「摂理」が大学での勧誘活動を活発化 直撃取材に教団は「偽装勧誘はしていない」と回答

「摂理」が大学での勧誘活動を活発化 直撃取材に教団は「偽装勧誘はしていない」と回答

  • AERA dot.
  • 更新日:2021/09/15
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教祖の鄭明析氏(画像はキリスト教福音宣教会のHPより)

AERA dot.は<【前編】社会問題化した宗教団体「摂理」がコロナ禍で有名大学で勧誘を活発化 SNSを駆使した巧妙な手口>の記事で、韓国発の宗教団体、摂理(キリスト教福音宣教会)が大学生らに、大学キャンパスやSNS上で正体を明かさずに接触している実態を明らかにした。それに対する事実確認で、摂理は「反論」をメールで回答した。以下、一問一答を掲載する。

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――キリスト教福音宣教会の信者(メンバー)が、大学のキャンパス内などで宗教団体であることを明かさずに、勧誘活動を行っていることは事実でしょうか。新型コロナウイルスが流行する以前も含めて教えてください。

何に対する「勧誘」であるかについて明示されていませんが、当宣教会の傘下の教会の信徒たちが、個人として活動することに関しては、その自由意思に任せられるべきことです。

ご質問が「宗教行為に対する勧誘」というご趣旨であるとすれば、当宣教会は、当宣教会の傘下の教会に対して、聖書の話をする場合には、宗教であることを相手に告げるよう、伝えています。もっとも、聖書について学ぶように勧める以上、聖書に言及せざるを得ませんので、宗教行為であることは明らかになっているかと存じます。

――ツイッターなどのSNSを使って、大学の新入生や就職活動中の学生らに、信者の方々が宗教であることを明かさずに連絡を取り、勧誘していることは事実でしょうか。

ご質問の事例を具体的に存じ上げていませんので、確たることは申し上げられませんが、キリスト教福音宣教会は、当宣教会を明示してさまざまな活動をしておりますし、当宣教会に批判的な方々が主張されるような「偽装」勧誘はしておりません。そして、聖書を教えている以上、宗教行為であることは明らかに分かります。

なお、当宣教会の傘下にある教会の信徒たちが、SNS上で人とのつながりを持つことだけをもって、宗教団体への「勧誘」であるとか、あるいは、当該信徒たちが人とのつながりを持つうえで○○教会に通う信仰心を持った人間であると必ず告白しなければならないとおっしゃるのであれば、日本国憲法のもとで尊重されるべき思想の自由に含まれる「沈黙の自由」、信仰の自由に含まれる「信仰告白の自由」を侵害するお考えとも受け取ることができますが、それは容認することができません。

信徒たちの個人あるいは仲間同士での活動は、当宣教会が干渉するところではなく、むしろ自由に任されるべきであって、そのような個人あるいは仲間同士での活動や交流の中で友人関係・人間関係が形成されることはあり得るかと存じます。

――学生たちに接触する最初の段階で宗教であることを明かさずに勧誘することの是非を、どのようにお考えでしょうか。

何をもって「勧誘」ととらえていらっしゃるのか、判然としませんが、辞書によれば「あることをするように勧めて誘うこと」(デジタル大辞泉)とありますから、聖書について学ぶように勧めて誘うことをおっしゃっていると解します。聖書について学ぶように勧める以上、聖書に言及せざるを得ませんので、宗教行為であることは明らかになっているかと存じますが、当宣教会としても、聖書の話をする場合には、宗教であることを相手に告げるよう、当宣教会の傘下の教会に対して伝えています。

そして、聖書や当宣教会について学びたいという意思がある方々には、続けて学んでいただいて、ある方は信徒になることもあれば、その方の自由意思により学ばなくなる方もいらっしゃいます。当宣教会は、入るも自由、出るも自由な教会です。

なお、宗教行為に勧誘する意図を持って相手に接触するのであれば、接触の際に明かすべきであろうとは存じますし、当宣教会としても当宣教会を明らかにした活動もさまざまにしておりますが、宗教行為に勧誘する意図ではなく、単に人とのつながりを持ちたくて、あるいは同様の趣味を有しているがゆえに個人的な興味を持って接触したりする際には、上述のとおり、沈黙の自由、信仰告白の自由との関係上、自身の信仰を告白することは、我が国において強要されるべきではありません。

