朝夏まなと×中河内雅貴×実咲凜音 公演中止から2年、動き出した『モダン・ミリー』にかける思い

朝夏まなと×中河内雅貴×実咲凜音 公演中止から2年、動き出した『モダン・ミリー』にかける思い

  • ぴあニュース
  • 更新日:2022/06/24

1920年代のNY、モダンガールに憧れて田舎からやってきたミリー。仕事にはりきり、下宿先で知り合ったドロシーや偶然の出会いを繰り返すジミーと仲良くなったり、新しい生活を楽しんでいた彼女だが、NYでは若い女性が行方不明になる事件が勃発。そんな中、ドロシーが誘拐されて……。ジュリー・アンドリュースが主演した1967年公開のミュージカル映画を原作に、楽曲をほぼ一新し製作、2002年トニー賞作品賞ほか計6部門を受賞した大ヒットブロードウェイ・ミュージカルがいよいよ日本で上演される。もともとは2020年4月に上演予定だったが、開幕直前に新型コロナウイルス蔓延にともなう緊急事態宣言が発令されたため全公演中止に。2年を経てメインキャストが全員集結する待望の公演だ。主人公ミリー・ディルモント役の朝夏まなと、ジミー・スミス役の中河内雅貴、ミス・ドロシー・ブラウン役の実咲凜音が、溢れる『モダン・ミリー』への思いを存分に語る。

あの時の、悲しい気持ちを超えるくらいのワクワク

――『モダン・ミリー』が待望の上演です! もともとは2020年に上演されるはずだった作品。この時は稽古場での稽古も最後まで終え、劇場ではセットも組まれ、あとはキャストが劇場に入るだけ、本当に上演直前での中止だったと聞いています。まずはこの時の心境を振り返っていただけますか。

朝夏 稽古中から、なんとかして上演したいなと思っていましたが、中止になってしまった。最初の緊急事態宣言が出された時だったので、あの時期はすべてが止まりましたよね。今は公演がなくなるというのはあり得ることだとわかっているし、そう思うのが当たり前になっているのも怖いのですが、当時は公演がなくなる、舞台が止まるということが現実に起こるなんて思ってもいませんでした。舞台に立つことが私たちの仕事ですので、それがなくなるって怖いなと思ったし、本当に悲しかったし切なかった。一方で命に関わることですのでどこかで仕方がないとも思っていましたが……。でもしばらくは立ち直れなかったし、役として生きる共演者の皆さんを良く知る前にさよならをしなければいけなかったのもやりきれなかった。

実咲 楽屋に荷物を取りに行く時間も(被らないように)決められていましたしね。

朝夏 そうそう。不完全燃焼で、悶々としていました。

中河内 僕も、舞台がなくなってしまうというのが初めての経験でした。複雑な感情が入り混じり、しかも僕らの仕事は不要不急とされ、社会的にも優先順位の高くないところに立たされていた風潮もあり、「これからどう生きていけばいいんだろう」とも思いました。でも『モダン・ミリー』がまたいつかできる日はきっとくると、漠然とした希望は抱いていましたし、実際こうして上演できる喜びは言葉では言い表せないくらい嬉しい。今感じているワクワクは、あの時の悲しい気持ちを超えるくらいの大きさになっています。

実咲 私も、まぁさま(朝夏)がおっしゃったように2020年の4月は、こんなことが起こるんだという驚きとショックがありました。「ほんとに、舞台がなくなるんだな」と……。世の中の状況もわかっていましたので、仕方ないと自分に言い聞かせ、でもどこかで再演があると確信していましたし、祈っていました。それが2年でこうしてまたやらせていただけるのは、本当に良かった、というのが一番大きな気持ちです。

――共演者とお別れも言えなかったのですね……。

朝夏 グループLINEも作る前に終わっちゃったよね。

実咲 個々で「また会いましょう」とご連絡することしかできませんでした。

朝夏 今回は早急に作りましょう。稽古初日に作ろうね!

「どこまでもご縁がある」元トップコンビの共演

――2年前よりさらに遡りますが、朝夏さんと実咲さんは宝塚時代、トップコンビを組んでいらっしゃいました。元トップコンビが退団後に、OG公演などではない作品で共演するというのはめったにないことだと思います。共演のお話が来た時はどう思われましたか。

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朝夏 面白い! と思いました。宝塚時代をご覧になっていた方には男役と娘役、というイメージがあるかと思いますが、私は彼女のことを舞台人として尊敬していましたし、相手役ではあるけれどそれ以上に戦友だと思っています。なので俳優同士になっても、関係性が変わるといったこともなく……(実咲に)“普通”だったよね? 特に『風と共に去りぬ』('13年)では、私がスカーレットを演じた時に彼女はメラニーを演じていて、自然と女性役同士でお芝居をしていたこともあり、今回もまったく何の違和感もなく受け止めました。

実咲 私は「どこまでもご縁があるな」と嬉しかったです。宝塚でも組替えするタイミングも一緒で、私の宝塚人生を一番見てくださっていたのが朝夏さん。一番近くにいて、私の良いところも悪いところも全部率直に言ってくださっていました。またこうやって違う形で作品を一緒に作っていけるのは、どこかで糸が繋がっているんじゃないかというご縁を感じます。いつも勉強させてもらっています。

朝夏 いやいや、2年前の(『モダン・ミリー』の)お稽古中は、私の方が「ここはどうやって歌ったらいいのかな」とか、教えてもらっていました!

