
渋谷駅から直ぐ「東急プラザ渋谷」6階の「もしも食堂」では、「カレー好きミュージシャン」としてレシピ本も執筆している、ホフディランの小宮山雄飛さんとコラボレーションし、全国のカレーの名店を集めた「もしも食堂~WORLD CURRY FESTA(ワールドカレーフェスタ)~」を開催中です。
小宮山さんセレクトの地方の名店のカレーが渋谷に大集結! 早速行ってみましょう!
ご当地カレーではなく、世界のカレーにこだわりました

通期で提供される「Lemon Rice TOKYO」のレモンライス 1,265円。
現在開催中の「もしも食堂~WORLD CURRY FESTA(ワールドカレーフェスタ)~」にセレクトされているカレー屋は全4軒。前期と後期に期間が分けられており、2023年1月26日(木)の「後期」(~3月31日)からは「Lemon Rice TOKYO」のレモンライス以外のメニューが入れ替わります。
「セレクトでこだわった部分は、いわゆる『ご当地カレー』ではなく、地方にある世界のカレーを集めようということ。東京からなかなか足を運べないような意外な場所に世界も驚く本格派カレーが点在しているんです」(小宮山さん)
「バーンタイ」の本格的なグリーンカレーは後半の目玉

“映え”な三角錐の形のライスは、「バーンタイ」芦屋店の盛りつけを再現。「ゲーン キャオワーン」1,265円。
早速、後期のカレーを紹介していきましょう。
まず1品目は、兵庫県神戸市三宮に本店を構える「バーンタイ」の「ゲーン キャオワーン」というグリーンカレー。

「何度食べてもおいしい!」と小宮山さん。
「ココナッツミルクの味を感じながらも、レモングラスやコブミカンなどのハーブや香辛料もしっかり効いていて、まろやかさと辛さのバランスがすごくいいんです。
グリーンカレーって今はどのお店でも食べられるメニューですが、ここのカレーはその一歩先をいく本場の味なので、特にグリーンカレー好きの方にはぜひ食べてほしい一品です」(小宮山さん)

カレーには葉野菜やエディブルフラワーものっていて、見た目も美しい。
「『バーンタイ』は関西を代表するタイ料理店。タイのかたがシェフをされているので、作り方も本場と一緒。後期で出すグリーンカレーの『ゲーン キャオワーン』は、お店でも人気のメニューなんですよ。
前期で出した『ゲーン ペッ』(ココナッツミルクのレッドカレー)を食べた人にも食べてほしい本格タイカレーで、後期の目玉と言えるカレーです」(小宮山さん)
私も試食しましたが、濃厚でコクがありながら、爽やかなハーブの香りと後を引く辛さがあって、スプーンが止まりませんでした!
富山の隠れた名店「ザイカ・カレーハウス」の「チキンキーマアルー」

「チキンキーマアルー」1,265円。付け合わせのライタ(甘くないヨーグルトのサラダ)をかけて、味変も楽しんで。
2品目は、富山県射水市周辺にある「ザイカ・カレーハウス」の、鶏ひき肉とじゃがいもを使った「チキンキーマアルー」です。
こちらのお店は新幹線の富山駅から車で30分ほどのところにあるそうで、まさに「なかなか行けない名店」。
「今射水市は『イミズキスタン』とも言われるほど、パキスタン人が多く住む地域で、パキスタンの方々に向けたお店がたくさんあるんです。その中でも一番有名なお店が『ザイカ』。
前期の『マトンカラヒ』(マトンの炒め煮カレー)ももちろん美味しいのですが、ここの『チキンキーマアルー』が絶品なんです。
パキスタンのカレーは割と濃厚でクリーミーなものが多いのですが、この『チキンキーマアルー』はカシューナッツペーストも入っているのでとてもコクがあります。こちらのお店は油やスパイスを大胆に使っていて、それがしっかり美味しさに繋がっているんですよね」(小宮山さん)
埼玉の紅茶専門店「紅茶屋」の「スリランカフィッシュカレー」

