合わせていった時に、それがまた一つの音楽として成り立つようにしたいと思ってね。その考えをどんどん推し進めていったんだ。一つひとつの音楽をバック・トゥ・バックで聴けることはわかっていたし、つないだ時に音がかぶさるように聴こえることもわかっていた。そこで、どうやったら曲と曲がつながって、さらにそれが新しい音楽になり得るのかについて考えたんだ。Space Doodlesは1万個の音楽NFTだから、可能性は無限大にあるわけだしね。

―すべての音楽をつなげると膨大な長さになりますよね。

ジョン 14時間を超える音楽になるはずさ。一つひとつがつながっても素晴らしい音楽になったと思うよ。けっこう細かなところにもこだわったんだ。

音楽制作のプロセス

―音楽のキーもすべてD#に統一したんですよね。D#にした理由は特にあるんですか?

ジョン D#は個人的に好きなキーだし、明るいキーなんだよね。ところどころで6thと7thも入れているから、少しだけジャジーな感じも出ていると思う。D#はDの半音上だから、DoodlesのDから上に上がるという意味も込めているんだ。DoodlesはSpace Doodlesになって宇宙に上がっていくわけだし、NFTとしての価値も上がっていくわけだから。Doodlesが宇宙に行くというコンセプトに対して、僕がちょっとウィンクを加えたって感じかな(笑)。

―音楽制作のプロセスはどのような感じでしたか? 最初に音楽を作ったのですか? それともアニメーションありきで、そこに音楽を合わせて作っていった感じですか?

ジョン どちらもあるね。最初からすべての動画を観ることはできなかったからね。僕のところに来たのは動画が完成した後だったから、いくつかの動画は最終段階になってからしか観れなかった。僕はずっと音楽を作っていて、アイデアが浮かんだり、好きなサウンドが見つかったりするたびにそれを取り入れたり、後で使えるように貯めておいたりしたよ。8時間ぐらいシンセサイザーをプレイしながら、細かな部分での新しいニュアンスをいろいろ作るようなこともした。

―制作のプロセスの中で一番大変だった部分は?

ジョン どこで終わらせたらいいのか?というところが一番大変だった。アニメーション自体、いろいろな要素が入っているから、僕はそこにいくらでも音楽の要素を加えることができる。だけど、1個のNFTの音楽として完結させた上で、他のNFTとつなげられる余地も残しておきたかった。だから、なるべくシンプルに作りつつも、面白いものにしたかったし、一貫性のあるものにしたかった。

―Space Doodlesの音楽制作では何の機材を使いましたか?

ジョン ほとんどの音楽はSequential OB6というシンセサイザーを使っていて、Dave Smith Instruments & Roger LinnのTempestも少しだけ使っている。プラグインはiZotope®のIris 2を使っているよ。どれもアナログの機材になるね。

―Space Doodlesの音楽を完成させた今、新しいアイデアもたくさん出てきているとは思いますが。

ジョン 自分のプロジェクトの新しいアイデアでは、シンセサイザーの音を減らして、自然の音を使うことを考えている。例えば、風の音とか、誰かの歩行のパターンといった自然の音をリミックスして、テクノロジーに合うように再解釈するんだ。Doodlesの今後に関しては、アイデアはたくさんあるんだけれど、残念ながら今はまだ言えないね。

―自然の音と言えば、ジョンは2021年のアルバム『Kindness』では、旅先でフィールド・レコーディングをしながら制作したらしいですね。

ジョン 自然の中でのフィールド・レコーディングはけっこうやっている。マイク2本とレコーディング機材を持っていくこともあれば、iPhoneだけで録ることもある。実際、音楽を聴くよりも自然の音を聴く方が好きかもしれないね。面白い音を見つけては集めているよ。『Kindness』では、自然の音をレコーディングして、翌朝起きた時に、自然の音とシンセサイザーの音を合わせていくという、ごくシンプルなやり方で制作したんだ。僕はLAに住んでいるから、山、海、川、砂漠……どこにでもすぐに行けるんだ。

―今手がけているプロジェクトは?

ジョン NFT関連じゃないけれど、4チャンネルのサラウンド・サウンドでライブ・パフォーマンスをやりたいと思っている。NFTと音楽の方は、テクノロジーを使って自然と一緒に遊ぶようなことをやっていきたい。今実験的に作っているNFTがあるんだけれど、インタラクティブなものになると思うよ。他の人がやったことのないような音楽NFTを手がけていきたいね。

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ジョン・バウアーズ

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John Bowers

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