――中河内さんから見て、おふたりの関係性はいかがですか。

中河内 素敵です。今だって会話にすごく入りたかった(笑)。自分たちが長年いたところから外の世界に出て第一線で一緒に仕事ができるのはとても素敵だと思いますし、やっぱり縁があるんでしょうね、羨ましいです。でも僕も『宝塚BOYS』('13年)で宝塚には入団していましたし……元月組トップ娘役の旦那だし……。(※中河内さんの奥様は元宝塚歌劇団月組トップ娘役・蒼乃夕妃さん)

実咲 そうですよ、もう月組生ですよ(笑)!

朝夏 アハハ(笑)。

――ちなみに実咲さんは朝夏さんのこと「まぁさま」と呼んでいらっしゃいますが、中河内さんはなんとお呼びしているんですか。

中河内 「まぁちゃん」です。……え、違う方がいいですか!?

朝夏 というか、まぁちゃんって呼んでよ、くみちゃん(実咲)!

実咲 えっ……それは無理に等しいです……! まぁさまでお願いします。私にとってはまぁ“さま”です!

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2年を経て深まった、ミリーという役の魅力

――朝夏さんがミリー、中河内さんがジミー、実咲さんがドロシーを演じます。役作りで考えていることや、演出の小林香さんから言われて印象的だったことなどを教えてください。

朝夏 ミリーは元気で大胆で、NYで玉の輿に乗るぞ、女性として道を切り拓くぞと田舎から出てくる。私も佐賀から宝塚を経由して東京に出てきていますので、2年前は自分とかぶる部分もあるなと思っていたのですが、いざ演じて見るとなかなか掴みどころがなくて……。彼女はけっこうおとぼけで、天然っぽさもあり、なんでも口にしちゃう。その可愛さをどう出せばいいのか悩み、結果、あまり答えを掴めずに前回は稽古が終わってしまった。でも今回、改めて台本を読んだらすごく想像が広がり、よりミリーという役を膨らませそうだなと手応えを感じています。それは自分がこの2年間で重ねた経験があるからだと思います。香さんが「まぁちゃんがミリーを好きにならないとミリーはできないよね」とおっしゃっていたのですが、当時はその“好きになるための材料”がちょっと少なかったと思う。香さんも「2年前よりもっと面白くする」とおっしゃっていましたし、私も色々なアイディアを出しつつ、もっと深いところまでミリーを掘り下げたいです。

中河内 僕も2年前の反省点は「ちょっと真面目に作りすぎたかな」です。ジミーにはあまりコメディ要素がないので、それは正解ではあると思うのですが、作品の根底はコメディミュージカル。ですからジミーとしても全部を正面で受けるのではなく少しズラして軽く受けてみたりと、キャッチャーミットを大きくできるんじゃないかなと、2年の月日を経て思っています。自分の受け皿や引き出しを多くしていたら、きっとお芝居の相手役の方の反応も変わってくると思いますので。

実咲 ドロシーは裕福な育ちのお嬢様なのですが、普段の自分とは違いすぎて(笑)。前回は、あまり彼女の天然さなどは考えず「お嬢様はわりとゆったりしゃべるだろう」といった感覚で演じていました。先日たまたま残っていた前回の稽古動画を見ていたら「もうちょっと反応を大きくした方がいいぞ」とか、自分で色々と思うところがありました。時を経て客観的に見て気付くことがたくさんありましたので、ある意味、今やらせていただく方が、2年前よりいいものをお届けできるなとポジティブに考えています。

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――衣裳もとても素敵だとか。気に入っているポイントは。

朝夏 私は20年代のヘアアクセサリーが大好きなんです。(海外ドラマの)『ダウントン・アビー』でも、20年代になると一気にファッションが変わりますよね。あんな雰囲気。あの時代らしいフリンジと、ヘアアクセを着けられるのが嬉しいです!