――キリスト教福音宣教会の創設者である鄭明析氏は、女性信者に性的暴行をしたとして2009年に韓国で実刑判決を受けています。この件について、どのようにお考えでしょうか。冤罪(えんざい)とお考えであるなら、当時、韓国内だけではなく、日本でも被害を訴えた女性たちがいたことについては、どのようにとらえているのでしょうか。

まず、鄭明析氏についての実刑判決について、さまざまな疑問点があります。

被害者とされる女性2名は、2006年4月に中国滞在中に被害に遭ったとして、現地の公安当局に被害申告をし、それを受けて、中国公安当局は、捜査を開始しましたが、中国・鞍山市中心病院が当該女性を診断した結果、性的暴行を示唆する異常は認められませんでした。また、中国公安当局は、2007年5月1日に鄭明析氏を逮捕しましたが、被疑事件について同氏を取り調べ、被害が起きたとされる現場も検証しましたが、被害申告の事実と客観的に合致しないことも判明し、結果として、嫌疑は認められず、性的暴行事件に関する裁判も行われることはありませんでした。そして、韓国政府の要請に従って、鄭明析氏を2008年2月20日に韓国政府に引き渡しました。

ところが、韓国の検察・警察は同一の被害申告について、現場検証をすることもなく、鄭明析氏に有罪判決を下したわけです(かつ、上記の被害者とされる2名のうち1名は、虚偽の被害申告をしたとして告訴を取り下げ、その部分については公訴棄却されています)。

現場検証をした中国公安当局は嫌疑なしとの判断をし、現場検証をしない韓国の司法当局は有罪判決を下した、という事実だけをもってしても、韓国での鄭明析氏に対する実刑判決には、理解し難い疑問点があります。

次に、日本でも被害を申告したとされる方々がいたということは、2006年当時の報道資料などで承知しております。2006年7月28日に朝日新聞大阪本社版が1面で、鄭明析氏の顔写真とともに「教祖 性的暴行繰り返す」「被害信者100人超か」との見出しで大きく報じたことに始まり、その後も「摂理」に対するマスメディアの報道が続きました。しかし、マスメディアからは形式的な質問や問い合わせこそ来たことはあれ、「摂理」すなわち当宣教会側が提示する客観的な事実やその他の証言については、全く取り上げられることはありませんでした。

これまで、日本の警察に告訴された件、刑事事件化された件は一つもありませんし、日本の裁判所に民事裁判を提訴されたことも、一件もありません。

2006年当時、千葉に滞在していた韓国人女性に対して出入国管理法違反の疑いがかかり、2007年1月、千葉県警が千葉の関係者の居宅に対して強制捜査を実施しました。その際、2006年8月11日付の朝日新聞に掲載された記事『摂理、千葉に関東の拠点』において「告発の幹部宅 性的暴行 利用か」と指摘された場所も捜索を受けていると理解しています。しかしながら、現在に至るまで、千葉県警からもその他の警察・公安当局からも、性的暴行容疑について問われたことはございません。

朝日新聞を中心に当時マスメディアにおいて報道された「日本でも性的被害に」「日本の被害者は100人超、1000人超、1万人超」などといった扇情的な内容は、結局、一件も刑事事件化されることなく、今に至っています。

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摂理は「聖書について学ぶように勧める以上、聖書に言及せざるを得ませんので、宗教行為であることは明らかになっているかと存じます」と説明するが、AERA dot.の取材では、大学生らに接触する最初の段階では聖書を持ち出してはおらず、宗教であることも明かしていない。聖書を学ぼうと持ちかけるのは、関係をつくった後である。

また、女性信者の暴行についても「日本の警察に告訴された件、刑事事件化された件は一つもありません」としているが、摂理からの脱会相談に長年携わっている全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士は「周囲への発覚を恐れて被害届を出せなかった」と説明している。

信教の自由は、憲法で認められた権利である。とはいえ、こうした手法による勧誘を「被害」と捉え、大学に相談する学生が相次いでいることはまぎれもない事実である。(AERA dot.編集部 國府田英之)

國府田英之

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