「紅茶屋」の「スリランカフィッシュカレー」1,265円。付け合わせのシーニサンボール(タマネギの和え物)、ナスのモージュ(ナスの和え物)、ポールサンボール(ココナッツのふりかけ)を、カレーに少しずつ混ぜながら食べるのがおすすめ。
3品目は、埼玉県にある紅茶専門店「紅茶屋」さんの「スリランカフィッシュカレー」。1日5組の完全予約制の本格スリランカ料理を提供するお店かつ、ランチ営業のみなので、食べに行ける機会がなかなかない名店です。
「カレー自体はそんなにスパイシーではないけど、副菜と一緒に食べるとすごく複雑な味になります。もともと紅茶の輸入業を営んでいた店主の加地さんはスリランカの文化を研究していて、アーユルヴェーダを元にしたレシピで作っています。
『ザイカ』が大胆で力強い味わいに対して『紅茶屋』はやさしい味が特徴ですね。身体のためを考えた薬膳のような、塩や油、スパイスも必要な分だけ使ったヘルシーであっさりしたカレーになっています。後期ではせっかくなので、まだあまり日本人になじみがないスリランカのフィッシュカレーも、これを機に食べてもらえるといいなと思って選びました」(小宮山さん)
もちろん、通期で提供している小宮山さんが監修する「Lemon Rice TOKYO」の「レモンライス」も見逃せません。南インドの家庭料理をベースに独自のアレンジを加えています。

「世界のカレー 3種盛り合わせ」1,980円。
「どれも気になって選べない!」という欲張りな方にぴったりなのが、「スリランカフィッシュカレー」、「ゲーン キャオワーン」、「チキンキーマアルー」が少量ずつセットになった「世界のカレー 3種盛り合わせ」(1,980円)がおすすめです。
日本に広がる「現地の人が食べている現地のカレー」

何度も足を運んでもらえるように前期・後期でメニューを入れ替えているという。
今回のワールドカレーフェスタは富山と兵庫、埼玉のお店でしたが、他にも気になっているエリアがあると小宮山さんは言います。
「西葛西辺りはインド人の方が多く住んでいるのでインド系のお店が増えているし、埼玉にもパキスタン料理のお店が増えている町があるんですよ。いわゆる“ご当地カレー”とは違って、『現地の人が食べている現地のカレー』を提供するお店が、ここ最近、あちこちにでき始めています。
地方のコミュニティの成長に伴い、今後そういうお店がもっと出てくるんじゃないかと期待しています。個人的に今年注目しているのがネパール。おいしいお店が増えてくるんじゃないかな」(小宮山さん)

実際に現地で作り方を学び、よりカレーへの興味が増したという小宮山さん。
小宮山さんは今回のために「もしも食堂」の店長・大島今日さんと一緒に全てのお店を訪れ、各店舗の方から直接レシピを教わったそう。
「行く前までは、玉ねぎを炒めるなどの工程はどこも同じなんじゃないかと思っていたのですが、炒め方や分量にしてもお店によって全然違うんですよ。例えば、『ザイカ』だと油の使い方がこれまでの僕の考え方を覆すようなインパクトで、驚くほどの量を使って見事に仕上げるんです」
各地の名店のカレーを一店に集結させるには苦労もあったそうで、「交渉が難しかったり、作り方も衝撃的だったり(笑)」と当時の思い出を懐かしそうに話してくれました。

もしかしたら世界のカレーだけでなく、小宮山さんにも会えるかも!?
「もしも食堂」には小宮山さん自身もふらりと立ち寄ってカレーを食べることがあるそう。もしかしたらお店で会えるかも!? しれません。なかなか足を運べない名店の味わいを、渋谷で気軽に堪能してみてはいかがでしょうか。
小宮山雄飛(こみやま・ゆうひ)
1973年東京都出身。ホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンのかたわらグルメにも精通し、雑誌連載やカレーレシピ本出版など食のシーンでも活躍。地元渋谷区の観光大使も勤め、食に渋谷に音楽に、POPな日々を送っている。2022年9月ニューアルバム『Island CD』をリリース。
Twitter@gaw_official

もしも食堂
所在地 東京都渋谷区道玄坂 1-2-3 渋谷フクラス内 東急プラザ 渋谷 6F
営業時間 11:00~23:00(22:00L.O)※東急プラザ 渋谷の営業時間に準ずる。
定休日 無休
※ワールドカレーフェスタは3月31日までの開催。
https://gatw.jp/p/wcf/
文=根津香菜子
写真=山元茂樹
根津香菜子