中河内 わかる~。

朝夏 禁酒法時代のファッションって独特ですよね。すごく好きなんです。

実咲 よく覚えていらっしゃいますね。私は……(考える)。

朝夏 ドロシーはおぼうぼ(帽子)が……。おっきいおぼうぼ。

実咲 あ! (見どころは)おぼうぼです(笑)。

中河内 (小声で)おぼうぼ……。

実咲 久しぶりに被らせてもらいました。女性の衣裳は本当に可愛い。前回、みんなが着ている衣裳がおしゃれだなと思っていました。目でも楽しめる作品です。

中河内 僕もその年代の服は好きで、ファッション雑誌などでもけっこう見ています。『モダン・ミリー』の衣裳はちゃんと時代性を取り入れ、でも現代のキャストが着て似合う絶妙さ。素敵です。ジミーの衣裳に関しては……自分ではわからないな(笑)。

朝夏 おしゃれスーツですよ!

中河内 そうだっけ。スリーピースは好きなので素敵だなと思ったけど、細かくは覚えていないや(笑)。本番をお楽しみに(笑)。

みどころは「耳にも心にも残る音楽」とスーパーダンス!?

――音楽の魅力も教えてください。

中河内 オーバーチュアからいいですよね。幕開きはまるでテーマパークか何かに来たような高揚した気持ちになれる。あの音楽を聴くと「ああ、ブロードウェイ・ミュージカルが始まる!」って思います。

実咲 ワクワクしますよね。

中河内 プラス、訳詞もとても素敵だなと稽古場で感じていました。僕はミリーと一緒に歌うナンバーがずっと頭に残っていて、気付いたら今でも口ずさんでいる。耳にも心にも残るいい曲です。

朝夏 名言ですね、「耳にも心にも残る音楽」! メロディラインがどの曲も綺麗ですよね。私たち、前回はバンド合わせが出来なかったので、あの音楽をバンドで聴けるのが楽しみです。

中河内 確かにそうだった。

実咲 私は、まぁさまと一緒に歌う最初のデュエットが印象に残っています。

朝夏 可愛いデュエット。お互い言っていることが噛み合っているようで噛み合っていないけれど(笑)。同じキーの曲を一緒に歌うのも新鮮だった。

実咲 そうなんです。キャッチーなナンバーですし。……まぁさまは、ソロの曲ですよ!! あれこそメロディラインが美しくて、綺麗だな~と聴いていました。

朝夏 ジミーを思って歌う曲ね。それこそディズニーランドみたい。間奏のスケール感がすごくて、ロマンチックで美しいナンバーです。

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――最後に、ここは見逃さないでほしいというポイントを教えてください。

朝夏 見逃さないでほしいところしかないです!

中河内 まぁちゃん、出ずっぱりだしね。

朝夏 そうだっけ(笑)。

中河内 どのシーンにもいますよ。

実咲 頭からずっと出ています。しんどいっておっしゃっていた覚えが(笑)。

朝夏 実は2年前、中止決定後にシアタークリエの舞台に組まれたセットを観に行ったんです。稽古場ではセットは2階までしかありませんでしたが、本番は3階建て。ミリーは1階から3階まで上る動きがあるのですが、実際のセットを見て「これを……昇るんだ……」って思った(笑)。実際に上に上がってみたら、めちゃめちゃ高かった!

実咲 毎日トレーニングですね。

朝夏 走り込んで臨みたいと思います(笑)。そうか、ハードだった。思い出してきました。

実咲 今までで一番ハードかもとおっしゃっていました。

朝夏 これまでに一番肉体的にハードだったのは『LITTLE WOMEN -若草物語-』('19年)だったけれど……『モダン・ミリー』は実際にまだ舞台でやっていないし、抜くかもしれないね(笑)。ダンスナンバーもたくさんある。最近の作品ではしばらくダンスをしていないので、舞台上で踊れるのは嬉しいです。しかも中河内さんとは、台本に「フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのような」と書いてある素敵なデュエットを踊りますから。

中河内 それを歌って踊る場所が……。

朝夏 3階(笑)。未知の世界だよね。

中河内 やってみないとわからない(笑)。すごく怖いけれど、でもすごく素敵なシーンなので、そこもみどころのひとつかな。

朝夏 本番はアドレナリンで乗り越えましょう! みりおん(実咲)もグレイドン(廣瀬友祐)とスーパーダンスがあるじゃない!?

実咲 たくさん踊ります。リフトしてぐるぐる回転して。

朝夏 アクロバティック・デュエット・ダンス!

実咲 コメディらしいダンスなんですが、最近、あそこまでリフトされることってあまりないかも……。鍛えておきます!

朝夏 みんなが、鍛えて臨む作品です(笑)。ぜひお楽しみに!

取材・文=平野祥恵
撮影=川野結李歌

<公演情報>
ミュージカル『モダン・ミリー』

2022年9月7日(水) ~9月26日(月) 東京・シアタークリエ
2022年10月1(土)・2日(日) 新歌舞伎座公演あり

チケット一般発売:6月25日(土) 10:00より

y.pia

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